行政書士試験では、どの科目から優先して勉強すればいいのでしょうか。
試験範囲を見ると、憲法、行政法、民法、商法・会社法、基礎法学、基礎知識まであります。
さらに、択一式だけでなく、多肢選択式や記述式もあります。
すると、
- 全科目を同じように勉強した方がいいのか
- 行政法と民法だけやればいいのか
- 商法・会社法は捨てていいのか
- 基礎知識は直前期だけでいいのか
- 記述式はいつから始めるのか
と迷いやすくなります。
私自身、2016年の行政書士試験では、勉強していたにもかかわらず110点で不合格でした。
当時は、不安になるたびに勉強する範囲を広げたり、周辺科目へ移ったりしていました。
翌年180点で合格した経験から考えると、重要なのは「すべての科目を同じ密度で勉強すること」ではありません。
科目ごとの役割を決め、得点形成の中心になる科目へ十分な時間を配りながら、足切りや周辺科目も必要な範囲で維持することです。
この記事では、行政書士試験の科目を「何を捨てるか」ではなく、合格基準を満たすために、それぞれへどんな役割を持たせるかという視点で整理します。
行政書士試験では、全科目を同じ比重で勉強しない

行政書士試験は、すべての科目を均等に勉強する試験ではありません。
本試験では、法令等が46題、基礎知識が14題です。
配点では、法令等が244点、基礎知識が56点、合計300点です。
合格するためには、原則として次の3条件をすべて満たす必要があります。
- 法令等で122点以上
- 基礎知識で24点以上
- 全体で180点以上
つまり、総合180点だけを見ればよい試験ではありません。
法令等と基礎知識のそれぞれに基準があります。
この試験構造を無視して、すべての科目へ同じ時間を配ったり、苦手科目を丸ごとゼロにしたりすると、合格経路が不安定になります。
まず試験全体の科目・配点・合格基準を確認したい場合は、行政書士試験の内容・科目・配点・合格基準を先に確認してください。
そのうえで、学習上は大きく4つの役割に分けて考えます。
| 役割 | 対象 | 考え方 |
|---|---|---|
| 主戦場 | 行政法・民法 | 得点形成の中心として十分な時間を配る |
| 維持科目 | 憲法・商法会社法・基礎法学など | ゼロにせず、主戦場を削りすぎない範囲で維持する |
| 足切り管理 | 基礎知識 | 全体得点とは別に基準を下回らない状態を作る |
| 答案化 | 記述式 | 行政法・民法の知識を40字程度の答案へ変換する |
この役割分担を作ってから、科目別の勉強時間を考えます。
科目の優先順位は4つの条件で決める

行政書士試験の優先順位を、単に「得意・苦手」で決める必要はありません。
私は、少なくとも次の4つを一緒に見ることをおすすめします。
- 配点と問題数
- 合格基準と足切り
- 理解・想起・答案化に必要な時間
- 現在の失点原因
配点と問題数
まず確認するのは、その科目が試験全体の得点形成にどの程度関係するかです。
問題数が多く、択一式だけでなく記述式にも関係する科目と、出題範囲に対して問題数が少ない科目へ、同じ学習時間を使う必要はありません。
だから、行政書士試験では行政法と民法を中心に置きます。
ただし、「問題数が少ない=勉強しない」とはしません。
問題数は、時間配分を考える材料の一つです。
合格基準と足切り
次に確認するのが、合格基準です。
特に基礎知識は、全体で180点を取れていても、基礎知識の基準を満たしていなければ合格できません。
したがって、行政法・民法へ時間を集中させるとしても、基礎知識を完全に放置する戦略にはできません。
ここでは、
「何点取れば総合点へ貢献するか」と「最低限どこを割ってはいけないか」を分けて考える必要があります。
基礎知識の現行範囲と対策は、行政書士試験の基礎知識対策で詳しく整理しています。
理解・想起・答案化に必要な時間
同じ1問でも、学習に必要な時間は科目によって違います。
例えば民法は、用語だけを覚えても解けない問題があります。
誰と誰の間にどの法律関係があり、どの要件を満たすのかを読み取る必要があります。
そのため、理解から問題演習まで時間がかかる人もいます。
また記述式では、知識を知っているだけでは足りません。
問題文から論点を特定し、必要な要件や効果を思い出し、40字程度へまとめる必要があります。
つまり、科目配分では「問題数」だけでなく、本試験で再現できる状態にするまでの学習負荷も見ます。
現在の失点原因
最後に見るのが、自分の現在地です。
行政法を間違えたから、行政法の勉強時間を増やす。
それだけでは原因が分かりません。
例えば、
- 制度を知らなかった
- 知っていたが思い出せなかった
- 似た制度と混同した
- 問題文を読み違えた
- 判断に時間がかかった
では、必要な修正が違います。
科目名ではなく、失点原因まで見て時間配分を変えます。
行政法と民法を主戦場にする理由
行政書士試験の学習では、行政法と民法を主戦場として固定します。
これは、「他の科目はどうでもいい」という意味ではありません。
限られた学習時間の中で、得点形成の中心となる二科目を安定させるという意味です。
行政法は得点の中心になる
行政法は、行政書士試験の法令等の中でも大きな位置を占める科目です。
行政法総論、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法、地方自治法など、複数の制度を扱います。
そのため、早い段階から全体像をつかみ、問題演習を繰り返しながら制度間の違いを整理する時間が必要です。
行政法の具体的な学習順序や過去問の使い方は、行政書士試験の行政法勉強法で詳しく扱います。
民法は理解と事案判断に時間がかかる
民法も行政書士試験の主戦場です。
民法では、単純な用語暗記だけではなく、問題文の事案関係を読んで判断する必要があります。
誰が誰に何を請求できるのか。
契約は成立しているのか。
取消しや解除が可能なのか。
第三者との関係はどうなるのか。
こうした関係を読めるようになるには、一定の反復が必要です。
「民法は苦手だから後回し」にすると、本試験直前に短期間で取り戻すことが難しくなる場合があります。
民法の問題文をどう整理するかは、行政書士試験の民法勉強法で確認してください。
どちらか一方へ偏ると合格経路が細くなる
行政法が重要だから、行政法ばかりやる。
民法が苦手だから、民法だけを何週間もやる。
どちらも注意が必要です。
主戦場が二つあるのに、一方との接触を長期間切ると、もう一方へ戻ったときに再学習が必要になります。
そこで、行政法と民法については、
- 両方への最低接触を残す
- その週の重点科目を決める
- 重点化を終える条件を先に決める
という運用にします。
行政法と民法の間で実際にどう時間を配るかは、行政法・民法の勉強時間配分と偏りを戻す方法へ進んでください。
周辺科目は捨てず、役割を限定する

行政法・民法を主戦場にすると、次に出てくるのが、
「では、それ以外は捨てていいのか」
という疑問です。
私は、最初から丸ごと捨てるより、役割と停止条件を決める方が扱いやすいと考えています。
基礎法学・憲法
基礎法学や憲法は、行政法・民法と同じ量の時間を投入する必要はありません。
一方で、最初から「取れなくてもいい」とゼロにする必要もありません。
基本事項と過去問へ接触し、自分がどの程度再現できるかを確認します。
憲法については、行政書士試験の憲法勉強法で科目としての扱いを確認してください。
商法・会社法
商法・会社法は、出題範囲が広いため、どこまで勉強するか迷いやすい科目です。
ここでも、
「問題数が少ないから全部捨てる」
か、
「不安だから細かいところまで全部覚える」
かの二択にはしません。
行政法・民法の学習線を守ったうえで、基本事項と過去問へ触れる枠を作り、どこで止めるかを決めます。
具体的な扱い方は、行政書士試験の商法・会社法勉強法|捨てずに時間をかけすぎない対策で整理します。
基礎知識
基礎知識は、「行政法と民法の方が重要だから最後でいい」と単純には扱えません。
基礎知識には独立した合格基準があるためです。
行政書士試験の基礎知識は、一般知識、行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令、情報通信・個人情報保護、文章理解から出題されます。
以前の「一般知識」対策の記事を読む場合は、現在の試験範囲と同じだと思い込まないよう注意してください。
基礎知識は、満点を狙う科目というより、まず足切りリスクを管理する科目として位置づけます。
記述式
記述式を、「択一式とは別の科目」として扱わないことも重要です。
記述式では、行政法・民法などで学んだ知識を使い、問題文から必要な論点を特定して答案へ変換します。
そのため、
- 知識がない
- 知識を思い出せない
- 論点を特定できない
- 答案に必要な要素をまとめられない
を分けて確認します。
記述式の具体的な対策は、行政書士試験の記述式対策で整理しています。
科目配分は固定値ではなく、演習結果で修正する

ここまで読んで、
「では行政法に40%、民法に30%、残りに30%と決めればいいのか」
と思うかもしれません。
私は、科目配分を固定比率にはしません。
学習時期と演習結果によって変えるからです。
例えば行政法の基本問題で安定して判断できるようになり、民法で事案関係を読み違えているなら、民法へ重点を移す必要があります。
反対に、民法へ時間を使いすぎた結果、行政法で以前解けていた問題を落とし始めているなら、行政法への接触を戻します。
基礎知識の問題演習で基準を割る可能性が高いなら、直前期まで放置せず時間を追加します。
つまり配分は、
計画 → 演習 → 失点原因の確認 → 配分修正 → 再演習
の中で更新します。
「苦手だから増やす」だけで判断しない
苦手科目へ時間を使う必要がある場合はあります。
ただし、「苦手」という言葉だけで無制限に時間を増やすと、他の得点源を削る可能性があります。
例えば商法・会社法が苦手でも、そこへ20時間追加することで行政法・民法の復習が止まるなら、全体として得かどうかを判断する必要があります。
見るべきなのは、
- 何点分の改善が期待できるのか
- その改善にどれだけ時間が必要か
- その時間をどの科目から移すのか
です。
得意科目も「完成」と決めつけない
一度点数が取れた科目でも、長期間触れなければ再現できなくなることがあります。
そこで、重点化を終えた科目にも最低接触を残します。
主戦場については特に、「一度できたから終了」ではなく、本試験まで再現できる状態を維持します。
科目配分を週1回レビューする

科目配分は、毎日変更する必要はありません。
一週間程度の単位で確認した方が、変更前後を比較しやすくなります。
例えば週末に、次の5つを確認します。
- 行政法の勉強は維持できたか
- 民法の勉強は維持できたか
- 今週もっとも大きかった失点原因は何か
- 基礎知識の足切りリスクは高くないか
- 来週、時間を増やす科目と減らす科目は何か
そして、一度に大きく全部を変更しません。
まず一つ重点を変え、問題演習で結果を確認します。
週次計画そのものへの落とし込み方は、働きながら崩れない行政書士試験の勉強スケジュールを参考にしてください。
行政法ばかり勉強していないかを監査する

行政法は重要です。
そのため、勉強していると安心感を持ちやすい科目でもあります。
しかし、「重要だから」という理由で行政法ばかり勉強していると、民法や他科目との接触が切れる場合があります。
特に、行政法の正答率をさらに数%上げるために長時間使う一方、民法の基本問題で失点しているなら、配分を見直す余地があります。
行政法を主戦場にすることと、行政法へ無制限に時間を使うことは違います。
この偏りが起きていないかは、Case002|行政法ばかり勉強して他科目との配分が崩れるケースで確認してください。
行政書士試験の科目配分についてよくある質問

行政法と民法だけ勉強すれば合格できますか?
行政法・民法は主戦場ですが、それだけでよいとは言えません。
法令等には憲法、商法・会社法、基礎法学なども含まれますし、基礎知識には独立した合格基準があります。
行政法・民法を中心にしつつ、周辺科目へ必要な接触を残します。
商法・会社法は捨ててもいいですか?
すべての受験生に「捨ててよい」とは言えません。
残り時間、行政法・民法の状態、過去問の再現度などによって判断が変わります。
完全放棄と無制限な深入りの間で、基本事項へ触れる範囲と停止条件を決める方法があります。
苦手科目を最優先した方がいいですか?
必ずしもそうではありません。
苦手度だけでなく、配点、足切り、改善に必要な時間、他科目から移す時間まで見て判断します。
記述式は直前期からでもいいですか?
記述式は行政法・民法の知識を答案へ変換する工程なので、完全に別物として最後まで切り離す必要はありません。
まず行政法・民法の基本知識を作り、その知識を問題文から取り出して40字程度へまとめられるかを確認します。
まとめ|主戦場を固定し、周辺科目は条件付きで管理する
行政書士試験では、すべての科目を同じ比重で勉強する必要はありません。
一方で、問題数が少ないという理由だけで周辺科目を丸ごと捨てるのも危険です。
私は、科目を次の役割に分けて考えることをおすすめします。
- 行政法・民法:主戦場
- 憲法・商法会社法・基礎法学:必要範囲を維持する科目
- 基礎知識:足切りを管理する科目
- 記述式:行政法・民法の知識を答案化する工程
そのうえで、実際の時間配分は固定しません。
問題演習から、
- 何を知らないのか
- 何を思い出せないのか
- どの科目との接触が切れているのか
- どこに足切りリスクがあるのか
を観測し、配分を修正します。
「重要科目だからたくさんやる」ではなく、「合格経路を維持するために、今どの科目へ時間を置くか」を判断する。
これが科目配分の基本です。
行政法と民法を主戦場にすると決めたら、次は二科目の間で実際にどう学習時間を配るかを決めます。
行政書士試験の行政法・民法の勉強時間配分|偏らない計画の作り方へ進んでください。
科目配分は、勉強時間、過去問、直前期など他の判断ともつながっています。全体のどこを優先して直すかは、行政書士試験の勉強で迷わない判断軸から確認してください。