模試の点数が悪いと、なぜ全部変えたくなるのか
行政書士試験の模試で思ったような点数が取れないと、
「今までの勉強方法が間違っていたのではないか」
と感じることがあります。
教材を変えたくなる。
勉強計画を作り直したくなる。
苦手科目へ時間を増やしたくなる。
勉強時間そのものも増やしたくなる。
模試の結果を見て焦ること自体は、不自然ではありません。
ただし、
模試の点数が悪くても、教材・計画・科目配分を一度に変えるのは避けたほうがよいです。
一度に複数のものを変えると、
- なぜ今回点数が悪かったのか
- どの修正が有効だったのか
の両方が分からなくなるからです。
必要なのは、模試の結果を軽く扱うことではありません。
まず失点した原因を分ける。
そのうえで、今までの学習から維持するものを決める。
そして、次に検証する変更を一つだけ選ぶ。
模試の点数を見るときは、
「何を増やせばよいか」ではなく、「今回の失点はどの工程で起きたのか」
から考えます。
模試後にやってはいけない行動全体については、こちらの記事で整理しています。
模試後に学習基準を失う失敗連鎖

模試後に学習が崩れる人は、結果を無視しているわけではありません。
むしろ、
結果を重く受け止めすぎて、修正範囲を広げすぎる
ことで崩れることがあります。
総合点を、これまでの勉強全体の評価にする
模試の総合点は重要な情報です。
しかし、その点数だけを見ても、なぜその結果になったのかまでは分かりません。
同じ失点でも、
- そもそも知識がなかった
- 勉強したのに思い出せなかった
- 問題文を読み違えた
- 時間が足りなかった
- 緊張して普段どおりに解けなかった
では、必要な修正が違います。
ところが総合点だけを見て、
「この勉強法ではダメだ」
と結論づけると、修正対象が一気に学習全体へ広がります。
模試は一つの結果です。
重要な問題が見つかることはあります。
ただし、一回の点数だけで、これまでの学習すべてが間違っていたとまでは判断できません。
不安を消すため、複数の変更を同時に始める
模試で結果が悪いと、何か行動したくなります。
そこで、
- 教材を変える
- 勉強方法を変える
- 科目配分を変える
- 勉強時間を増やす
といった修正を、一度に始めてしまうことがあります。
変更する項目が多いほど、
「何か対策している」
という感覚は得やすくなります。
しかし、改善という意味では問題があります。
なぜなら、
どの失敗に対して、どの変更を行ったのかが分からなくなるからです。
教材を変えた。
復習方法も変えた。
行政法の時間も増やした。
睡眠時間を削って勉強時間も増やした。
これで次の模試の点数が上がっても、何が有効だったのか判断できません。
次の結果が出ても、何が効いたか分からない
複数の変更を同時にすると、次の結果を検証できなくなります。
点数が上がったとしても、
「教材を変えたからか」
「復習周期を変えたからか」
「単純に今回の問題との相性がよかったのか」
を区別できません。
反対に点数が下がった場合は、
「まだ対策が足りない」
と考えて、さらに別の変更を追加しやすくなります。
すると、
模試を受ける。
点数が悪い。
全部変える。
次の模試を受ける。
また結果に反応して全部変える。
という状態になります。
これでは、模試のたびに学習システムを作り直すことになります。
問題は、模試の結果が悪かったことではありません。次の結果と比較できる基準を失ったことです。
隠れている判断ミスは「模試を重く見たこと」ではない

このケースで修正するべきなのは、
「模試を真剣に受け止めたこと」
ではありません。
問題は、模試結果の扱い方です。
一回の結果を傾向とみなした
一回の模試でも、大きな弱点が見つかることはあります。
しかし、
今回起きたことと、普段から繰り返していることは分けて考える必要があります。
今回だけ時間が足りなかったのか。
普段の演習でも毎回時間不足になるのか。
今回だけ特定の論点を忘れていたのか。
同じ論点で何度も失点しているのか。
この違いを見ないまま、一回の結果を長期的な傾向と判断すると、修正範囲が必要以上に広がります。
総合点だけで原因を決めた
「行政法が悪かった」
だけでは、まだ修正方針は決まりません。
行政法で失点した理由が、
- 未学習だった
- 学習済みだが思い出せなかった
- 問題文を読み違えた
- 時間不足だった
のどれなのかで、次の行動は変わります。
必要なのは科目名だけを見ることではなく、
どの工程で点を失ったのかを見ることです。
修正数を増やすほど安全だと考えた
不安が大きいと、
「念のため、全部直しておこう」
と考えやすくなります。
しかし、同時に多くを変更することは、必ずしも安全策ではありません。
むしろ、
何が効いたのかを確かめられなくなる
という新しいリスクを生みます。
改善を速くするためには、変更項目を増やすより、
一つの原因と、一つの変更と、次の観測点を結びつける
ほうが重要です。
模試に限らず、その場の不安で優先順位が動き続けている場合は、こちらの記事も参考になります。
→「行政書士試験で優先順位が崩れる人へ|全部やろうとすると落ちる」
「全部変える」状態に入っている観測サイン

模試後に計画を修正すること自体は問題ではありません。
確認したいのは、
修正が原因分析を飛ばしていないか
です。
たとえば、次のような状態が複数ある場合は、一度変更を止めて結果を分解したほうがよいでしょう。
- 模試前まで使っていた教材を、失点の内訳を確認せず変えようとしている
- 苦手だった科目を翌日から無期限に増やしている
- 睡眠や休息を削ることまで改善策に含めている
- 変更する項目は説明できるが、変更しない項目を説明できない
- 次にいつ確認するのか決めていない
- 何が改善すれば修正成功なのか決めていない
- すべての変更理由が「模試の点数が悪かったから」になっている
これは、
「模試結果を気にしなくてよい」
という意味ではありません。
むしろ逆です。
模試結果を、次の改善に使える情報へ変えるための停止線です。
模試結果を、次の一件へ変える

模試後にやるべきことは、学習全体を壊して作り直すことではありません。
まず結果を分けます。
次に、今までの学習から残すものを決めます。
そのうえで、一つの修正を次の観測へ接続します。
失点を5つへ分ける
まず、失点した問題を次の5つに分けます。
- 未学習・知識不足
- 学習済みだが想起できなかった
- 問題文や選択肢を読み違えた
- 時間配分・解答順の問題で処理できなかった
- 緊張や固まりによって普段の動作を再現できなかった
すべてをきれいに分類できるとは限りません。
原因が分からない問題は、
「原因不明」
として残して構いません。
分からないのに、
「きっと知識不足だ」
と決めつける必要はありません。
推測を事実に変えず、そのまま次の観測対象として残します。
模試の判定や点数を、そのまま自己否定へ変えてしまっている場合は、別の問題も含まれます。
→「行政書士試験の模試でE判定を取って崩れる人へ|本番前に壊れる構造」
変更しないものを先に固定する
次に、
今回は変えないもの
を決めます。
たとえば、
- 現在使っている主教材
- 行政法・民法へ戻る学習線
- すでに回っている復習単位
- 睡眠や休息など生活を壊さない最低条件
です。
これは、何があっても絶対に変えてはいけないという意味ではありません。
今回の修正と直接関係しない部分を一時的に固定し、
次の結果と比較できる状態を残す
ためです。
何を変えるかだけではなく、
「今回は何を変えないか」
まで決めると、模試後の過剰修正を防ぎやすくなります。
修正仮説を一件選ぶ
次に、今回試す修正を一つ選びます。
たとえば、
「行政法が悪かったから行政法を増やす」
では、原因と修正の関係がまだ曖昧です。
もう一段階具体化して、
「学習済みの論点を思い出せなかったため、誤答論点へ戻る周期を見直す」
という形にします。
すると、
原因:
学習済みなのに想起できなかった
変更:
誤答論点への再訪周期を修正する
という対応関係ができます。
修正する項目数に唯一の正解があるわけではありません。
ただ、このケースでは、
まず一件に絞って検証する
ところから始めたほうが、何が効いたかを確認しやすくなります。
次の観測点を決める
修正を決めたら、
「次にいつ確認するか」
も決めます。
確認は、次の模試まで待つ必要はありません。
日常の過去問や時間演習でも、
- 同じ論点を再び忘れたか
- 同じ読み違いをしたか
- 同じ時間不足が起きたか
を確認できます。
重要なのは、点数だけを見ることではありません。
修正しようとした失敗が、もう一度起きたかどうか
を観測します。
改善しなければ、
「自分はダメだ」
ではなく、
「今回の仮説では改善しなかった」
と判断します。
そして、原因の見立てや修正方法を変えます。
これが、模試を判定ではなく仮説検証へ変える使い方です。
このケースでやらなくてよいこと

模試の点数が悪かったとしても、次のような対応まで一気に行う必要はありません。
- 模試結果を無視する
- すぐに別の教材を買う
- 全科目の計画を同時に作り直す
- 苦手科目だけへ無期限に集中する
- 勉強時間を一律に増やす
- 低い判定を不合格確定と考える
- 模試そのものを受けないと決める
必要なのは、
一回の結果から、一つの修正を検証できる状態へ戻すことです。
模試を軽視する必要はありません。
むしろ、結果を重く扱うからこそ、
「全部変える」
ではなく、
「何が原因だったのか」
を分ける必要があります。
まとめ|模試後に必要なのは、全修正ではなく比較可能性
模試の点数が悪ければ、焦ることはあります。
しかし、その焦りのまま教材・計画・科目配分を全部変えると、次の結果が出ても何が効いたのか分からなくなります。
必要なのは、
模試の結果を分解する。
変更しないものを残す。
修正する項目を一つに絞る。
そして、次の観測で確認する。
という流れです。
模試の点数が悪かったら、全部を変える前に原因を分ける。維持する軸を残し、修正を一件へ絞り、次の観測で確かめる。
次に模試を受けたあと、
- 今回は変更しないものを3つ
- 次に検証する変更を1つ
書き出してみてください。
模試後に学習全体をリセットするのではなく、今までの学習線へ戻る考え方については、こちらの記事で整理しています。