【Case015】不合格直後に教材も計画も全部捨てた人へ|原因を分けず学習資産まで失うケース

【Case015】不合格直後に教材も計画も全部捨てた人へ|原因を分けず学習資産まで失うケース

不合格直後は、なぜ全部捨てたくなるのか

行政書士試験で不合格になると、

「今までの勉強方法は全部間違っていたのではないか」

「この教材を使い続けても、また同じ結果になるのではないか」

「次は何もかも変えたほうがいいのではないか」

と考えることがあります。

不合格という結果を受けて、勉強方法を見直すこと自体は必要です。

ただし、

不合格だったからといって、教材も計画も勉強方法も全部捨てる必要はありません。

試験結果は一つでも、その結果を生んだ原因は一つとは限らないからです。

知識が足りなかったのか。

覚えた知識を取り出せなかったのか。

問題で使えなかったのか。

時間配分が崩れたのか。

復習方法が機能していなかったのか。

それぞれで、修正すべき場所は違います。

だから、不合格後に最初に行うのは全リセットではありません。

これまでの学習を、

  • 維持する
  • 修正する
  • 廃棄する
  • 原因不明として残す

に分けます。

つまり、

「全部変えれば次は受かるか」ではなく、「どの工程は機能し、どこで得点への接続が切れたのか」

を確認します。

不合格直後に何をしてはいけないかという全体像については、こちらの記事で整理しています。

「行政書士試験で不合格になった人へ|落ちた後に一番やってはいけないこと」

学習資産まで失う失敗連鎖

不合格後に全リセットしてしまう人も、反省していないわけではありません。

むしろ、

次こそ失敗したくないから、大きく変えようとする

ことで、使える学習資産まで失うことがあります。

不合格を方針全体の失敗にする

不合格という結果は重いものです。

だから、

「結果が出なかった以上、今までの方法には意味がなかった」

と感じることがあります。

しかし、不合格だったとしても、

  • 正解できるようになった範囲
  • 以前より誤答が減った論点
  • 継続できた学習時間帯
  • 回し続けられた教材
  • 機能した復習方法

まで、すべて無価値だったとは限りません。

結果が合格に届かなかったことと、

学習のすべての工程が機能していなかったことは別です。

ここを分けないと、使えていた部分まで捨てることになります。

新しい教材と計画へ救済を求める

全部が間違っていたと感じると、新しいものへ変えたくなります。

教材を変える。

講座を変える。

勉強法を変える。

科目配分を変える。

学習時間を増やす。

計画をゼロから作り直す。

変更するものが多いほど、

「今度は前回と違う」

という感覚を持てます。

しかし、

変更量が大きいことと、改善量が大きいことは同じではありません。

何が原因だったか分からないまま全部変えると、どの変更が必要だったのか分からなくなります。

比較可能な記録を失う

全リセットには、もう一つ問題があります。

前回との比較ができなくなることです。

教材も変えた。

学習時間も変えた。

復習方法も変えた。

科目配分も変えた。

すると、次に結果が変わっても、

何が影響したのか判断できません。

さらに、

前回使っていた教材。

誤答記録。

学習履歴。

計画。

まで捨ててしまえば、

前回の自分がどこで止まっていたかを確認する材料そのものがなくなります。

そして次に不調が起きたとき、

また全部を変えるしかなくなります。

隠れている判断ミスは「反省したこと」ではない

このケースで問題なのは、不合格後に反省したことではありません。

必要なのは、

結果と原因を分けること

です。

結果から原因を直接決めた

「不合格だった」

というのは結果です。

しかし、

「だから教材が悪かった」

「だから独学が間違っていた」

「だから勉強時間が足りなかった」

までは、その結果だけでは分かりません。

原因を決めるには、もう一段階必要です。

たとえば教材を変えるのであれば、

「この教材では必要な範囲を確認できなかった」

「自分の学習方法では使い切れなかった」

など、教材と失点のつながりを確認する必要があります。

不合格だから教材が悪い。

不合格だから計画が悪い。

とは限りません。

変更と改善を同じものにした

何かを変えると、

「改善した」

ように感じることがあります。

しかし、

変更はただの変更です。

実際に、

  • 誤答が減った
  • 想起できるようになった
  • 復習へ戻れるようになった
  • 時間内に処理できるようになった

という変化があって、初めて改善だったと評価できます。

つまり、

変更した時点では改善したかどうかはまだ分かりません。

だから、変更には必ず次の観測点をセットにします。

使える資産の維持を「同じ失敗の反復」と解釈した

前回と同じ教材を使う。

前回と同じ時間帯で勉強する。

前回と同じ復習方法を一部残す。

こうしたことに対して、

「また同じことをしたら、同じ結果になる」

と感じることがあります。

しかし、

問題だった工程と、機能していた工程は分ける必要があります。

使えていた教材まで捨てることが、必ずしも改善にはなりません。

むしろ、

機能した部分を残したうえで、切れていた工程だけ修正する

ほうが、前回との比較もしやすくなります。

全リセットに入っている観測サイン

不合格後に大きく計画を変えること自体が、必ずしも悪いわけではありません。

確認したいのは、

変更理由が不合格という結果だけになっていないか

です。

たとえば、次のような状態が複数ある場合は、一度変更を止めて分析したほうがよいでしょう。

  • 成績や誤答を確認する前に新しい教材を探している
  • 次年度へ維持する項目が一つもない
  • 教材変更の理由が「不合格だったから」だけになっている
  • 前回継続できた学習時間帯や復習単位を記録していない
  • 複数の変更を同時に始めようとしている
  • 前回どこで得点できていたかを確認していない
  • 原因が分からない部分まで、無理に理由をつけている

ここで必要なのは、

「何も変えるな」

ということではありません。

変える前に、何を残すかを決めること

です。

不合格後の学習を、維持・修正・廃棄へ分ける

全リセットを止めたら、前回の学習を分解します。

機能したものを先に残す

最初に見るのは、失敗した部分だけではありません。

機能していたものも確認します。

たとえば、

  • 得点へつながっていた範囲
  • 継続できていた反復単位
  • 実際に使い切れた教材
  • 誤答を減らせた学習方法
  • 無理なく確保できていた学習時間帯

です。

ここは、次年度へそのまま持ち越す候補になります。

新しくする前に、

残せる学習資産を確定する

ことが重要です。

筆者自身の110点不合格経験から、教材量ではなく判断ミスを分解した例については、こちらの記事で扱っています。

「【Case001】行政書士試験110点不合格から見えた判断ミス」

断絶した工程を特定する

次に、

どこで得点への接続が切れたのかを確認します。

たとえば、

  • 必要な知識へ十分接触できていなかった
  • 学習済みなのに思い出せなかった
  • 知識はあったが問題へ使えなかった
  • 誤答後の再確認ができていなかった
  • 時間配分が崩れた

などです。

ここで大切なのは、

原因が分からないものを、無理に決めないこと

です。

確認できない場合は、

「不明」

として残します。

原因不明は失敗ではありません。

次に確認すべき観測対象です。

自分の判断のズレをもう少し広く確認したい場合は、こちらの記事も使えます。

「行政書士試験で勉強しているのに伸びない人へ|あなたの『判断のズレ』を診断する(YES/NO)」

変更を原因へ接続する

原因の仮説ができたら、変更を対応させます。

教材を変えるなら、

教材そのものの機能不足が確認できたとき。

計画を変えるなら、

実際の可処分時間と予定量が合っていなかったとき。

復習方法を変えるなら、

同じ誤答が繰り返され、再訪が機能していなかったとき。

というように、

原因と変更を一対一に近づけます。

「不合格だったから全部変える」

ではなく、

「この工程が切れていたから、この部分を変える」

へ変えます。

次の観測点を決める

変更したら、

次に何を確認すればよいかも決めます。

たとえば、

復習周期を変えたのであれば、

同じ論点を再び間違えるか。

教材を変えたのであれば、

以前確認できなかった範囲を扱えるようになったか。

時間配分を変えたのであれば、

最後まで処理できるようになったか。

を見ることができます。

結果が改善しなければ、

「また失敗した」

ではなく、

「今回の原因仮説では改善しなかった」

と判断します。

そして仮説を更新します。

「不明」を残してもいい

不合格後は、

「原因を全部突き止めなければ」

と考えやすくなります。

しかし、後から見ても分からないことはあります。

なぜその問題で迷ったのか。

なぜ当日は普段どおりできなかったのか。

なぜ特定の範囲だけ不安定だったのか。

確認できないなら、

無理に説明を作る必要はありません。

だから分類には、

  • 維持
  • 修正
  • 廃棄

だけでなく、

不明

を置きます。

不明なものは、

次の学習期間で観測します。

次に同じ問題が起きるのか。

別の場面でも再現するのか。

そこで初めて原因仮説を更新できます。

推測を事実に変えないことも、不合格後の再設計では重要です。

このケースでやらなくてよいこと

不合格だったとしても、次のようなことを急いで行う必要はありません。

  • 不合格直後に次年度計画を完成させる
  • 使っていた教材を全部捨てる
  • 不合格原因を一つに決める
  • 勉強時間だけを増やす
  • 講座や教材を一度に総入れ替えする
  • 前年と同じものを使うことを失敗と考える
  • 原因不明を無理に説明する

必要なのは、

前回とまったく違う自分になることではありません。

使えるものを残し、切れていた工程を修正すること

です。

まとめ|不合格後に捨てるのは、全部ではない

行政書士試験で不合格になると、

これまでの学習を全部否定したくなることがあります。

しかし、

不合格という結果が一つだからといって、原因まで一つとは限りません。

そして、学習のすべてが機能していなかったとも限りません。

だから、

前回の学習を、

  • 維持する
  • 修正する
  • 廃棄する
  • 不明として残す

に分けます。

そのうえで、

変更する部分だけを原因仮説へ接続し、次の観測点を決めます。

結果を受け止めても、学習全体を否定しない。維持・修正・廃棄を分け、変更を原因仮説と次の観測へ接続する。

前回の学習を振り返るなら、まず四列を作ってみてください。

維持するもの

修正するもの

廃棄するもの

まだ原因が分からないもの

全部を捨てる前に、何が次年度にも使える資産なのかを残します。

そして、崩れたあとに既存の学習線へ戻るという考え方については、こちらの記事で整理しています。

「行政書士試験で本当に重要なのは『戻れること』|崩れても復帰できる人が受かる」

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です