行政書士試験の記述式対策に時間を使うこと自体は、間違いではありません。
記述式は対策が必要です。
問題は、記述式で一問書けなかったときに、
「記述式の練習が足りない」
とだけ判断し、専用対策を増やし続けることです。
記述式では、行政法・民法などで学んだ知識を答案へ変換します。
そのため、書けなかった原因が法令知識そのものにあるなら、記述式問題を追加するより行政法・民法へ戻る必要があります。
記述式で書けなかったら、練習量を増やす前に「どこで止まったか」を分ける。
これが、このケースから戻るための最初の判断です。
全科目の優先順位そのものは、行政書士試験の科目別優先順位で整理しています。
記述式対策を増やしたのに、なぜ全体が崩れるのか

行政書士試験の記述式は、直近公表済みの配点では3問60点です。
60点という数字を見ると、大きく感じます。
だから、
- 記述式問題集を増やす
- 模範解答を何度も読む
- 記述式専用の時間を増やす
- 行政法・民法の択一演習を減らす
という方向へ動きやすくなります。
しかし、配点が60点あることと、学習時間の20%を必ず記述式へ使うことは別の話です。
記述式で必要になる材料の一部は、行政法・民法の学習で作られます。
そこを削って記述式専用練習だけを増やせば、答案へ入れる知識そのものが弱くなることがあります。
記述式ばかりになるまでの失敗連鎖

一問書けないと、60点全部を失うように感じる
記述式で白紙になる。
模範解答と大きく違う。
すると、一問の結果から、
「記述式が全然できない」
「このままでは60点を失う」
と問題を大きくしやすくなります。
不安になること自体は不自然ではありません。
問題は、一問の失敗をそのまま「記述式対策を増やす」という判断へ変えることです。
書けない原因を「練習量不足」にまとめる
同じ「書けない」でも、原因は違います。
- 必要な法令知識を思い出せなかった
- 問題文から論点を特定できなかった
- 答案へ入れる要素を選べなかった
- 40字程度へ構成できなかった
- 本番形式になると書き始める前に止まった
これを全部「記述式の演習不足」と処理すると、どの失敗にも同じ練習を追加することになります。
記述式そのものの答案化工程を確認したい場合は、行政書士試験の記述式対策|知識を答案に変える練習方法へ進んでください。
記述専用対策が行政法・民法を押し出す
一日の勉強時間は、記述式対策を増やしたからといって増えるわけではありません。
記述式へ1時間追加すれば、その1時間はどこかから移ってきます。
そこで行政法・民法の過去問や誤答復習が削られると、法令知識への再接触が減ります。
すると、
記述式が書けない
↓
記述式対策を増やす
↓
行政法・民法の反復が減る
↓
答案へ使う知識を取り出しにくくなる
↓
さらに記述式が書けなくなる
という循環へ入ります。
隠れている判断ミスは「記述式を重視したこと」ではない

このケースで間違っているのは、記述式を重視したことではありません。
重視すべき科目です。
判断ミスは、重要度を無制限な時間投入へ変えたことです。
配点をそのまま勉強時間へ変えた
試験の配点は、重要な判断材料です。
しかし、配点比率と最適な勉強時間比率が一致するわけではありません。
現在の知識、失点原因、残り時間によって必要な配分は変わります。
記述式を独立した科目として扱った
記述式では、行政法・民法で学んだ知識を答案へ使います。
したがって、
「記述をやるか、行政法・民法をやるか」
という完全な二者択一ではありません。
知識不足なら主戦場へ戻り、答案への変換で止まった場合に記述式として練習します。
書けないたびに練習量を増やした
一問書けなかった。
だから5問追加する。
さらに問題集を一冊追加する。
これでは、元の原因が改善したか確認できません。
量を増やす前に、どの工程で止まったかを確認します。
記述式対策が主戦場を削っているサイン
次の状態が複数続いているなら、記述式の能力より科目配分を確認してください。
- 記述式を何時間やったかは分かるが、最後に行政法・民法へ戻った日が分からない
- 模範解答を読んでいるが、その根拠となる法令知識を過去問で確認していない
- 書けなかった理由を毎回「練習不足」で終えている
- 記述式問題集を進めるほど、行政法・民法の誤答復習が後回しになる
- 記述式対策をいつ終了するのか決まっていない
- 「不安がなくなるまで」が学習終了条件になっている
該当したからといって、記述式をやめる必要はありません。
追加投入の上限と、主戦場へ戻る条件を作ります。
記述式を捨てずに主戦場へ戻す
書けなかった原因を分ける
| 原因 | 戻る場所 |
|---|---|
| 法令知識を思い出せない | 行政法・民法の該当論点 |
| 論点を特定できない | 問題文と論点を接続する記述練習 |
| 答案要素を選べない | 要素抽出の練習 |
| 字数内へ構成できない | 答案編集の練習 |
| 本番形式で開始できない | 白紙化の復旧手順 |
本番形式で手が止まる場合は、行政書士試験の記述式で白紙になるときの判断手順へ進んでください。
記述式対策の停止条件を決める
記述式へ重点的に時間を使うなら、終わる条件も同時に決めます。
- 今日扱う問題数が終わったら戻る
- 今回の誤答原因を一つ特定できたら戻る
- 重点対象にした工程を次の一問で確認できたら戻る
- 先に決めた時間枠を超えたら戻る
「不安が消えるまで」は停止条件にしません。
行政法・民法への最低接触を残す
記述式重点週でも、行政法・民法への接触をゼロにしません。
以前の誤答を数問確認する。
重点論点を短く想起する。
主教材へ戻る。
最低接触の量は人によって変わります。
重要なのは、記述式対策を追加した結果、主戦場との接続が消えないことです。
このケースでやらなくてよいこと
- 記述式対策を全部やめる
- 記述式と択一式を固定比率で分ける
- 模範解答を大量に丸暗記する
- 書けなかった問題ごとに教材を増やす
- 行政法・民法を止めてから記述式を完成させる
- 記述式への不安を完全になくしてから主戦場へ戻る
必要なのは記述式の軽視ではありません。
失点原因に応じて、記述式と行政法・民法を行き来できる状態です。
まとめ|記述式を主戦場から切り離さない
記述式で書けなかったからといって、すぐに専用対策を増やす必要はありません。
まず確認するのは、どこで止まったかです。
- 知識不足なら行政法・民法へ戻る
- 論点特定なら問題文との接続を練習する
- 要素抽出なら答案材料を選ぶ練習をする
- 構成なら字数内へ編集する
- 本番停止なら白紙化の復旧手順を練習する
記述式で書けなかったら、練習量を増やす前に停止箇所を分ける。
知識不足は行政法・民法へ戻し、出力上の問題だけを記述式対策で扱う。
記述式の60点だけを見るのではなく、試験全体から配分を判断したい場合は、行政書士試験を180点から逆算して考える方法へ進んでください。
科目や得点への反応以外にも、計画・問題演習・情報収集で学習が崩れる場合があります。自分に近い原因を見直す場合は、行政書士試験の失敗パターン総合案内から一つ選んでください。