行政書士になる方法は、行政書士試験に合格することだけではありません。
現在の行政書士法では、大きく分けると次の3つのルートがあります。
- 行政書士試験に合格する
- 弁護士・弁理士・公認会計士・税理士となる資格を持つ
- 一定期間、公務員等として行政事務を担当する
ただし、ここで一つ区別が必要です。
「行政書士となる資格を得ること」と、「行政書士として登録して仕事をすること」は別です。
行政書士となる資格があっても、そのまま行政書士として業務を始められるわけではありません。
行政書士として活動するには、日本行政書士会連合会の行政書士名簿への登録を受け、事務所を設ける都道府県の行政書士会へ入会する必要があります。
まずは自分がどのルートに該当するのか。その後に登録して何をするのか。この二段階で考えてください。
行政書士になる3つのルート
行政書士法上の資格要件を、進み方で整理すると次のようになります。
| ルート | 資格を得る条件 | 主な対象 |
|---|---|---|
| 行政書士試験 | 行政書士試験に合格する | これから行政書士資格を取得する一般的な受験者 |
| 他資格 | 弁護士・弁理士・公認会計士・税理士となる資格を有する | すでに対象資格を持つ人 |
| 公務員等の行政事務経験 | 一定期間、行政事務またはそれに相当する事務を担当する | 国・地方公共団体等で行政事務経験を持つ人 |
これから資格取得を目指す多くの人にとって、中心になるのは行政書士試験ルートです。
ルート1|行政書士試験に合格する
行政書士になる方法として、最も分かりやすいのが行政書士試験に合格するルートです。
2026年度の行政書士試験は、年齢、学歴、国籍等に関係なく受験できます。
つまり、大学の法学部を卒業していることや、法律関係の仕事を経験していることは受験条件ではありません。
法律を初めて学ぶ人でも受験できます。
ただし、受験できることと、簡単に合格できることは別です。
行政書士試験では、行政法・民法などの法令科目に加え、基礎知識も含めて合格基準を満たす必要があります。
試験科目、合格基準、現在の試験制度を確認したい場合は、行政書士試験の内容・科目・合格基準から確認してください。
ルート2|弁護士・弁理士・公認会計士・税理士の資格を持つ
行政書士法では、行政書士試験の合格者以外にも、一定の資格を持つ人を「行政書士となる資格を有する者」としています。
- 弁護士となる資格を有する者
- 弁理士となる資格を有する者
- 公認会計士となる資格を有する者
- 税理士となる資格を有する者
これらに該当する場合、行政書士試験に改めて合格することが資格要件にはなっていません。
ただし、この場合も行政書士として活動するなら登録手続は別に必要です。
「別資格を持っている=自動的に行政書士として登録される」わけではありません。
また、資格ごとに業務範囲や制度は異なります。
行政書士と他の法律・法務資格のどれが自分の目的に合うのかから考えたい場合は、法律・法務資格を目的から選ぶ記事で整理してください。
ルート3|公務員等として一定期間、行政事務を担当する
行政書士試験を受けずに行政書士となる資格を得るルートとして、公務員等の行政事務経験があります。
行政書士法では、国または地方公共団体の公務員として行政事務を担当した期間などが、原則として通算20年以上になる人を対象としています。
学校教育法上の高等学校を卒業した人など、行政書士法が定める要件に該当する場合は17年以上です。
行政執行法人や特定地方独立行政法人で、行政事務に相当する事務を担当した期間が対象になる場合もあります。
ただし、「公務員として長く働けば誰でも自動的に行政書士になれる」という意味ではありません。
実際に担当した事務や期間が要件に該当するかを確認する必要があります。
公務員経験から行政書士を検討している場合は、公務員経験を行政書士資格へつなげる条件で詳しく整理します。
資格を得ても、登録しなければ行政書士として活動できない
3つのルートのどれを使う場合でも、行政書士となる資格を得た時点で手続がすべて終わるわけではありません。
行政書士として活動するには、日本行政書士会連合会が備える行政書士名簿への登録を受けます。
登録申請は、事務所を設けようとする都道府県の行政書士会を通じて行い、その行政書士会への入会も必要になります。
そのため、
- 行政書士となる資格を得る
- 登録条件を確認する
- 事務所をどうするか決める
- 都道府県行政書士会を通じて登録を申請する
- 登録・入会後に行政書士として活動する
という順番で考えます。
試験合格と行政書士登録は分けてください。
行政書士試験に合格したら、必ず登録する必要はない
行政書士試験に合格したからといって、すぐ行政書士登録をしなければならないわけではありません。
合格後には、いくつかの進路があります。
- 行政書士として登録・開業する
- 行政書士事務所などへの就職を検討する
- 企業法務などで資格知識を活用する
- 現在の仕事で学んだ法律知識を使う
- すぐには登録せず、将来の選択肢として資格を持つ
合格したことと、行政書士として開業すべきかどうかも別の判断です。
合格後に何をするか迷っている場合は、行政書士試験合格後の進路と手続へ進んでください。
登録して開業するなら、資格取得より先の準備が必要になる
行政書士になる方法を調べている人の中には、最初から独立・開業を想定している人もいるでしょう。
その場合、試験合格だけをゴールにしない方が分かりやすくなります。
登録・開業では、
- 登録費用
- 事務所
- 扱う業務分野
- 最初の受任
- 開業後の固定費
など、試験勉強とは別の判断が発生します。
開業を検討する段階になったら、行政書士の開業手順を最初の受任から逆算するへ進んでください。
行政書士になる前に確認する順番
行政書士を目指すなら、次の順番で確認すると整理しやすくなります。
- 自分がどの資格ルートに該当するか確認する
- 試験が必要なら、試験制度と学習量を確認する
- 資格取得後に何をしたいか決める
- 行政書士として活動するなら登録条件を確認する
- 開業するなら事務所・費用・受任まで設計する
これから行政書士試験を受ける人と、すでに他資格や公務員経験を持つ人では入口が違います。
そして、資格を得た後も、登録・就職・開業のどれを選ぶかで進路は分かれます。
「どう資格を取るか」と「資格を取った後に何をするか」を分けて考えてください。