【Case002】行政法ばかり勉強して民法が崩れた人へ|主戦場の中で配分を失うケース

【Case002】行政法ばかり勉強して民法が崩れた人へ|主戦場の中で配分を失うケース

行政法を優先したのに、なぜ民法が崩れるのか

行政書士試験の勉強で、行政法を優先する判断そのものは間違いではありません。

問題になるのは、

「行政法を優先する」ことが、「行政法が完成するまで民法を止めてよい」に変わったときです。

行政法を勉強していると、問題演習の進み具合や正誤が見えやすく、「勉強が進んでいる」という感覚を持ちやすいことがあります。

一方、民法は一つの論点だけを覚えても理解した感覚を持ちにくく、復習しても成果が見えにくいことがあります。

その結果、

「もう少し行政法を固めてから民法へ戻ろう」

という判断を繰り返しているうちに、民法の反復が止まってしまいます。

ここで考えるべきなのは、行政法と民法のどちらを優先するかではありません。

考えるべきなのは、

  • 行政法をどこでいったん止めるのか
  • 民法へいつ戻るのか

という、配分を切り替える条件です。

行政法と民法を主戦場として考える理由については、別の記事で整理しています。

「行政書士試験で最優先すべきは行政法と民法です|主戦場を失うと崩れる」

行政法ばかりになるまでの失敗連鎖

行政法ばかり勉強する状態は、最初から民法を捨てようとして起こるとは限りません。

むしろ、

その時点では合理的に見える判断を繰り返した結果、いつの間にか民法へ戻れなくなる

という形で起こります。

行政法は進んでいる感覚を得やすい

行政法を勉強していて、

  • 今日解いた問題
  • 勉強した範囲
  • 正解できた問題
  • 間違えた論点

などが見えると、「今日は進んだ」という感覚を持ちやすくなります。

分からない科目よりも、手応えを感じられる科目へ戻りたくなるのは不自然なことではありません。

行政法が重要だと考えているのであれば、なおさらです。

問題は、行政法を勉強することそのものではありません。

行政法を続ける判断に、停止条件がないことです。

民法は成果が見えるまで時間がかかる

民法では、一つの知識だけを覚えても、別の論点との関係が分からなければ問題を解けないことがあります。

復習しても、

「本当に分かっているのか分からない」

という状態が続くこともあります。

すると、

「今は行政法を優先したほうが効率がいい」

「行政法がもう少し固まったら民法へ戻ろう」

という判断が合理的に見えてきます。

一回だけなら、大きな問題にはならないかもしれません。

しかし、この判断が繰り返されると、民法の予定が少しずつ後ろへずれていきます。

戻る条件がないまま反復が止まる

ここで大きな問題になるのが、

「いつ民法へ戻るのか」が決まっていないことです。

「行政法が終わったら戻る」

だけでは、復帰条件としては曖昧です。

行政法には、まだ覚えていない論点もあります。

間違える問題もあります。

復習したい範囲も出てきます。

つまり、「行政法が終わった状態」を明確にしなければ、行政法を続ける理由はいくらでも生まれます。

その間、民法の反復は止まります。

反復が止まる期間が長くなるほど、以前勉強した内容も思い出しにくくなります。

すると、久しぶりに民法へ戻ったとき、

「こんなに忘れているなら、もう一度最初からやらないといけない」

と感じやすくなります。

再開するための負担が大きくなり、さらに民法へ戻りにくくなる。

これが、行政法を優先した結果として民法が崩れていく一つの失敗連鎖です。

隠れている判断ミスは「行政法重視」ではない

このケースで修正すべきなのは、

「行政法を重視したこと」

ではありません。

問題は、重要度の判断を、そのまま無制限の時間配分へ変えてしまったことです。

重要度を無制限の時間配分へ変えた

重要な科目には、当然ある程度の学習時間を使う必要があります。

しかし、

重要だから、いつまでも続けてよい

とは限りません。

行政法を優先するなら、

「今日はここまで」

「この範囲まで終えたらいったん切る」

といった停止条件も必要です。

優先順位とは、一つの科目だけを続けることではありません。

限られた学習時間の中で、何にどこまで時間を使うかを決めることです。

優先順位そのものが崩れている場合は、こちらの記事も参考にしてください。

「行政書士試験で優先順位が崩れる人へ|全部やろうとすると落ちる」

完成してから次へ進もうとした

もう一つの問題は、

行政法を完成させてから民法へ戻ろうとすることです。

「行政法が完成したら」という条件を置いてしまうと、民法の再開時点が見えなくなる可能性があります。

行政法も民法も、一度勉強して完成させれば終わる対象ではありません。

勉強した内容を再確認しながら、反復して維持していく必要があります。

そう考えると、

「行政法を完成させてから民法」

ではなく、

「行政法を進めながら、民法も反復から脱落させない」

という設計に変わります。

不安の強さで当日の配分を決めた

勉強していると、

「ここが分からない」

「この範囲が怖い」

という不安は出てきます。

その不安に対応すること自体が悪いわけではありません。

ただし、その日の不安だけで勉強する科目を決め続けると、学習全体の配分は崩れやすくなります。

行政法で間違えるたびに行政法を延長していれば、その分だけ民法の予定が後ろへずれます。

必要なのは、不安を無視することではありません。

不安があっても学習全体の配分が壊れないよう、先に停止条件を決めておくことです。

民法が崩れ始めている観測サイン

民法が苦手だからといって、すぐに勉強方法を大きく変える必要はありません。

まず確認したいのは、民法の能力ではなく、反復そのものが止まっていないかです。

たとえば、次のような状態が複数続いているなら、一度配分を見直したほうがよいでしょう。

  • 民法の予定が、行政法の延長によって繰り返し消えている
  • 次に民法へ戻る日や最低限やる内容を説明できない
  • 民法で前回間違えた理由を思い出せない
  • 新しい範囲は進めているが、以前勉強した範囲を再確認する周期がない
  • 「行政法が終わったら民法をやる」と考えているが、行政法をどこまでやれば終わりなのか説明できない

ここで、

「何日民法をやらなかったら危険」

「毎日何問解かなければならない」

といった一律の基準を作る必要はありません。

使える勉強時間も現在の理解度も、人によって違うからです。

見るべきなのは日数そのものではなく、

自分の学習計画の中で、民法へ再び戻れる構造が残っているかです。

行政法を捨てずに、民法へ戻る条件を作る

民法の反復が止まっているからといって、行政法の勉強をやめる必要はありません。

必要なのは、大規模な計画変更ではなく、二科目の間を移動できる条件を作ることです。

行政法の停止条件を一つ決める

まず、行政法をどこでいったん止めるのかを決めます。

たとえば、

  • 勉強する時間の上限を決める
  • 取り組む問題の単位を決める
  • 復習する範囲を決める

といった方法があります。

どれが正解というわけではありません。

重要なのは、

「まだ不安だから続ける」以外の終了条件を持つことです。

行政法に停止条件があれば、その後に民法へ移る余地を作れます。

民法の最低単位を小さく固定する

次に、民法へ戻ったときに何をするかを決めます。

ここで、

「民法を理解する」

「民法を完璧にする」

という大きな目標を置く必要はありません。

必要なのは、次回も反復を続けられる最小単位です。

たとえば、

「決めた範囲の過去問を解き、間違えた理由を一つ記録する」

という程度でも構いません。

重要なのは問題数ではありません。

民法が学習計画から消えず、次の反復へつながる状態を作ることです。

次の週次確認で配分を再観測する

行政法の停止条件と、民法の最低単位を決めたら、次の週次確認で実際に機能したかを見ます。

ここで確認したいのは、総勉強時間だけではありません。

行政法と民法の両方へ再訪できたか

を確認します。

もし民法へ戻れなかったとしても、

「自分は意志が弱い」

と結論づける必要はありません。

確認するべきなのは、

  • 民法の最低単位が大きすぎなかったか
  • 行政法の停止条件が曖昧ではなかったか

です。

戻れないのであれば、戻れる大きさまで条件を小さくします。

一度崩れた計画へ戻る考え方については、こちらの記事でも詳しく整理しています。

「行政書士試験で本当に重要なのは『戻れること』|崩れても復帰できる人が受かる

このケースでやらなくてよいこと

行政法に偏っていたことに気づくと、反対方向へ一気に修正したくなることがあります。

しかし、このケースでは、次のような対応までは必要ありません。

  • 行政法と民法の時間を必ず半分ずつにする
  • 行政法の学習を中断する
  • 民法を最初から全部やり直す
  • 新しい教材を追加する
  • 一日で遅れを取り戻す

必要なのは、

民法をもう一度、反復の中へ戻すことです。

大きな遅れを一気に取り返そうとすると、今度は民法ばかりになり、別の配分崩壊を起こす可能性があります。

行政法を捨てる必要もありません。

民法を一気に完成させる必要もありません。

まずは、行政法と民法の双方が学習計画から消えない状態へ戻します。

まとめ|主戦場は一科目へ寄せることではない

行政法を優先する判断そのものは間違いではありません。

崩れるのは、

行政法を優先することが、民法を無期限に止めることへ変わったときです。

必要なのは、行政法か民法かを毎日選び直すことではありません。

行政法には停止条件を置き、民法には戻るための最低単位を置く。

そして、次の週次確認で二科目とも反復から脱落していないかを確認する。

この構造を作れば、行政法を優先しながら民法を維持することができます。

行政法を優先しても、民法へ戻る条件は消さない。主戦場を守るとは、行政法と民法の双方が反復から脱落しない状態を作ることです。

次の学習日程を作るときに、

「行政法をどこで止めるか」

そして、

「民法では最低限何をするか」

を一つずつ書いてみてください。

科目ごとの「完成」を目指すのではなく、試験全体から学習配分を考えたい場合は、こちらの記事へ進んでください。

「行政書士試験は満点を取る試験ではない|180点思考の話」

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