30代サラリーマンが行政書士で独立開業を目指す際、働きながらの資格取得は壁が高く感じることがあります。しかし、正しい知識と学習計画があれば、夢は実現可能です。
この記事では、法律系資格の種類や取得メリット、勉強法などについて解説します。記事を読めば、働きながらでも行政書士合格、独立開業への最短ルートが見えてきます。
記事を参考に、正しい学習計画を立て、行政書士の試験合格と独立開業を実現しましょう。
法律系資格の種類
法律関連の資格は、発行元や社会的位置づけにより以下の3種類に分類されます。
- 国家資格
- 公的資格
- 民間資格
3つの法律関係の資格の違いを理解することで、自分のキャリアプランや目的に適した資格を選択できます。
国家資格
法律系の資格の中でも、国が法律にもとづいて知識や能力を認めるものを国家資格と言います。特定の分野で専門的に働くには、国家資格が必要となる場合が少なくありません。
国家資格を持っていることは、各分野の専門家であることの証明になります。国家資格を所持することで、社会的な信頼も厚くなり、専門家として活動するうえで大きなメリットになります。
代表的な法律系の国家資格は、以下のとおりです。
- 行政書士
- 司法書士
- 弁護士
- 弁理士
- 社会保険労務士
- 税理士
- 宅地建物取引士
- 海事代理士
- 司法試験（裁判官・検察官・弁護士）
- 中小企業診断士
公的資格
公的資格は、民間団体や公益法人が行う試験で、国や関連する役所が認めた資格です。公的資格は、国家資格と民間資格の間に位置づけられ、特定の分野で専門的な知識や技術があることを証明するのに役立ちます。
公的資格の具体例は、以下のとおりです。
- ビジネス実務法務検定試験®
- 知的財産管理技能検定
- 個人情報保護士認定試験
- マイナンバー実務検定
- 消費生活アドバイザー
公的資格を取得することは、専門性を高め、仕事の選択肢を増やすうえで有効な手段です。
民間資格
民間資格は、特定の法律分野や仕事で使うスキルに特化した知識や能力を証明するものです。法律関連の民間団体や企業が主催し、認定しています。
国家資格のように、資格がないと特定の仕事ができないなどという決まり(業務独占権)はありません。自分の専門性を高めたり、特定の分野について詳しいことをアピールしたりする際に有効です。民間資格には、ビジネス法務や個人情報保護、知的財産などがあります。
民間資格は、取得の難易度もさまざまです。チャレンジしやすい民間資格も多くあります。企業内で法務やコンプライアンスを担当する人にとって、自身のスキルを証明するのに役立ちます。キャリアアップや、特定の分野で専門性を深めたい場合に活用が可能です。
法律系の資格を取得するメリット
法律系の資格を取得するメリットは、以下のとおりです。
- 専門的な仕事に就職・転職しやすい
- 独立開業を目指しやすい
- 信頼性が高く将来性がある
- 実生活にも役立つ
- ダブルライセンスでスキルアップできる
専門的な仕事に就職・転職しやすい
法律系の資格を取得すると、専門的な知識やスキルを活かせる仕事に就きやすくなります。資格を持っていることが、法律に関する専門的な知識があることの証明になるからです。多くの会社や業界では、専門知識を持つ人材を求めています。
法律系の資格は、キャリアの選択肢を広げ、より専門性の高い仕事へ挑戦するうえで大きな力になります。
独立開業を目指しやすい
法律系の資格は、独立して、開業を目指したい方にもおすすめです。少ないお金で始められ、自分のペースで仕事を進めやすく、長く続けられる仕事だからです。
大きな事務所を借りるためのお金を最初にたくさん用意しなくても、自宅を仕事場として開業できます。1人で仕事をすることで、職場の人間関係のわずらわしさも少なくなります。
働く時間や休む日も自分で決めやすく、定年もないので、意欲と体力があればいつまでも仕事を続けることが可能です。
» 必要な費用もわかる！行政書士の独立開業のメリットと開業手順
信頼性が高く将来性がある
法律系の資格は、社会から高い信頼を得られ、将来にわたって安定して活躍できる可能性があります。法律に関する専門的な知識や判断力は、AIでは判断が難しい複雑な状況に対応できるからです。
法律は、社会の変化に合わせて変わるため、法律の変化に対応できる専門性は不可欠です。自分で事務所を構えて独立開業すれば、定年を気にせず、自分の考えやペースで仕事を進め、思い描いたキャリアを自由に築けます。
活躍の場も、独立開業だけではありません。企業法務やコンサルタントとして、法律知識を活かす道も広がっています。
» 行政書士の現状と将来性が期待される業務を紹介
実生活にも役立つ
法律系の資格で学ぶ知識は、毎日の生活のさまざまな場面で役立ちます。法律の知識があると、以下の場面で自分の身を守ったり、より良い対応ができたりします。
- 契約時の確認
- 相続・遺言
- 労働問題
- 詐欺被害防止
- 不動産取引
- 事故・近隣トラブル
- 消費者権利
- 起業・副業
- ネットトラブル
- 離婚・家族問題
ダブルライセンスでスキルアップできる
行政書士の資格に加えて他の資格を持つことで、自分の専門性をさらに高められます。複数の分野の知識を持つことで、お客様に提供できるサービスの幅を大きく広げられます。
行政書士には、相性の良い宅建士や社会保険労務士、FP(ファイナンシャルプランナー)などの資格がおすすめです。お客様の相談に対し、1つの窓口で対応する「ワンストップサービス」が提供できます。特定の分野で深い知識を持つことで、他の行政書士との違いを明確にし、自分だけの強みを築けます。
開業した際には、対応業務の広さや専門性の高さを強みとしてアピールでき、事業を早く軌道に乗せることが可能です。
法律系の資格を取得するための勉強方法
法律系資格試験の合格には、効率的な勉強法が重要です。効率的に勉強するための方法は、以下のとおりです。
- 試験当日までの勉強計画を立てる
- 丸暗記ではなく法律の全体像をつかむ
- インプットとアウトプットを効率良く繰り返す
- 通信講座やスクール・予備校を活用する
試験当日までの勉強計画を立てる
試験に合格するためには、しっかりとした勉強計画を立てることが大切です。計画を立てることで、毎日どれくらい勉強すれば良いか、どの科目を優先して勉強すれば良いかが明確になります。特に働きながら勉強する方にとっては、限られた時間を有効に使うために、勉強の計画は欠かせません。
最初に、試験当日から逆算して勉強のスケジュールを考えましょう。平日と休日に勉強できる時間をそれぞれ把握し、1週間ごと、1か月ごとの細かい計画を作ってください。試験科目には、点数が取りやすい科目や、配点が高い科目があります。どの科目にどれくらい時間をかけるか、勉強の順番を決めましょう。
勉強が計画通りに進んでいるか、定期的にチェックしてください。勉強が計画から遅れていたり、もっと進められそうだったりしたら、計画を柔軟に見直しましょう。時期に合わせて、勉強内容を変えることもポイントです。自分に合った勉強計画を丁寧に立てることが、合格への確実な一歩につながります。
» 行政書士試験の概要から勉強法、キャリアパスまで徹底解説
丸暗記ではなく法律の全体像をつかむ
法律の勉強では、法律全体の大きな地図を頭に描くように理解することが重要です。法律の全体像を把握すれば、個々の知識がバラバラになるのを防ぎ、それぞれの持つ意味やつながりが見えてきます。全体像がわかれば、法律の内容も記憶にも残りやすく、複雑な問題にも対応できる力が養われます。
法律の全体像を掴むためには、以下の点を意識して学習を進めましょう。
- 法律が作られた背景を知る
- 条文の暗記の前にどんな制度か大きく捉える
- 知識を事例に当てはめて考える
- 法律の全体構造や各制度を図で視覚化する
法律を大きな視点から捉えることで、より深い理解につながり、学習効果も高まります。
インプットとアウトプットを効率良く繰り返す
学んだ知識を確実に自分のものにするためには、インプットとアウトプットを効率良く繰り返すことが大切です。情報を頭に入れるインプット作業だけでは、知識が本当に身に付いたかを確認できません。
実際に問題を解いたり、内容を自分なりにまとめたりするアウトプットを行うことで、理解度が深まり、記憶に定着します。インプットとアウトプットのサイクルを意識的に回すことが、学習効果を高める鍵となります。
通信講座やスクール・予備校を活用する
通信講座やスクール・予備校の利用は、特に働きながら行政書士試験の合格を目指す方にとって、心強い味方になります。専門家による質の高いサポートを受けながら、効率的に学習を進められるからです。独学でありがちな遠回りを避け、最短ルートで合格を目指せます。
専門の先生が難しい法律もわかりやすく教えてくれるため、最新の試験内容に合わせた教材で無駄なく勉強できます。勉強の進め方やわからないことを相談できるため、働きながらでも続けやすいです。
スマホなどで見られる教材を使えば、移動中や休憩中の短い時間も有効活用できます。模擬試験で自分の実力を確かめられる点も大きな利点です。合格実績が豊富なスクールを選べば、短い期間での合格も期待できます。
法律系の資格を取得するときによくある質問
法律系の資格を取得するときによく聞かれる以下の質問に回答していきます。
- 法律系資格は独学でも合格できる？
- 初心者におすすめの法律系資格は？
- 法律系資格の取得にかかる時間はどれくらい？
- 最も需要が高い法律系資格は？
法律系資格は独学でも合格できる？
法律系資格は、独学でも合格を目指せます。人気の行政書士試験も、毎年独学で合格する方が多くいます。独学で学ぶ魅力は、予備校などに通うよりも費用を大きく抑えられるところです。自分の生活リズムに合わせて、仕事終わりや休日など、好きな時間に好きなだけ勉強できる点も大きなメリットです。
しかし、独学には注意点もあります。1人で勉強を続けるためには、誘惑に負けない強い意志が必要です。わからないことが出てきたとき、質問できる人が周りにいないため、解決に時間がかかる可能性があります。法改正や試験に関する新しい情報を自分で集めなければなりません。
独学で合格を勝ち取るためには、学習計画を立てることが不可欠です。わかりやすいテキストや問題集を選び、特に過去の問題を繰り返し解いて実戦力を養うことが合格への近道です。働きながら資格取得を目指す場合は、通勤時間などのスキマ時間を上手に使いましょう。短い時間でも集中して勉強する工夫が求められます。
» 行政書士合格を目指す！試験の概要と効率的な勉強法
初心者におすすめの法律系資格は？
以下の資格が初心者の方にも取り組みやすく、行政書士試験の準備にも役立ちます。
- 宅地建物取引士
- ビジネス実務法務検定試験®
- FP技能士3級
- 知的財産管理技能検定3級
- 管理業務主任者
自分が行政書士としてどんな分野で活躍したいかを考えながら、最初の目標とする資格を選んでみてください。
法律系資格の取得にかかる時間はどれくらい？
法律系資格の取得に必要な勉強時間は、目指す資格によって大きく変わります。資格ごとに求められる知識の深さや範囲が異なり、必要な学習時間も変動するからです。人気の法律系資格である行政書士試験に合格するためには、一般的に600～1,000時間程度の勉強が必要です。
働きながら合格を目指す場合、1日に2～3時間の勉強時間を確保できれば、1年以上の計画で合格を目指せます。他の主な法律系資格の目安となる勉強時間は以下のとおりです。
- 司法書士：3,000時間以上
- 弁護士(司法試験)：5,000～10,000時間
- 社会保険労務士：800～1,000時間
- 宅地建物取引士：300～500時間
自分が目標とする資格と、毎日確保できる勉強時間を考えて、無理のない学習計画を立てましょう。
最も需要が高い法律系資格は？
特定の資格が「最も需要が高い」と断言することはできません。社会の状況や経済の動きによって、求められる専門知識や業務内容も変化します。
一般的に、常に高い需要が見込まれる法律系資格は以下のとおりです。
- 弁護士
- 司法書士
- 税理士
- 行政書士
- 社会保険労務士
それぞれの資格が独自の専門性を持ち、社会のさまざまな場面で必要とされています。
キャリアアップのための資格取得を考えよう
法律系資格、特に行政書士は、働きながらでも計画的な学習で合格し、独立開業という目標を達成できます。専門知識を身に付けることで、キャリアアップや独立開業の道が開け、人生の選択肢が広がります。
試験の全体像を理解し、知識のインプットと問題演習などのアウトプットをバランス良く行う効率的な勉強法が大切です。通信講座などを活用し、自分に合った学習スタイルを見つけて、行政書士の早期合格と開業を実現させましょう。
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