行政書士試験の商法・会社法は、勉強するかどうか迷いやすい科目です。
範囲を見ると広い。
一方で、行政法や民法ほど試験全体に占める比重は大きくありません。
すると、
- 商法・会社法は捨ててもいいのではないか
- 過去問だけやれば十分ではないか
- どこまで覚えればいいのか
- 会社法まで勉強すると時間が足りない
と迷います。
ここで、「全部捨てる」か「細かいところまで全部覚える」かの二択にしないことが重要です。
行政書士試験では、行政法と民法が主戦場です。
だからこそ商法・会社法については、
- 主戦場の学習線を壊さない
- 基本事項への最低接触は残す
- 過去問から問われ方を確認する
- どこまでやったら止めるかを先に決める
という考え方で扱います。
「商法・会社法を得点源にするか」より、「限られた時間の中でどこまで維持するか」を決める。
この記事では、そのための判断方法を整理します。
全科目の中で商法・会社法をどう位置づけるかは、先に行政書士試験の科目別優先順位|行政法・民法を主戦場にする理由を確認してください。
商法・会社法を完全に捨てる前に確認すること

商法・会社法について、「問題数が多くないから捨てる」と決めるのは簡単です。
しかし、問題数だけでは、自分が勉強する価値があるかまでは決まりません。
少なくとも、次の4つを確認します。
- 行政法・民法は今どの状態か
- 本試験まであとどれくらい時間があるか
- 商法・会社法の基本問題をどの程度判断できるか
- 追加学習によって改善できそうな部分があるか
例えば、行政法や民法の基本問題を大きく落としている段階なら、商法・会社法の細部へ大量の時間を使う優先度は高くありません。
一方、行政法・民法がある程度安定し、商法・会社法では基本的な問題までほとんど触れていないなら、一定の時間を配置する意味があります。
つまり、
「商法・会社法は重要か」ではなく、「今の自分の合格経路にどの程度必要か」
で判断します。
商法と会社法は分けて認識する

勉強するときは、「商法・会社法」という一つの大きな科目としてだけでなく、商法と会社法を分けて見ます。
商法
商法では、商人や商行為など、企業活動に関係する基本的なルールを扱います。
民法と似た制度が出てくることもあるため、民法との違いを意識して整理します。
例えば、
- 誰に適用されるルールなのか
- 民法の原則と何が違うのか
- 商取引としてどのような特則があるのか
という見方をします。
単語だけを別々に覚えるより、「民法ではどうだったか」と比較すると位置づけやすくなります。
会社法
会社法では、会社の設立、株式、会社の機関など、会社という組織のルールを扱います。
範囲が広いため、不安になって細かい事項まで覚え始めると学習時間が膨らみやすくなります。
そこで最初から全条文を同じ密度で覚えるのではなく、基本テキストと過去問を使いながら、
- どのような制度があるのか
- 過去問ではどのように聞かれているのか
- 基本事項をどこまで再現できるのか
を確認します。
商法・会社法へ使える時間を先に決める

商法・会社法で特に重要なのが、勉強を始める前に時間の上限を考えることです。
範囲を見ながら、
「まだ知らないことがある」
という理由だけで勉強を続けると、終了地点がありません。
行政書士試験では、他にも学習すべき科目があります。
だから、商法・会社法は残った時間を無制限に使う科目ではなく、他科目との配分の中で枠を持たせる科目として扱います。
行政法・民法の学習線を確認する
最初に確認するのは、行政法と民法です。
例えば、
- 行政法の基本制度をまだ混同する
- 民法の事案関係を読めない
- 両科目の過去問演習が十分に進んでいない
という状態なら、主戦場へ時間を残す必要があります。
商法・会社法の不安を消すために、行政法・民法の復習時間まで削らないようにします。
特に民法との関係を確認したい場合は、行政書士試験の民法勉強法へ戻ってください。
基本事項へ触れる最低枠を作る
主戦場を優先するからといって、商法・会社法を最初からゼロにする必要はありません。
例えば学習期間の中に、
- 基本テキストで全体像を見る
- 過去問を解く
- 間違えた基本事項へ戻る
という最低限の接触を置きます。
ここで目的にするのは、商法・会社法を完璧にすることではありません。
問題を見たときに、
- まったく知らない状態なのか
- 基本事項なら判断できるのか
- 細かい知識で失点しているのか
を確認できる状態を作ることです。
停止条件を決める
最低接触をしたら、次に「どこまでやれば一度止めるか」を決めます。
例えば、
- 主要な基本事項を一通り確認した
- 過去問で問われ方を確認した
- 基本問題で判断根拠を説明できる
- これ以上の学習では細かい知識が中心になる
という状態です。
ここまで来たら、一度主戦場へ戻します。
新しい知識がまだ残っていることを、勉強継続の理由にしません。
民法との関係を使って理解する

商法を学ぶときは、民法との関係を意識すると整理しやすい場面があります。
民法で学んだ契約や代理などの考え方を土台にしながら、商取引ではどのようなルールが置かれているのかを見る方法です。
このとき、商法を新しい知識の集合としてゼロから覚えるのではなく、
「民法の原則に対して、ここでは何が違うのか」
と比較します。
ただし、商法・会社法を理解するために民法の学習まで止める必要はありません。
民法は主戦場として継続し、その知識を商法の理解にも利用します。
過去問は頻出事項と「問われ方」を知るために使う

商法・会社法では、過去問を使って学習範囲を制御します。
ただし、
「過去問だけ覚えればいい」
という意味ではありません。
過去問から確認するのは、
- どの分野がどのような形で問われたか
- 基本事項を知っていれば判断できる問題か
- 制度比較が必要な問題か
- 細かい条文知識まで必要だったか
です。
そして間違えたら、正解だけを覚えるのではなく原因を分けます。
| 誤答原因 | 対応 |
|---|---|
| 制度を知らない | 基本テキストへ戻る |
| 似た制度を混同 | 比較して整理する |
| 覚えていたが思い出せない | 時間を空けて再確認する |
| 細部だけ知らない | 追加学習する価値を配分から判断する |
最後の「細部だけ知らない」が重要です。
商法・会社法では、知らない事項が出てくるたびに追加していると範囲が広がります。
その知識を覚えるための時間を、行政法や民法から移す価値があるのかまで考えます。
過去問を繰り返す目的については、行政書士試験の過去問を繰り返す理由|回数ではなく判断工程を見るも参考にしてください。
「捨てる」と「後回し」は違う

商法・会社法を考えるとき、「捨て科目」という言葉が使われることがあります。
しかし、私は「捨てる」と「今は優先しない」を分けた方がよいと考えています。
| 判断 | 意味 |
|---|---|
| 維持 | 基本事項と過去問への接触を続ける |
| 後回し | 今は主戦場を優先し、後で再評価する |
| 追加しない | 細部へこれ以上時間を使わない |
| 捨てる | 本試験まで原則として学習対象から外す |
例えば、行政法・民法が不安定な時期に会社法の細部を後回しにすることと、会社法全体を一度も見ずに本試験へ行くことは同じではありません。
後回しなら、主戦場が改善した時点で再評価できます。
この区別を持っておくと、「今やらない=全部捨てた」という極端な判断を避けやすくなります。
商法・会社法へ時間をかけすぎているサイン

次の状態になっていたら、一度主戦場との配分を確認します。
- 会社法の細かい条文を覚えることが目的になっている
- 行政法・民法の復習時間を削っている
- 過去問にほとんど出てこない細部を不安だけで追加している
- 基本問題は判断できるのに、さらに教材を増やしている
- 「全部知らないと怖い」という理由で停止できない
商法・会社法を勉強すること自体が問題なのではありません。
追加した時間によって、合格全体のどこが改善するのか分からなくなっていることが問題です。
試験は満点を取る競争ではありません。
限られた時間をどこへ配置すれば合格基準に近づくかを考えます。
この考え方は、行政書士試験を180点から逆算して考える方法でも整理しています。
商法・会社法の学習を週次で見直す

商法・会社法の配分も、一度決めたら本試験まで固定する必要はありません。
週次で次の状態を確認します。
- 行政法・民法への最低接触を維持できているか
- 商法・会社法の基本事項へ触れたか
- 過去問でどの程度判断できるか
- 失点は基本事項か、細部か
- 追加時間を使う価値がまだあるか
例えば、基本事項を知らない問題が多ければ、もう少し時間を追加します。
反対に、基本事項は判断でき、間違えるのが細部ばかりなら、主戦場へ戻す判断ができます。
科目配分全体を見直す場合は、行政書士試験の科目別優先順位へ戻ってください。
商法・会社法の勉強法についてよくある質問

商法・会社法は捨ててもいいですか?
すべての受験生に一律で「捨ててよい」とは言えません。
行政法・民法の状態、残り学習時間、商法・会社法の現在地によって判断は変わります。
最初から全放棄する前に、基本事項と過去問へ最低限触れ、その後の追加学習にどれだけ価値があるか確認する方法があります。
商法・会社法には何時間使えばいいですか?
固定時間は決めません。
まず行政法・民法の学習線を確保し、そのうえで商法・会社法の基本事項と過去問へ接触する枠を作ります。
基本事項の再現度が上がり、追加学習が細部中心になったら、時間を主戦場へ戻します。
過去問だけで商法・会社法対策は十分ですか?
「過去問だけで必ず十分」とは言えません。
過去問は、問われ方や自分の失点原因を確認するために使い、制度そのものを理解できていなければ基本テキストへ戻ります。
会社法は全部覚える必要がありますか?
細かい事項まで無制限に増やす必要はありません。
まず基本事項と過去問から、本試験で判断するために必要な範囲を確認します。
その後の追加学習は、行政法・民法など他科目との時間配分を含めて判断します。
まとめ|主戦場を守りながら、ゼロにも無制限にも振らない
行政書士試験の商法・会社法では、
「問題数が多くないから全部捨てる」
または、
「不安だから細かいところまで全部覚える」
という二択にしないことが重要です。
まず行政法・民法の状態を確認します。
そのうえで、商法・会社法へ、
- 基本事項を見る時間
- 過去問で問われ方を確認する時間
- 間違えた部分へ戻る時間
を配置します。
そして、基本事項を再現できるようになり、追加学習が細部中心になったら一度止めます。
「まだ知らないことがある」ことを学習継続の条件にしないことが重要です。
商法・会社法は、ゼロにする必要も、完成させる必要もありません。
合格全体の中で必要な役割を持たせ、主戦場を守れる範囲まで学習する。
これが、商法・会社法へ時間をかけすぎないための基本です。
判断に迷ったら、科目別優先順位へ戻り、全科目の中で現在の配分を見直してください。
商法・会社法を含む全科目の問題数、配点、合格基準を確認したい場合は、行政書士試験の内容へ戻ってください。