行政書士試験の模試で、思ったより点数が取れなかった。
判定も悪かった。
その結果を見て、
- 今の勉強法ではダメなのではないか
- 教材を変えた方がいいのではないか
- 行政法や民法の勉強時間を増やすべきではないか
- もう本試験に間に合わないのではないか
と考え始めることがあります。
私自身も、受験生時代には模試の結果を見るたびに判断が揺れました。
点数が悪ければ、今までの勉強そのものが間違っていたように感じます。
しかし、ここで最初にすることは、教材や計画を全部変えることではありません。
模試の点数が悪かったら、まず失点原因を分けてください。
このブログでは、模試の失点をまず次の5種類に分けます。
- 基本知識を知らなかった
- 知っていたが思い出せなかった
- 問題文や選択肢を読み違えた
- 時間配分・解答順序が崩れた
- 緊張・疲労・周囲への反応で普段の手順を変えた
そして、全部を一度に直しません。
本試験までに直す一件を選び、次の演習で改善したか確認します。
模試は、本試験の結果を先に教えてくれるものではありません。
今の学習と試験運用のどこを修正するかを観測するために使います。
模試の点数が悪くても、最初に全部変えない
模試で悪い結果が出ると、大きな変更をしたくなります。
例えば、
- 使っている基本テキストを変える
- 新しい問題集を買う
- 講座を追加する
- 学習計画を最初から作り直す
- 科目ごとの時間配分を一気に変える
といった変更です。
しかし、採点直後にはやらないでください。
なぜなら、その点数だけでは何が原因で失点したか分からないからです。
知識不足だったのかもしれません。
知っていたのに思い出せなかっただけかもしれません。
時間配分で崩れた可能性もあります。
原因を分けずに全部変更すると、次の模試で点数が変わっても、何が効いたのか分からなくなります。
悪い結果を見た直後ほど、変更量を増やさない。
まず分析してください。
点数・順位・判定から分かること、分からないこと
模試では、点数だけでなく順位や判定が出ることがあります。
これらは無視する必要はありません。
ただし、それぞれが示す範囲を超えて解釈しないでください。
点数は、その回の結果を示す
点数は、その模試で何点取れたかを示します。
重要な情報です。
しかし、その数字だけでは、
- 知識不足だったのか
- 読み違いだったのか
- 時間不足だったのか
- 緊張で普段と違う行動をしたのか
までは分かりません。
順位は、受験者集団の中での位置を示す
順位や偏差値が出る模試なら、自分がその受験者集団のどこにいるか確認できます。
ただし、その順位をそのまま本試験の合否へ変換しないでください。
模試ごとに受験者や問題は異なります。
順位は位置情報として使い、修正対象は答案の中から探します。
判定は、一定条件に基づく参考情報として使う
A判定、B判定、E判定などが表示される場合もあります。
悪い判定を見れば、不安になるのは当然です。
ただし、
E判定だった。
から、
今年はもう無理だ。
まで一気に進まないでください。
判定を見た後に確認するのは、具体的にどこで失点したかです。
点数・順位・判定のどれも、本試験の結果や能力を確定しない
模試の結果は重要です。
しかし、
「点数が悪い」
と、
「勉強法が全部間違っている」
「能力がない」
「本試験も不合格になる」
は別の判断です。
模試結果から直接分からないことまで、点数に判断させないでください。
次回の模試で何を観測するか決まっていない場合は、公開模試を選ぶ前に、何を確認するために受けるのか決めてください。
模試後に起きる「全部変える」の失敗連鎖
悪い結果そのものより、その後の判断で崩れることがあります。
典型的なのは次の流れです。
- 模試で悪い結果を見る
- 一部の失点を、学習全体の失敗と解釈する
- 教材・講座・計画・科目配分を同時に変える
- 何が改善したのか比較できなくなる
- 次の模試でも原因を特定できない
例えば、模試後に基本テキストを変え、問題集も追加し、行政法の時間を増やし、勉強時間そのものまで変えたとします。
次の模試で点数が上がったとしても、何が効いたのか分かりません。
下がっても、何が悪かったのか分かりません。
一度に多くの変数を動かすと、模試を受けても学習方法を検証できなくなります。
教材・計画・科目配分を同時に変えると何が検証不能になるかは、Case004|模試の結果に反応して全部変えるケースで具体化しています。
模試の失点を5種類に分ける
模試を採点したら、間違えた問題に原因を一つ付けます。
細かく分類しすぎる必要はありません。
まずは次の5種類で十分です。
1.基本知識を知らなかった
条文、判例、制度、用語など、問題を判断するための基本知識そのものを知らなかったケースです。
これは主教材へ戻ります。
ただし、一問間違えたから章全体を読み直す必要はありません。
その問題に必要だった箇所を確認して、もう一度問題へ戻ります。
2.知っていたが思い出せなかった
解説を見た瞬間に、
これは知っていた。
となる問題です。
知識が完全にないのではなく、問題の中で取り出せませんでした。
この場合は、同じ論点を問題の中で再度使います。
読む量を増やすだけでなく、思い出す反復を入れてください。
3.問題文・選択肢を読み違えた
知識はあったのに、条件を読み落としたケースです。
- 「正しいもの」「誤っているもの」を取り違えた
- 主体を読み違えた
- 時点を見落とした
- 原則と例外を逆に読んだ
こうした失点を、すべて知識不足として処理しないでください。
次の演習で確認すべきなのは、知識量ではなく読み方です。
4.時間配分・解答順序が崩れた
問題単体なら解けたのに、模試では時間が足りなかった。
一問に時間を使いすぎた。
後半が急ぎになった。
これは知識だけの問題ではありません。
次の模試や時間制限付き演習で、解答順序や保留基準を確認する必要があります。
5.緊張・疲労・周囲への反応で普段の手順を変えた
模試は、自宅学習では出ない反応を見ることがあります。
- 緊張して問題文を何度も読み直した
- 周囲のページをめくる音が気になった
- 後半に集中力が落ちた
- 焦って普段とは違う順番で解いた
こうした失点も、テキストを買い替えては直りません。
模試を会場環境も含めた観測として使います。
本試験までに直す失点を選ぶ
失点を分類したら、全部を直そうとしないでください。
本試験までに優先して修正するものを選びます。
判断基準は次の4つです。
- 本試験でも再発しそうか
- 得点源・出題頻度・配点との関係が大きいか
- 残り時間で修正できるか
- 現在の主教材と問題演習で再確認できるか
例えば、行政法の基本論点を何度も落としているなら、優先度は高くなります。
一方で、非常に細かい論点を一問落としただけなら、同じ時間を使う必要はありません。
模試で間違えた問題を、全部同じ重要度で扱わないでください。
どの科目を得点の主戦場として守るか決まっていない場合は、行政書士試験の主要科目と得点戦略から確認してください。
一度に変えるのは一件にする
修正対象を決めたら、一度に全部変えません。
一件について、次の4つを決めます。
- 何を変えるか
- なぜ変えるか
- 次のどの演習で確認するか
- 何ができたら改善したと判断するか
例えば、
行政法の知識が足りないから勉強を増やす。
では広すぎます。
もう少し小さくします。
取消訴訟の出訴期間を繰り返し落としているので、基本テキストの該当箇所を確認し、次の過去問演習で根拠を説明できるか確認する。
このくらいまで絞ります。
複数の修正が必要なら、順番を付けてください。
一件直す。確認する。次へ進む。
この方が、何が改善したか分かります。
模試の復習を48時間で全部終える必要はない
模試は、受けたまま放置しない方がいいです。
ただし、「48時間以内に全問題の復習を完了しなければならない」とは考えないでください。
模試当日や翌日に優先するのは、まず失点の分類です。
- 採点する
- 失点原因を分類する
- 優先して直す問題を決める
- 重点復習を今後の学習計画へ入れる
これで構いません。
一日で全解説を読み直し、全誤答を処理し切ろうとすると、模試復習だけで学習全体が止まることがあります。
早く着手することと、短時間ですべて終わらせることは別です。
新しい教材や予想模試を買う前に、今の失点を処理する
模試の点数が悪いと、新しい教材に解決策を求めたくなります。
しかし、今受けた模試の失点原因も分かっていない段階で教材を増やさないでください。
先に、
- 何を間違えたか
- なぜ間違えたか
- 何を直すか
- どこで再確認するか
を決めます。
その上で、今の教材では確認できないものがあるなら追加を検討します。
市販の予想模試を追加する前に、行政書士の直前予想模試を買うべきか|追加する条件と使い方で、今ある模試を復習し切れるか確認してください。
次の模試・問題演習で修正効果を確認する
一件修正したら、それで終わりではありません。
次の模試や問題演習で再観測します。
確認するのは、点数だけではありません。
- 同じ原因の失点が再発したか
- 決めた手順を守れたか
- 以前読み落とした条件を拾えたか
- 時間配分を守れたか
を確認します。
点数が大きく変わらなくても、工程が改善している場合があります。
逆に点数が上がっても、たまたま得意な問題が多かっただけかもしれません。
結果だけでなく、直そうとした原因が本当に改善したか確認してください。
改善していなければ、努力量を増やす前に原因の解釈が正しかったかを見直します。
模試の結果で勉強法そのものを否定しない
私自身も、模試の結果を見るたびに判断が揺れた経験があります。
点数が低ければ、
今までの勉強が間違っていたのではないか。
と感じます。
しかし、模試で一部の問題を落としたことと、これまでの勉強全体が無効だったことは同じではありません。
すでに正解できている問題もあります。
今までの反復によって得点できている範囲もあります。
そこまで壊してはいけません。
悪かった部分を特定し、そこだけ修正する。
模試後は、この姿勢を基本にしてください。
直前期なら、修正対象をさらに増やさない
本試験が近づくほど、模試結果に対してできることは限られます。
この段階で、未完成な範囲を全部修正しようとしないでください。
優先するのは、
- これまで得点源にしてきた範囲を守る
- 繰り返し落としている基本論点を直す
- 短期間で改善できる読み方や時間配分を修正する
ことです。
直前期に入っている場合は、行政書士試験の直前期は何を勉強する?|全範囲をやり直さず得点線を守る方法へ進み、修正対象を増やさず、守る得点線を固定してください。
模試の点数が悪かったときによくある質問
E判定なら今年の合格は難しいですか?
判定だけで本試験の結果を確定しないでください。
まず、何を失点したのか確認します。
基本問題、読み違い、時間配分など、残り期間で修正できる原因があるなら、そこを直します。
模試が悪かったら教材を変えるべきですか?
点数が悪かったという理由だけでは変えません。
現在の教材では必要な基礎知識を確認できないなど、具体的な不足を特定してから判断してください。
間違えた問題は全部復習するべきですか?
全部を同じ優先度では復習しません。
本試験で再発しやすく、得点への影響が大きく、残り時間で修正できるものから優先してください。
模試の点数が良ければ安心していいですか?
良い結果は確認して構いませんが、それだけで本試験の結果が決まるわけではありません。
正解した問題についても、知識・時間配分・解答手順が再現できたか確認してください。
次の模試も受けるべきですか?
目的があるなら受けます。
例えば、今回修正した時間配分を会場環境でも再現できるか確認する、といった目的です。
不安だから模試の数だけ増やす、という受け方にはしないでください。
まとめ|悪い点数を、次に直す一件へ変える
行政書士試験の模試で点数が悪かったら、最初に教材や計画を全部変えないでください。
まず、失点を次の5種類に分けます。
- 基本知識を知らなかった
- 知っていたが思い出せなかった
- 問題文・選択肢を読み違えた
- 時間配分・解答順序が崩れた
- 緊張・疲労・周囲への反応で手順を変えた
その後、
- 本試験でも再発しそうか
- 得点への影響が大きいか
- 残り時間で修正できるか
- 今の教材と演習で確認できるか
を見て、直す一件を決めます。
そして、
一件変える → 次の演習で確認する → 改善したら次へ進む。
この順番にしてください。
模試の点数は重要です。
しかし、その数字から、勉強法・能力・本試験の結果まで一気に決めないでください。
模試の悪い点数は、学習全体を否定する材料ではなく、次の修正対象を決める材料です。
本試験が近づいているなら、次は直前期に何を守り、何を直し、何を保留するかを固定してください。
結果や残り時間に反応して全体を変える前に、何を観測し、どの条件で修正するかを決めます。全体の判断基準は、行政書士試験の勉強で迷わない判断軸で確認してください。