今の仕事を変えたいけれど、サラリーマンを辞めるのは不安と感じる方は多いはず。行政書士は独立開業の道が開ける資格で、今の仕事を続けながらでも十分取得が可能です。この記事では、行政書士になるための3つのルートや試験対策、具体的な仕事内容まで詳しく解説します。
記事を読めば、自分の状況に合わせた最短の合格ルートがわかり、自信を持って行政書士を目指せます。行政書士になるための最短ルートは、行政書士試験に合格することです。試験の概要と効果的な勉強法を理解し、働きながらでも合格を目指しましょう。
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行政書士になるには3つのルートがある
行政書士になるためのルートは以下のとおりです。
- 行政書士試験に合格する
- 行政書士試験が免除になる資格を取得する
- 公務員として一定年数の経験を積む
行政書士試験に合格する
行政書士試験は毎年11月に実施される国家試験です。合格率は平均10%前後と決して高くありませんが、年齢や学歴を問わず誰でも挑戦できます。試験内容は憲法や行政法、民法など7科目から構成され、択一式と多肢選択式、記述式の問題です。行政法と民法は配点が高く、2科目で試験の約6割を占めます。
働きながらの受験対策は大変ですが、1日2〜3時間の学習を継続すれば、1年程度で合格を十分に狙えます。基本書による土台作りと過去問演習を組み合わせた効率的な学習が重要です。模擬試験で実践的な問題演習を行えば、より確実に実力を身に付けられます。
行政書士試験が免除になる資格を取得する
行政書士試験は、一部の資格を持つ方に対して免除される制度があります。主な免除対象となる資格は以下のとおりです。
- 弁護士
- 弁理士
- 公認会計士
- 税理士
いずれの資格も行政書士試験よりも難易度が高く、合格までに3〜5年以上かかるのが一般的です。税理士試験は5科目に合格する必要があり、科目合格制度を活用しても全科目合格までには平均4年かかります。新たに高難度の資格取得を目指すよりも、直接行政書士試験に挑戦する方が近道です。
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公務員として一定年数の経験を積む
公務員として行政事務を担当した経験があれば、試験なしで行政書士になれる特認制度があります。国や地方公共団体で行政事務を17年以上(大卒程度の場合)、または20年以上(高卒程度の場合)経験が条件です。一般事務だけでなく、許認可や法規などの行政実務に直接たずさわった経験も必要です。
現職の公務員は行政書士業務との兼業が認められません。本制度は定年退職後のセカンドキャリアとして行政書士を目指す方に適しています。業務経験を活かせる分野での開業が有利です。許認可申請や法人設立支援などの行政手続きに強みを発揮できます。
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行政書士になるには行政書士試験の合格が近道
行政書士になるには行政書士試験の合格が近道です。行政書士試験の概要は以下のとおりです。
- 試験のスケジュール
- 試験の受験資格
- 試験内容
- 合格点
試験のスケジュール
行政書士試験は毎年11月の第2日曜日に全国一斉に実施されます。試験時間は午後1～4時までの3時間です。受験地は47都道府県から自由に選べ、住所地に関係なく受験できます。願書受付は7月下旬～8月下旬までで、受験手数料は10,400円です。
合格発表は翌年1月下旬に行われ、合格証は2月中旬頃に発送されます。試験日程は毎年ほぼ同じため、1年間の勉強計画が立てやすくなります。会場によっては早めに定員に達するため、願書は受付開始後できるだけ早く提出しましょう。
試験の受験資格
行政書士試験の受験資格自体には特別な制限がありません。学歴や職歴、年齢制限もすべて不問です。ただし、行政書士として登録する際は、18歳以上が条件です。17歳で合格しても、18歳になるまでは登録できません。
禁錮以上の刑に処せられた方や、行政書士の懲戒処分を受けて2年を経過していない方なども登録できません。年齢制限や犯罪歴などの例を除けば、ほとんどの方が問題なく登録できます。
試験内容
行政書士試験は、法律科目と基礎知識科目で構成されています。試験科目と配点は以下のとおりです。
- 憲法：28点
- 行政法：112点
- 民法：76点
- 商法：20点
- 基礎法学：8点
- 基礎知識(一般知識等)：56点
試験は択一式と記述式の2種類で構成され、法律科目は行政法と民法の配点が高くなります。記述式は行政法から1問、民法から2問出題され、1問20点で合計60点分の配点です。試験時間の配分を工夫し、記述式の時間を確保することが合格への近道です。
一般知識等の科目は政治・経済・社会の時事問題も含まれるため、日頃からニュースに関心を持ちましょう。
合格点
合格の判定は絶対評価で行われます。基準点さえ超えれば合格できるため、他の受験者の成績に左右されません。行政書士試験の合格には、以下の基準をすべて満たす必要があります。
- 法令科目：総合点の50%以上(122点以上)
- 一般知識等：40%以上(24点以上)
- 試験全体：60%以上(180点以上)
試験全体の合格率は約10〜15%で推移しており、毎年4,000人程度が合格しています。合格発表は試験から約2か月後の1月下旬で、合格者には2月中旬頃に合格証が発送されます。不合格の場合も、科目ごとの得点が通知されるため、次回の受験に向けた学習の参考にできます。
行政書士試験に合格するための勉強法
行政書士試験に合格するための勉強法は以下のとおりです。
- 独学
- スクールや通信講座の利用
独学
独学で行政書士試験に合格するためのポイントは、以下のようになります。
- 基本書で法律の基礎を固める
- 過去問を繰り返し解く
- 苦手科目を克服する
- 模擬試験で実践力を養う
- オンライン学習ツールを活用する
独学の最大のメリットは、自分のペースで学習を進められる点です。通勤時間や休日を活用して、無理のない時間配分で勉強できます。しかし、モチベーションの維持が難しく、学習の進捗状況を客観的に把握しにくいことが難点です。勉強時間や問題の正答率を記録し、定期的に学習計画を見直しましょう。
効率的な独学のコツは、午前中の2時間を基本書の読み込みに、夜の1時間を過去問演習に充てることです。朝は頭が冴えているため、新しい法律知識の習得に適しています。夜は1日の学習内容を過去問で定着させ、理解度を確認します。休日は模擬試験や苦手科目の克服に時間を使い、弱点を重点的に補強しましょう。
» 独学で行政書士に合格するためのコツを伝授！
スクールや通信講座の利用
スクールや通信講座は、専門家の指導を受けながら効率的に学習を進められます。講師による詳しい解説や質問対応があり、独学では気づきにくい重要ポイントも見逃しません。学習の進め方や教材の選び方に迷う時間も省けます。受講料が必要で、通学の場合は移動が面倒である点には注意しましょう。
通信講座では、インターネットを通じていつでも講義を視聴できます。スマートフォンやタブレットでの学習も可能で、隙間時間を有効活用できます。添削指導や質問対応も充実しているので、すぐに疑問の解決が可能です。合格率も独学と比べて高く、学習の効率を重視する方に適しています。
講座選びのポイントは、サポート体制と教材の質です。質問がいつでもできて、解答解説が詳しい講座を選びましょう。行政法と民法に特化したカリキュラムがあり、的確な答案の書き方指導がある講座が理想的です。講座開始から8か月以内に基礎固めを終え、残り4か月で実践的な問題演習に入りましょう。
» 通信講座のメリット・デメリットや選び方を詳しく解説！
行政書士の主な仕事内容
行政書士の具体的な仕事内容は、以下のようになります。
- 官公署に提出する書類の作成
- 許認可申請手続きの代理
- 法律相談業務
» 行政書士の仕事内容とは？業務内容から必要なスキルまで解説
官公署に提出する書類の作成
官公署に提出する書類作成は、行政書士の中核的な業務です。代表的な業務として、建設業許可申請書や飲食店営業許可申請書、車庫証明申請書など、1万種類以上の行政書類を扱います。書類は法的な知識と正確性が求められ、一般の方には作成が難しい専門性の高い書類です。
契約書や遺言書、議事録などの権利義務や事実証明に関する文書作成も行います。賃貸借契約書は借主と貸主の権利関係を明確に記載し、将来のトラブル防止に役立ちます。書類作成には法律知識に加え、依頼者の意向を正確に理解し、文書に反映する能力も必要です。
許認可申請手続きの代理
許認可申請の主な業務内容は、以下のようになります。
- 建設業許可の申請手続きを行う
- 飲食店営業の許可を取得する
- 在留資格認定証明書を申請する
- 古物商や産業廃棄物の許可を得る
- 介護事業者の指定を受ける
許認可申請は、事業開始の前提となる重要な手続きです。建設業許可では、技術者の配置や財務状況など、複雑な要件を満たす必要があります。行政書士は申請に必要な書類作成だけでなく、要件を満たすための具体的なアドバイスも可能です。行政との折衝や不備の補正なども代理で行うため、依頼者の負担を大幅に軽減できます。
法律相談業務
行政書士は、提出書類の作成に関連する範囲内で法律相談に応じます。建設業許可申請では技術者の要件や財務基準について、遺言書作成では相続法の基本的な仕組みについて説明するなどです。裁判所での法律相談や訴訟に関する相談は行えません。
会社設立の手続きや外国人の在留資格申請など、行政手続きに関する相談も重要な業務です。起業を考える方や外国人を雇用する企業に対して、必要な手続きの流れや準備すべき書類について、わかりやすく説明します。依頼者の状況に応じて、最適な申請方法を提案できる知識と経験が求められます。
行政書士に関するよくある質問
行政書士を目指す方からよく寄せられる質問は以下のとおりです。
- 行政書士になるために必要な勉強時間は？
- 行政書士の仕事に必要なスキルは？
- 行政書士が独立開業するための資金はどれくらい必要？
行政書士になるために必要な勉強時間は？
行政書士試験の合格に必要な勉強時間は、一般的に1,000〜1,500時間程度といわれています。1日3時間の学習を1年間続けた場合の目安時間になります。法律の知識や学習効率によって個人差が大きく、600時間程度で合格する方もいれば、2,000時間以上かかる方もいます。
働きながら勉強する場合は、平日2時間、休日4時間程度の学習時間を確保できれば、1年程度での合格が可能です。知識の習得に300時間、問題演習に500時間、模擬試験と直前対策に200時間などの計画性が重要です。
学習時間の記録と定期的な進捗状況の確認で、無理のない学習ペースを維持しましょう。
» 勉強時間はどれくらい？行政書士になるための勉強法を解説！
行政書士の仕事に必要なスキルは？
行政書士に必要なスキルは、法律知識だけではありません。依頼者の要望を正確に理解し、適切な書類作成や手続きを行うためには、コミュニケーション能力や文書作成能力も不可欠です。行政との折衝や依頼者への説明には、交渉力とプレゼンテーション能力も求められます。
事務所経営では、顧客管理やマーケティングの知識も重要です。パソコンの基本操作やビジネスソフトの活用能力は必須で、最近では電子申請への対応も増えています。開業後も法改正や制度変更に対応するため、継続的な学習姿勢が欠かせません。
依頼者との信頼関係を築く誠実さと確実な業務遂行のための責任感も、行政書士に求められる重要な資質です。
行政書士が独立開業するための資金はどれくらい必要？
開業に必要な初期費用は、事務所の形態や規模によって大きく異なります。一般的な費用項目は以下のとおりです。
- 事務所の賃料と敷金：15〜30万円
- 事務所の内装工事：20〜50万円
- 事務機器・備品：20〜40万円
- 行政書士会入会費：15〜25万円
- 広告宣伝費：10〜20万円
開業時には最低でも100万円程度の資金が必要です。加えて顧客開拓までの運転資金として、半年分程度の生活費を準備しましょう。自宅の一室を事務所として使用する場合は、初期費用を50万円程度まで抑えられます。顧客の来訪を想定する場合は、専用の事務所を構えると信頼を得やすくなります。
開業資金は自己資金が基本ですが、日本政策金融公庫の開業融資なども検討しましょう。
自分に合った方法で行政書士を目指そう
行政書士になるには、試験合格や他資格取得、公務員経験の3つのルートがあります。最も一般的なのは試験合格で、働きながらでも1年程度での合格が可能です。合格後は書類作成や許認可申請を中心に、幅広い業務にたずさわれます。
法律知識だけでなく、コミュニケーション能力や事務所経営のスキルも重要です。継続的な自己研さんを通じて、依頼者から信頼される行政書士を目指しましょう。
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