行政書士の基本テキストを買おうとすると、紙の本にするか、電子書籍にするかで迷うことがあります。
電子なら持ち歩きやすそう。でも、あの厚い基本テキストをスマホで読むのは大変かもしれない。紙なら書き込めるけれど、仕事の行き帰りに毎日持ち歩くのは重そうです。
私なら、自宅の机でテキストと問題集を並べて勉強する時間が中心なら、まず紙を勧めます。 間違えた問題の解説を読みながら、テキストの該当ページを開いて確かめやすいからです。
一方、通勤や外出先で読み返す時間が中心なら、電子書籍も十分に候補になります。 ただし、スマホやタブレットで図表が読めるか、問題と解説を行き来できるかは、買う前に試してほしいところです。
紙のほうが必ず記憶に残る、電子のほうが効率よく合格できる、という話ではありません。毎日の勉強で実際に開けること。そして、分からないところへ戻れること。この二つを大切にして選びましょう。
すでに紙か電子のどちらかで問題なく勉強できているなら、無理に買い直さなくても大丈夫です。
紙と電子書籍は、主に勉強する場所から選ぶ

まずは、どこで教材を開くことが多いかを考えてみてください。
| 普段の勉強のしかた | まず検討したい形式 | 買う前に試したいこと |
|---|---|---|
| 自宅でテキストと問題集を広げる | 紙 | 見比べやすさ、ページの開きやすさ、索引 |
| 通勤中や外出先で、前に学んだ範囲を読む | 電子 | 図表の表示、ページ移動、利用できる場所 |
| タブレットで読み、注釈を付ける習慣がある | 電子 | その教材で注釈・表示切り替えができるか |
| スマホだけで基本テキストを読みたい | 試し読みして決める | 拡大・スクロールが負担にならないか |
| 今の教材で復習まで進められている | そのまま継続 | 買い足して解決したい困りごとがあるか |
この表は、紙と電子の性能順位ではありません。例えばタブレットでの操作に慣れていて、問題も解説も見比べられるなら、電子を主教材にして構いません。
それから、「電子教材」と一括りにしないことも大切です。電子書籍、通信講座のWebテキスト、配布されたPDF、問題演習アプリでは、読める場所も操作も違います。電子書籍で検索できるからといって、手持ちのPDFや講座教材まで同じように使えるとは限りません。
紙が合うのは、書き込みと見比べを重視する人

仕事が終わって家で問題集を開く。間違えた問題の解説を読んで、「あれ、これはテキストのどこに載っていたかな」と探す。
こんな勉強をするなら、紙の扱いやすさは捨てがたいと思います。問題集を机に置いたまま、基本テキストの説明を開けます。気になったところに付箋を貼ったり、問題番号を余白に一つ書き込んだりするのも簡単です。
私がおすすめしたいのは、書き込みを増やすことではありません。後からそのページを開いたときに、何を間違えて、どこを見直したのか分かる程度に残すことです。色を何種類も使ったり、きれいなまとめノートを作ったりすることが目的にならないようにしたいですね。
反対に、紙にははっきりした不便さもあります。厚い本は重いですし、机や本棚にも場所が要ります。移動中に片手で開くのが難しい場面もあるでしょう。
ですから、紙を選んだからといって、すべての勉強を紙で済ませる必要はありません。家では基本テキストと問題集、外では手元にある問題や短いメモを確認する。そんな分け方でも十分です。
電子が合うのは、持ち運びと外出先での確認を重視する人

朝の通勤、昼休み、待ち時間。まとまった時間はなくても、以前に学んだところを少し読み返せるなら、電子の便利さが生きてきます。
ただし、電子版を買えば勉強時間が自動的に増えるわけではありません。例えば「通勤中は前日に間違えた箇所を読み返す」と決めておくと、端末を開いてから何をするか迷わずに済みます。
スマホでは、図表まで読めるかを試したい
スマホで文章を読むのは平気でも、法律の基本テキストの図表や比較表は別です。ページを拡大して左右に動かしているうちに、何と何を比べていたのか分からなくなることも考えられます。
電子書籍には、文字の大きさを変更できるものと、紙のページの形を保つ固定レイアウトのものがあります。どちらの形式か、実際の商品の説明やサンプルで確認してください。
試し読みでは、本文だけでなく図表のあるページも開く。 拡大して読めるか、次のページに移るときに疲れないか。短い文章だけで決めないほうがよいと思います。
タブレットなら、問題と解説の行き来を確かめる
タブレットは画面が大きいぶん、基本テキストの紙面を見やすい場合があります。ふだんから手書きメモや画面の切り替えに慣れている人なら、電子を中心にする選択も自然です。
ただ、大画面だから必ず使いやすいわけではありません。問題集とテキストを交互に開くとき、今見ていた場所へすぐ戻れるか。問題を解きたいのに、同じ画面に答えが見えてしまわないか。ここも大切です。
検索、しおり、書き込み、分割表示、オフライン利用などの機能は、端末だけでなく教材や閲覧アプリによって異なります。欲しい操作がある人ほど、その教材とアプリの組み合わせで使えるかを確かめてから購入しましょう。
通勤・自宅・復習で使うなら、こんな組み合わせ

ここからは使い方の例です。私が実際にすべての組み合わせを試したという話ではなく、働きながら勉強するときの組み立て方として考えてみてください。
家では紙。間違えた問題からテキストへ戻る
自宅では紙の問題集を解き、迷った選択肢だけ基本テキストで確認する。必要なら、そのページの余白に問題番号を残す。数日後、同じ問題を解き直す。
これなら、紙の本を最初から最後まで読み切ることに時間を使いすぎずに済みます。外出先で勉強するなら、手持ちの問題演習や復習メモを持って行けばよいでしょう。同じ基本テキストの電子版を追加で買うことは必須ではありません。
外では電子で読み返し、家では問題を解く
電子中心なら、通勤中に前日学んだ範囲を読み返し、自宅では問題集を解く、という使い方が考えられます。
気をつけたいのは、読み返して「分かった」と感じるだけで終わらせないこと。家に帰ったら解答を隠して一問解いてみる。記述式なら実際に答案を書く。紙か電子かに関係なく、自分で答えを出す練習は必要です。
紙と電子を併用するなら、復習の記録先を決めておく
紙と電子を両方使うのも悪くありません。ただ、問題集には書き込みがあり、スマホにもメモがあり、別のノートにも記録がある、と増えていくと、どこを見直せばよいか分からなくなることがあります。
例えば、家では紙のテキストを主に使い、外では電子で読み返す。その場合、間違えた問題の記録は紙の問題集に残す。あるいは電子中心なら、復習する問題番号だけ一か所にまとめる。自分が後から探しやすい方法を一つ決めておけば十分です。
紙と電子の両方を使うことと、別の基本テキストを次々に増やすことは違います。同じ本を二つの形式で持つ場合も、便利さと追加費用を比べてから決めましょう。
買う前に、実際の教材で3つ試してみる

ここまで読んでも迷うなら、スペック表を眺めるより、候補の教材を少し使ってみるほうが早いと思います。
- 同じ項目を読む。 紙なら書店の見本、電子なら公式の試し読みなどを使い、本文だけでなく図表も見ます。
- 一度閉じて、同じ項目を探し直す。 紙では目次や索引、電子では利用できるページ移動や検索機能を試します。
- 問題と説明を行き来するつもりで操作する。 間違えたとき、すぐ戻れそうか。メモを残す必要があるなら、どうするかも考えます。
電子版の試し読みでは、検索や注釈などの機能が制限されていることもあります。試せなかった機能を「使えるはず」と決めず、販売元や閲覧アプリの案内で確認してください。
試してみて「こちらなら毎日開けそうだ」と思えた形式があれば、それを選ぶ理由になります。すでに基本テキストを探している方は、行政書士の基本テキスト6冊の比較記事へどうぞ。比較記事に載っている商品すべての電子版の有無を、ここで確認したわけではないので、購入するときは希望する形式と受験年度を商品ページで確認してください。
紙と電子を買い直す前に、少しだけ確認したいこと

困っているのは、本の内容? それとも表示や操作?
「このテキスト、なんだか合わない」と感じたとき、紙から電子に変えれば解決することもあれば、変わらないこともあります。
画面が小さくて表を読めない、重くて持ち歩けず開かない、書き込みの場所が見つからない。こうした不便さなら、形式を変える意味があります。
反対に、制度の説明そのものが難しい場合は、同じ本の電子版を買っても文章は変わりません。まずは別の説明を読んだり、講義の一部を見たりして、分からない原因が内容にあるのか、使い方にあるのかを確かめてみてください。
また、問題を繰り返し間違える理由が復習の不足にあるなら、媒体を替える前に学習方法を見直す余地があります。五肢択一の選択肢ごとに根拠を確認する復習法も参考になります。
同じ題名でも、年度・内容・特典が同じとは限らない
紙版と電子版で、発売時期、付属物、特典、利用条件が異なる商品もあります。電子版は毎年自動更新される、紙の購入者なら電子版も無料で使える、という前提では買わないでください。
とくに行政書士試験の教材は、自分が受験する年度を確認したいところです。古い年度のものを使うなら、法改正や正誤表などをどう補うかも考える必要があります。
電子版を使うために別の端末やサービスの費用が必要なら、それも含めて判断します。電子を選ぶためだけに新しい端末を買うことが、誰にとっても合理的とは限りません。
形式が決まったら、使う基本テキストを選ぼう

紙と電子のどちらにするか決まったら、次は教材の中身です。重要なのは、読んだ説明を問題演習で確かめ、分からないところへ戻れること。
最初の基本テキストをこれから買うなら、行政書士の基本テキストおすすめ6冊を比較するへ進んでみてください。紙面や説明の違い、選ぶ理由をまとめています。電子版が必要な方は、候補の商品ページで提供形式も確認しましょう。
まだ基本テキストと問題集の組み合わせ自体が決まっていない方は、最初にそろえる教材の考え方も参考にできます。
そして、もう使う教材が手元にあるなら、今日は新しい本を探さなくても構いません。短い範囲を読んで一問解く。迷ったら説明へ戻り、後日もう一度解く。 紙か電子かの答えを、実際の勉強につなげていきましょう。