行政書士は公務員経験でなれる?|17年・20年の特認と退職後の選択肢

行政書士は公務員経験でなれる?|17年・20年の特認と退職後の選択肢

公務員として一定期間、行政事務を担当した人には、行政書士試験に合格しなくても行政書士となる資格を得られるルートがあります。

一般に「公務員特認」と呼ばれることがあります。

ただし、公務員として17年・20年勤めれば自動的に行政書士になれる、という制度ではありません。

確認するのは、勤務年数だけではなく、行政書士法が定める「行政事務」を担当した期間です。

また、要件を満たして行政書士となる資格を得ても、そのまま行政書士として業務を始められるわけではありません。

行政書士として活動するなら、行政書士名簿への登録と行政書士会への入会が別に必要です。

公務員経験で行政書士となる資格を得られる条件

行政書士法では、次の期間が一定以上ある人を、行政書士となる資格を有する者としています。

  • 国または地方公共団体の公務員として行政事務を担当した期間
  • 行政執行法人または特定地方独立行政法人で、行政事務に相当する事務を担当した期間

これらの期間を通算します。

区分必要な期間
原則通算20年以上
高校卒業者など行政書士法所定の学歴要件に該当する人通算17年以上

ポイントは、「公務員として在職した期間」ではなく「行政事務を担当した期間」で判定することです。

「17年」と「20年」の違いは学歴要件

公務員特認について調べると、「17年」という説明と「20年」という説明が出てきます。

これは制度が二つあるのではありません。

原則は20年以上ですが、学校教育法による高等学校を卒業した人など、行政書士法が定める要件に該当する場合は17年以上になります。

そのため、

  • 自分の学歴等が17年要件に該当するか
  • 行政事務として証明できる期間が何年あるか

を分けて確認します。

公務員なら、どんな仕事でも期間に入るわけではない

ここで最も注意したいのが、職歴の扱いです。

行政書士法が見ているのは、「公務員だったか」だけではありません。

行政事務を担当していた期間である必要があります。

したがって、在職年数だけを足して、

17年働いたから要件を満たした。

と自己判断しない方が安全です。

実際の登録手続では、公務員職歴による資格者について職歴証明書が用意されており、担当した職務を確認できる形で証明することになります。

自分の職歴が要件に当たるか不明な場合は、登録しようとする都道府県行政書士会へ事前に確認してください。

行政事務経験による資格でも、登録手続は必要

公務員経験による要件を満たしたからといって、自動的に行政書士名簿へ登録されるわけではありません。

行政書士として活動するには、他の資格ルートと同じように行政書士名簿への登録を受けます。

登録申請は、事務所を設けようとする都道府県行政書士会を通じて行います。

公務員職歴による資格者の場合は、職歴を証明する書類など、資格要件を確認するための資料も必要になります。

登録費用については、行政書士の登録費用と継続費用で確認してください。

公務員経験があるなら、試験を受ける前に資格要件を確認する

長い公務員経験がある人が行政書士を検討する場合、最初から行政書士試験の勉強を始める前に、自分が公務員経験による資格要件に該当するか確認する意味があります。

すでに要件を満たしているのであれば、行政書士試験への合格を資格取得ルートとして使う必要はありません。

一方で、期間や職務内容が要件を満たさないなら、行政書士試験による取得を検討できます。

行政書士になる3つのルート全体は、行政書士になる方法で整理しています。

資格を得られることと、退職後に開業することは別

公務員経験から行政書士となる資格を得られる人にとって、次に考えるのが退職後の進路です。

しかし、ここでも、

せっかく特認で資格を得られるから開業する。

という順番にはしません。

公務員として行政事務を経験したことと、行政書士事業を運営することでは、必要な機能が違います。

  • どの業務分野を扱うか
  • 誰から依頼を受けるか
  • 実務知識をどう補うか
  • 営業・集客をどうするか
  • 事務所や固定費をどう設計するか

などを別に考える必要があります。

公務員特認は「行政書士となる資格を得るルート」であって、「開業後に仕事が成立すること」を保証する制度ではありません。

公務員経験を行政書士業務へどう接続するか考える

一方で、公務員として蓄積した経験が、行政書士としての業務分野を考える材料になる場合はあります。

行政手続の流れ、制度の確認、文書作成、行政内部での調整など、自分が実際に経験したことを棚卸しします。

ただし、元の勤務先での経験と、行政書士として他人から依頼を受けて業務を行うことは同じではありません。

経験があるからできる、と直結させるのではなく、

  1. 自分の公務員経験を分解する
  2. 行政書士業務として扱える範囲を確認する
  3. 不足する実務知識を確認する
  4. 扱う分野を決める

という順番で考えます。

行政書士の業務範囲そのものは、行政書士の仕事内容と専門分野の決め方で確認してください。

在職中に行政書士活動を考える場合は、別に勤務上のルールを確認する

公務員経験による資格要件の話と、現在公務員として在職しながら行政書士として活動できるかという話は別です。

在職中の兼業や営利活動には、所属や身分に応じた規律が関係します。

そのため、在職中の活動を検討する場合は、行政書士の資格要件だけで判断せず、勤務先の人事・服務規程や関係法令を確認してください。

「行政書士となる資格があるか」と「今その業務をしてよいか」を分けます。

公務員特認を使う前に確認する順番

公務員経験から行政書士を検討する場合は、次の順番で確認すると整理しやすくなります。

  1. 行政事務として扱える職歴が何年あるか確認する
  2. 17年要件か20年要件か確認する
  3. 職歴を証明できるか確認する
  4. 行政書士として活動したいか決める
  5. 活動するなら登録・事務所・費用を確認する
  6. 開業するなら公務員経験とは別に事業条件を設計する

資格要件を満たすことが確認でき、退職後に開業を検討する場合は、行政書士の開業手順へ進んでください。

まとめ|公務員特認は勤務年数ではなく行政事務経験から確認する

公務員経験によって行政書士となる資格を得られる制度はあります。

ただし、確認するのは単純な在職年数ではありません。

  1. 行政事務を担当した期間を確認する
  2. 原則20年、所定の学歴要件に該当する場合17年の基準を確認する
  3. 職歴証明で資格要件を確認する
  4. 行政書士として活動するなら登録する
  5. 開業するかは別の判断として決める

公務員特認は、試験を免除するための近道というより、長期間の行政事務経験を行政書士資格へ接続する制度として捉えてください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です