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「行政書士試験には、免除される科目があるのだろうか」
勉強時間が限られていれば、使える制度がないか確認したくなる。
結論から言うと、行政書士試験には、一般の受験生が利用できる科目免除制度はない。科目合格を翌年へ持ち越す制度もなく、受験する年に必要な合格基準をすべて満たす必要がある。
ただし、「行政書士試験の科目免除」と「試験を受けずに行政書士となる資格を得る制度」は別の話だ。さらに、行政書士資格が別の国家試験で受験資格や科目免除につながる場合もある。
ここを混同すると、自分が利用できない制度を前提に学習計画を立ててしまう。制度を三つに分けて確認しよう。
行政書士試験に科目免除制度はない

行政書士試験は、年齢、学歴、国籍などに関係なく受験できる。一方で、保有資格や実務経験を理由に、行政法や民法、基礎知識などの一部科目が免除される制度は設けられていない。
税理士試験のように、合格した科目を翌年以降へ持ち越す科目合格制でもない。1回の試験で、法令等科目、基礎知識、試験全体の三つの合格基準を満たす必要がある。
試験科目、出題数、合格基準は変更される可能性がある。受験する年度の情報は、行政書士試験研究センターの試験案内で確認したい。
試験全体の科目や配点を先に把握したい人は、行政書士試験の内容と合格基準を確認してほしい。
免除がないことと、全科目へ同じ労力をかけることは別

科目免除がないと聞くと、すべての科目を同じ深さまで勉強しなければならないと考えやすい。
しかし、それは別の問題だ。
受験する科目を制度上減らすことはできない。だが、出題数、配点、足切り、自分の正答率を見て、学習時間の配分を変えることはできる。
- 出題数が多く、合否への影響が大きい科目
- 足切りを避けるために最低限の得点が必要な領域
- 投入時間に対して得点が安定しにくい領域
この違いを無視して「免除がないから全部を完璧にする」と考えると、重要な科目へ使う時間が不足する。
必要なのは、免除制度を探し続けることではない。全科目を受験する前提で、合格基準を満たすための優先順位を決めることだ。科目ごとの役割を整理するなら、行政書士試験で主戦場にする科目の決め方へ進んでほしい。
試験を受けずに行政書士となる資格を得られる人
行政書士法第2条は、行政書士試験の合格者以外にも、行政書士となる資格を有する人を定めている。
- 弁護士となる資格を有する人
- 弁理士となる資格を有する人
- 公認会計士となる資格を有する人
- 税理士となる資格を有する人
- 一定期間、国や地方公共団体などで行政事務を担当した人
これは、行政書士試験の全科目が免除されるという意味ではない。行政書士試験とは別の資格要件によって、「行政書士となる資格」を得る仕組みだ。
また、行政書士となる資格を有していても、それだけで行政書士として業務を始められるわけではない。日本行政書士会連合会が備える行政書士名簿への登録が必要になる。
資格要件と登録手続の概要は、日本行政書士会連合会「行政書士になるには」で確認できる。
公務員の行政事務経験による資格要件
公務員等の経歴による資格要件は、単に公務員として長く勤務すれば満たせるものではない。行政事務または行政事務に相当する事務を担当した期間が問われる。
必要期間は原則として通算20年以上で、学校教育法による高等学校を卒業した人など、行政書士法が定める人は通算17年以上とされている。
どの勤務経験が行政事務に該当するかは、職名だけでは判断できない。実際にこのルートを検討する人は、勤務先や都道府県行政書士会へ個別に確認する必要がある。
行政書士資格が他の国家試験に与える効果

行政書士試験に科目免除はない。一方で、行政書士の資格や登録が、別の国家試験で受験資格または科目免除につながる場合がある。
ここでも、「受験資格」と「科目免除」を分けて理解したい。
社会保険労務士試験では受験資格になる
行政書士となる資格を有する人は、社会保険労務士試験の受験資格を満たせる。
ただし、行政書士資格があることを理由に、社会保険労務士試験の労働法令や社会保険法令の科目が免除されるわけではない。行政書士資格の効果は、受験するための入口を満たすことだ。
申込みに必要な証明書類を含め、最新条件は社会保険労務士試験オフィシャルサイトの受験資格で確認してほしい。
弁理士試験では論文式筆記試験の選択科目免除がある
弁理士試験では、行政書士が論文式筆記試験の選択科目免除資格に含まれている。
ただし、行政書士試験に合格しただけで、自動的に弁理士試験の論文式試験全体が免除されるわけではない。免除対象は選択科目であり、受験申込み時の申請と証明書類が必要になる。
年度によって申請方法や必要書類が変わる可能性があるため、受験年度の特許庁の弁理士試験受験案内を必ず確認したい。
行政書士試験の免除に関するよくある質問

大学の法学部を卒業していれば科目免除されますか
科目免除されない。行政書士試験は学歴に関係なく受験でき、法学部卒業を理由とする免除制度も設けられていない。
他の法律資格を持っていれば科目免除されますか
行政書士試験の一部科目が免除されるわけではない。ただし、弁護士、弁理士、公認会計士、税理士となる資格を有する人は、行政書士法上、試験合格とは別のルートで行政書士となる資格を有する。
前年に高得点だった科目を翌年へ持ち越せますか
持ち越せない。前年の科目別得点にかかわらず、受験する年の試験で合格基準を満たす必要がある。
行政書士試験合格者は社労士試験の科目が免除されますか
行政書士となる資格は、社会保険労務士試験の受験資格になるが、それだけを理由とする試験科目の免除ではない。受験資格と免除資格を混同しないようにしたい。
まとめ|免除を探すより、得点配分を設計する
行政書士試験には、一般受験者向けの科目免除制度も、科目合格を翌年へ持ち越す制度もない。
一方、行政書士法には、弁護士などの資格や一定の行政事務経験によって、試験合格とは別に行政書士となる資格を得るルートがある。行政書士資格は、社会保険労務士試験では受験資格、弁理士試験では一定条件の下で選択科目免除につながる。
制度の名称が似ていても、効果は同じではない。
自分が行政書士試験を受ける必要があるなら、科目を消すことはできない。代わりに、科目ごとの配点と役割を見て、限られた学習時間をどこへ配るかを決めよう。それが、免除制度のない試験でできる現実的な設計だ。