行政書士試験の勉強計画|働きながら崩れないスケジュールの立て方

行政書士試験の勉強計画|働きながら崩れないスケジュールの立て方

働きながら行政書士試験を目指す場合、勉強計画はどう立てればいいのでしょうか。

「平日は毎日3時間、休日は8時間」
「○月までにテキストを3周して、○月から過去問を5周する」

最初は、このようなきれいな計画を作りたくなります。

しかし、社会人の勉強では、仕事、残業、家事、家族の予定、体調などによって使える時間が変わります。

問題は、予定どおり進まないことではありません。
予定が崩れたときに、どう戻るかを決めていないことです。

私自身、行政書士試験に一度不合格になり、翌年に働きながら合格しました。
振り返ると、不合格だった年は勉強量がまったく足りなかったわけではありません。
不安になるたびに教材や優先順位を変え、計画が遅れると別の方法で取り戻そうとしていました。

合格年に変わったのは、「完璧な計画を守ること」より、今どこまでできていて、次に何を優先するかを見るようになったことです。

この記事では、行政書士試験の勉強時間を、働きながら続けられる週次計画へ変換する方法と、予定が崩れたときの修正方法を整理します。

働きながらでも行政書士合格は目指せるが、時間の条件は消えない

行政書士試験は、働きながらでも合格を目指せます。
私自身も働きながら受験しました。

しかし、ここから、
「仕事をしながらでも、効率よくやれば誰でも合格できる」とは言えません。
試験までに必要な学習を行う時間は、どこかで確保する必要があります。

法律の理解。
問題演習。
復習。
記述式。
基礎知識。
本試験形式での確認。

これらを行う時間そのものは必要です。

だから、「働きながら合格できるか」を考えるときは、成功した人の1日のスケジュールをそのまま真似するのではなく、自分の生活の中で、合格に必要な学習線を維持できるかを考えます。

まだ自分に必要な学習量を整理していない場合は、先に行政書士試験に必要な勉強時間を自分の不足工程から見積もるところから始めてください。

勉強計画を立てる前に固定する4つの条件

いきなり毎日の予定表を作る必要はありません。

先に次の4つを固定します。

  1. 試験日と残り週数
  2. 一週間に使える現実的な時間
  3. 主教材と問題演習
  4. 科目の優先順位

試験日と残り週数

最初に、本試験まであと何週間あるのか確認します。

行政書士試験は、例年11月第2日曜日に実施されます。

受験する年度が変わった場合は、必ず行政書士試験研究センターの最新案内で日程を確認してください。

「あと半年」よりも「あと26週間」のように週単位で考えると、その後の計画へ落とし込みやすくなります。

例えば残り30週で、通常週に10時間使えるなら、単純計算では300時間の学習枠があります。

これは300時間で合格できるという意味ではありません。
現在の生活条件で使える時間資源が約300時間あるということです。

その枠の中で何を優先するかを決めます。

一週間に使える現実的な時間

次に、一週間の学習可能時間を出します。

ここで使うのは、何も予定がなく体調もよい「理想の一週間」ではありません。

普段の生活で繰り返せる通常週です。

例えば、

曜日現実的な学習枠
1時間
1時間
30分
1時間
30分
3時間
3時間
合計10時間

という形でもかまいません。

毎日同じ時間を設定する必要はありません。

仕事が忙しい曜日は短くし、休日にまとまった時間を確保する方法でもいいでしょう。

最初から最大出力で計画を作らないことが重要です。

主教材と問題演習を固定する

時間を確保できても、その時間のたびに「今日は何をやろう」と考えていると、学習が散らばります。

そこで、まず主教材を決めます。

基本テキスト。
中心となる問題集または過去問。
必要に応じて記述式や基礎知識の教材。

これらの役割を決めます。

新しい教材を追加するたびに、学習対象と復習対象が増えます。

計画を立てる段階では、教材数を増やすより、何を中心に繰り返すかを固定する方が重要です。

行政法・民法を中心に優先順位を固定する

すべての科目を同じ比率で勉強する必要はありません。

行政書士試験では、行政法と民法を中心に学習時間を確保します。

もちろん憲法、商法・会社法、基礎法学、基礎知識も必要です。

しかし、予定が崩れるたびに周辺科目へ動き、行政法・民法の時間が削られると、学習の軸が不安定になります。

どの科目を主戦場とするかは、行政書士試験で行政法・民法を優先する理由と科目配分で整理しています。

年間計画ではなく「時期ごとの到達状態」を決める

年間計画を立てるときに、

「4月までにテキスト2周」
「7月までに過去問3周」

のように、教材を何周するかだけで管理する方法があります。

周回数は進捗を確認しやすい反面、何ができるようになったかを保証しません。

そこで、時期ごとに到達していたい状態を決めます。

全体像と基本事項をつかむ時期

学習初期は、完璧な暗記より全体像をつかむことを優先します。

  • 行政法にはどんな制度があるか
  • 民法ではどんな関係を扱うか
  • 基本用語の意味が分かるか
  • テキストのどこに何が書いてあるか分かるか

といった状態を目指します。

一度で覚え切ろうとして進まなくなるより、問題演習へ移れる状態を作ります。

過去問で失点原因を集める時期

基本事項を一通り確認したら、問題演習を増やします。

ここでは正答率だけを見るのではありません。

間違えた理由を確認します。

  • 知らなかった
  • 覚えていたが思い出せなかった
  • 似た制度と混同した
  • 問題文を読み違えた
  • 判断に時間がかかった

この失点原因が、次の週の計画材料になります。

つまり問題演習は、実力を測るだけでなく、次に何を勉強するか決めるための観測でもあります。

本試験形式で運用を確認する時期

試験が近づいたら、知識だけでなく本試験での運用も確認します。

行政書士試験の試験時間は3時間です。

本試験では、限られた時間の中で問題を読み、判断し、記述式も処理する必要があります。

この段階では、

  • 時間配分
  • 解く順番
  • 迷った問題を保留する判断
  • 記述式に残す時間
  • 集中力の維持

まで確認します。

模試はそのための手段の一つですが、すべての模試を受けること自体を目的にする必要はありません。

今の自分に必要な観測ができるかで使います。

週次計画は「できる日の最大量」ではなく「通常週」で作る

社会人の計画で特に重要なのがここです。

調子のよい日に3時間勉強できたからといって、毎日3時間を計画の最低条件にしないでください。

最大出力を通常運転として設定すると、少し仕事が忙しくなっただけで計画が破綻します。

例えば、普段は週10時間、余裕がある週なら15時間できる人なら、10時間前後を通常週として設計します。

15時間は追加で進められる余力です。

すべての時間を予定で埋めない

一週間に10時間使えるとしても、10時間すべてを細かい予定で埋める必要はありません。

例えば8時間を予定し、2時間を予備枠として残す方法があります。

予備枠は、

  • 予定より理解に時間がかかった
  • 復習が必要になった
  • 平日の学習が一度できなかった
  • 模試の復習が増えた

といった変動を吸収するために使います。

計画に余白があることは、計画が甘いという意味ではありません。

現実の変動を吸収する機能を計画に持たせているということです。

教材消化率と実力を分ける

「テキストを70%まで進めた」

「過去問を2周した」

という記録は、教材の進捗です。

一方、

「行政法の取消訴訟で原告適格を混同する」

「民法の解除と取消しを区別できない」

という記録は、学習状態です。

教材を予定どおり消化していても、理解・想起ができていなければ修正が必要です。

逆に、予定より進みが遅くても、重要論点を理解できるようになっているなら、必ずしも失敗とは限りません。

勉強計画から遅れても、全部を取り戻さない

予定が崩れたとき、私たちは「遅れた分を取り戻そう」と考えます。

しかし、すべての未実施項目を翌週へ移すと、計画はどんどん重くなります。

例えば、今週予定していた10時間のうち6時間しかできなかったとします。

翌週の通常予定10時間に、未消化の4時間をそのまま足せば14時間です。

それも終わらなければ、さらに翌週へ持ち越します。

すると、過去の遅れを返済することが目的になり、本試験までに必要な現在の学習が見えなくなります。

遅れたときは、未実施項目を次の3つに分けます。

判断意味
維持する合格経路上、今やる必要がある
延期する必要だが今週でなくてもよい
捨てる優先順位が低く、今回の計画から外す

ここで守るのは、予定表ではありません。

本試験までの合格経路です。

例えば行政法の基本問題が十分に解けないのに、「今週予定していたから」という理由で周辺科目を優先する必要はありません。

現在地を見て、必要な順序へ戻します。

遅れをすべて持ち越して計画そのものが負債になる構造は、Case006|勉強の遅れを全部回収してスケジュール負債にする失敗で詳しく整理しています。

計画を変更するときは、一度に全部変えない

模試で点数が悪かったり、予定より進まなかったりすると、学習方法を一気に変えたくなります。

  • テキストを変える
  • 問題集を追加する
  • 勉強時間を増やす
  • 科目の優先順位を変える
  • 新しい勉強法を試す

これを同時に行うと、どの変更が良かったのか分からなくなります。

まず失点原因を観測します。

次に、一番大きな原因へ一つ修正を入れます。

そして一定期間、結果を観測します。

観測 → 解釈 → 判断 → 修正 → 再観測

という順番を守ると、勉強計画を改善しやすくなります。

高出力を出せない日の運転状態を先に決めておく

働きながら勉強していると、「今日は予定どおりできない」という日は必ずあります。

そのたびにゼロから判断すると、

「3時間できないなら今日は意味がない」

となりやすくなります。

そこで、勉強計画の中にあらかじめ3つの運転状態を作っておきます。

標準運転

通常の生活状態で実行する計画です。

例として、

  • 行政法の過去問20問
  • 間違えた論点をテキストで確認
  • 民法の復習30分

など、通常週で繰り返せる量にします。

低出力運転

疲労や仕事の都合で、標準量は難しいものの、少しなら学習できる状態です。

この日は、学習量を取り戻すことより、次に再開できる状態を残します。

例えば、

  • 前日の間違いを3問だけ確認する
  • 基本テキストの該当部分だけ読む
  • 一問一答を短時間行う
  • 翌日再開するページへ付箋を置く

といった方法があります。

低出力の日に何をすればよいかは、行政書士試験の低出力日に学習線を残す勉強法で具体的に整理しています。

休息

体調や疲労によっては、勉強しない方がよい日もあります。

ここで重要なのは、休息を計画失敗と同じ「ゼロ」で扱わないことです。

意図して休み、翌日以降の回復につなげる休息と、

「まとまった時間がないから」と開始を避ける回避では、意味が違います。

休息が必要なら休む。

少しなら動けるなら低出力へ落とす。

通常なら標準運転へ戻る。

この三状態をあらかじめ持っておくと、「100か0か」の計画になりにくくなります。

まとまった勉強時間を開始条件にしてゼロを選んでしまう構造は、Case007|3時間できない日にゼロを選ぶ失敗構造で詳しく扱います。

学習記録は「反省」ではなく翌週の修正に使う

勉強記録をつけるとき、

「今日は2時間しかできなかった」

「予定を達成できなかった」

という反省だけで終わらせない方がよいでしょう。

記録は次の計画を修正するために使います。

観測するもの
実施時間8時間/予定10時間
進んだ工程行政法過去問、民法復習
止まった原因残業2日、行政法の復習に想定以上の時間
学習状態行政法は改善、民法の想起が弱い
翌週の変更周辺科目を延期し、民法復習を1時間追加

こうしておけば、

「自分は計画を守れない」

という性格の話ではなく、

どの条件で計画が止まり、どこを直せば戻れるか

という設計の問題として扱えます。

週1回、15分で勉強計画をレビューする

毎日の予定を細かく作り直す必要はありません。

私は、週単位で計画を見直す方が社会人には扱いやすいと思います。

週末などに、次の5つを確認します。

  1. 今週は何時間使えたか
  2. 何ができるようになったか
  3. どこで止まっているか
  4. 来週も維持すべき最優先事項は何か
  5. 捨てる・延期する予定はあるか

そして翌週の予定を修正します。

このとき、「遅れているから全部増やす」ではなく、一つの改善を入れて様子を見ます。

計画そのものを毎週大改造すると、比較できなくなるからです。

行政書士試験の勉強計画についてよくある質問

働きながら行政書士試験に合格できますか?

働きながらでも合格を目指すことは可能です。私自身も働きながら合格しました。

ただし、仕事をしていることによる時間・疲労・予定変動の条件は消えません。

成功例の1日の勉強時間をそのまま真似するより、自分の通常週で確保できる時間と必要な学習工程を突き合わせて計画してください。

毎日勉強した方がいいですか?

毎日実行すること自体を最終目的にする必要はありません。

休息が必要な日は休むことも選択肢です。

一方、短時間なら可能なのに「2時間できないから今日はゼロ」となる場合は、開始条件が高すぎる可能性があります。

標準・低出力・休息を分けて考えると判断しやすくなります。

予定より遅れたらどうすればいいですか?

未実施の予定をすべて翌週へ足さないでください。

今の本試験までの経路を見て、「維持する」「延期する」「捨てる」に分けます。

予定表を元に戻すことより、重要な学習を継続できる状態へ戻すことを優先します。

平日にまとまった時間がありません

平日に長時間を確保できない場合は、短時間で行う役割を決めておきます。

例えば、前日の復習、過去問数問、想起、翌日の再開準備などです。

すきま時間の具体的な使い方は、行政書士試験のすきま時間勉強法|短時間学習を主教材へ接続する方法で整理しています。

まとめ|勉強計画は守る表ではなく、戻る経路です

行政書士試験の勉強計画では、きれいな予定表を作ることより、崩れたときに戻れる仕組みを作ることが重要です。

最初に固定するのは、

  • 試験日と残り週数
  • 通常週に使える現実的な時間
  • 主教材と問題演習
  • 行政法・民法を中心とする優先順位

です。

そして年間計画では、「教材を何周するか」だけではなく、

  • 基本事項を理解する
  • 問題演習で失点原因を集める
  • 本試験形式で再現できる状態を作る

という到達状態を決めます。

予定より遅れたときは、すべてを回収しません。

維持するもの、延期するもの、捨てるものを分けます。

さらに、毎日高出力を前提にせず、

  • 標準運転
  • 低出力運転
  • 休息

の三状態を持っておきます。

計画とは、毎日予定どおり行動するための命令表ではありません。

仕事や体調で予定が崩れても、自分が次に戻る場所を分かるようにする地図です。

今週できなかったことを全部背負って翌週へ進むのではなく、現在地を観測し、本試験までに必要な経路へ戻してください。

そして「まとまった時間が取れないと何も始められない」という状態になったら、次はCase007|3時間できない日にゼロを選んでしまう失敗構造を確認してください。

時間や計画を直すときは、この方法だけでなく、何を維持し、どの条件で変更するかを決める必要があります。全体の判断基準は、行政書士試験の勉強で迷わない判断軸で確認できます。

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