【Case005】基礎知識対策を増やしすぎた人へ|足切り不安で行政法・民法を削るケース

【Case005】基礎知識対策を増やしすぎた人へ|足切り不安で行政法・民法を削るケース

基礎知識の足切りが怖いと、なぜ主戦場まで崩れるのか

行政書士試験では、基礎知識にも合格基準があります。

そのため、

「法令等で点が取れても、基礎知識で足切りになったらどうしよう」

と不安になるのは不自然ではありません。

基礎知識を放置してよいわけでもありません。

ただし、

足切りが怖いからといって、基礎知識の学習範囲を無制限に広げると、今度は行政法・民法の反復が止まることがあります。

必要なのは、

「基礎知識をやるか、やらないか」

という二択ではありません。

基礎知識には、

  • 最低限続けること
  • ここで止める条件

の両方を置きます。

そして同時に、行政法・民法の最低条件も守ります。

つまり考えるべきなのは、

「基礎知識をどこまで覚えれば安心できるか」ではなく、「足切りリスクを管理しながら、どこで投入を止めるか」

です。

基礎知識への不安そのものが膨らむ構造については、こちらの記事で整理しています。

「行政書士試験の基礎知識が怖い人へ|足切り不安で崩れる構造」

基礎知識へ時間が流れ続ける失敗連鎖

基礎知識に時間を使いすぎる人も、最初から行政法や民法を軽視しているとは限りません。

むしろ、

足切りを避けようとして対策を追加し続けた結果、主戦場が削られる

という形で崩れていきます。

点数が安定しないため、知らない範囲が原因に見える

基礎知識は、毎回まったく同じ内容が出題されるわけではありません。

模試や問題演習で点数が安定しないと、

「もっと広く知っておかなければいけないのではないか」

と感じやすくなります。

知らない用語が出た。

見たことのないテーマが出た。

すると、

「この分野も追加しよう」

「ニュースももっと見よう」

「別の予想論点も確認しよう」

と対象を広げたくなります。

不確実性が高いほど、情報を追加することは合理的に見えます。

情報を増やすほど、未確認範囲も増える

ところが、情報を増やすと安心できるとは限りません。

ニュースを読む。

時事情報を追う。

新しい資料を見る。

すると、今まで知らなかった言葉や分野も見つかります。

知識は増えているはずなのに、

「まだ知らないことがある」

という感覚も増えていきます。

その結果、

学習範囲を広げても、終了条件が見えない

状態になります。

基礎知識対策のつもりで情報源を増やし続けている場合は、教材や情報追加そのものが別の失敗につながっている可能性もあります。

「行政書士試験で教材を増やす人へ|不安で参考書を買う人が崩れる理由」

行政法・民法の反復が押し出される

勉強に使える時間は無限ではありません。

基礎知識へ使う時間を増やせば、その時間はどこかから持ってくる必要があります。

そこで、

「今日はニュースをもう少し確認したい」

「この予想論点も見ておきたい」

と基礎知識を延長するうちに、行政法や民法の予定が削られます。

一度だけなら大きな問題にならなくても、これが続くと主戦場の反復そのものが止まります。

行政法や民法で忘れている範囲が増える。

総得点への不安も強くなる。

すると今度は、

「基礎知識も法令等も全部やらなければ」

という状態になります。

足切り対策として始めた学習が、試験全体の配分を壊してしまうわけです。

隠れている判断ミスは「足切りを警戒したこと」ではない

このケースで修正するべきなのは、

「基礎知識を警戒したこと」

ではありません。

基礎知識には合格基準があります。

一定の対策が必要なのは当然です。

問題は、そのリスクへの対応方法です。

リスクがあることを、無制限投入の理由にした

足切りの可能性がある以上、

「何もしなくても大丈夫」

と考えるべきではありません。

しかし、

リスクがあることと、リスクがゼロになるまで時間を投入することは別です。

「不安がなくなるまで」

「知らない言葉がなくなるまで」

という条件では、学習を止めにくくなります。

基礎知識への不安は、知識を増やせば完全に消えるとは限らないからです。

出題範囲を、すべて制圧する対象にした

基礎知識の出題対象は一つの分野だけではありません。

複数の領域があります。

範囲が広いものほど、

「全部知っておこう」

とすると学習量が膨らみます。

ここで必要なのは、

出題範囲を全部制圧することではなく、何を継続して確認し、どこから先は追いすぎないかを決めること

です。

範囲が広いからこそ、上限が必要になります。

基礎知識だけを、試験全体から切り離して考えた

行政書士試験では、基礎知識の基準だけを満たせば合格できるわけではありません。

法令等にも基準があり、さらに試験全体の得点基準もあります。

そのため、

基礎知識の足切りを避けるために行政法・民法を削りすぎれば、

別の合格条件を弱くすることになります。

一つのリスクだけを最小化して、試験全体を崩しては意味がありません。

行政法・民法を主戦場として維持する理由については、こちらの記事で整理しています。

「行政書士試験で最優先すべきは行政法と民法です|主戦場を失うと崩れる」

基礎知識不安が配分を壊している観測サイン

基礎知識に時間を使っているだけで、

「やりすぎだ」

とは判断できません。

確認したいのは、

基礎知識に投入した結果、ほかの学習線が消えていないか

です。

たとえば、次のような状態が複数続いているなら、知識量ではなく運用条件を見直したほうがよいでしょう。

  • 基礎知識を始める時間は決まっているが、終える条件がない
  • ニュースや予想情報を追っている時間を把握できていない
  • 模試のたびに新しい基礎知識教材や情報源を追加している
  • 行政法・民法の予定が、基礎知識の延長によって繰り返し消えている
  • 基礎知識で最低限続けることと、追わないことを説明できない
  • 足切り回避のための学習が、法令等や総得点へどう影響しているか見ていない

ここで、

「基礎知識は一日何分まで」

「この分野だけやればよい」

と一律に決める必要はありません。

必要な学習量は、現在の理解度や可処分時間によって変わります。

見るべきなのは、

下限と上限の両方があるか

です。

基礎知識を放置せず、主戦場も守る

では、基礎知識をどう扱えばよいのでしょうか。

必要なのは、

  1. 公式の基準と範囲を確認する
  2. 最低運用を決める
  3. 投入上限を決める
  4. 行政法・民法の最低条件も守る

という順番です。

まず公式の基準と範囲を確認する

まず、不安ではなく試験制度を確認します。

令和8年度の行政書士試験案内では、基礎知識は14題です。

出題対象には、

  • 一般知識
  • 行政書士法等、行政書士業務と密接に関連する諸法令
  • 情報通信・個人情報保護
  • 文章理解

が含まれています。

また、合格要件の一つとして、基礎知識科目で満点の40%以上を得点することが求められています。

ここで注意したいのは、

40%が最低基準だから、そこだけを狙えば安全という意味ではない

ことです。

基準は、学習目標そのものではありません。

ただし、

「基礎知識が怖い」

という感覚だけで対策量を決めるのではなく、まず試験構造を確認する材料にはなります。

最低運用を一つ決める

次に、

基礎知識を完全に放置しないための最低条件

を決めます。

たとえば、

  • 決めた分野を継続して確認する
  • 現在使っている教材から一定の単位だけ進める
  • 一定の時間枠だけ基礎知識へ使う

といった形です。

何が最適かは人によって異なります。

重要なのは、

「不安が強い日に急に増やす」のではなく、普段から維持できる最小単位を決めること

です。

最低運用は、基礎知識を完全に学習計画から消さないための下限です。

投入上限と停止条件を決める

最低条件だけでは足りません。

基礎知識では、

どこまでやったら止めるか

も必要です。

たとえば、

  • 時間の上限
  • 使う情報源の数
  • 確認する範囲
  • 問題演習の単位

などで区切ります。

ここで、

「知らない言葉がなくなるまで」

「不安が消えるまで」

を終了条件にしないことが重要です。

知らないことは、探せばいくらでも出てきます。

不安も、完全にはなくならない可能性があります。

上限を置くのは、基礎知識を軽視するためではありません。

試験全体の配分を守るためです。

行政法・民法の最低条件を同時に守る

そして、基礎知識へ時間を使った週でも、

行政法・民法へ戻れているかを確認します。

見るべきなのは総勉強時間だけではありません。

「今週はたくさん勉強した」

としても、基礎知識だけに時間が偏り、行政法や民法へ一度も戻れていなければ、配分は崩れています。

その場合、

「もっと勉強時間を増やす」

ではなく、

基礎知識への投入上限が大きすぎないか

を確認します。

基礎知識の最低運用は残す。

そのうえで、主戦場が消えないところまで投入量を戻します。

このケースでやらなくてよいこと

基礎知識に時間を使いすぎていたとしても、反対方向へ極端に修正する必要はありません。

このケースでは、次のようなことまではしなくて構いません。

  • 基礎知識を捨てる
  • ニュースや時事を無制限に追う
  • 出題範囲をすべて暗記しようとする
  • 一回の模試結果だけで教材を追加する
  • 基礎知識対策が完成するまで行政法・民法を止める
  • 合格基準ぎりぎりを安全な目標点と考える
  • 「文章理解だけ」「時事だけ」など、一分野だけで必ず突破できると決める

必要なのは、

基礎知識への不安をゼロにすることではありません。

最低限は続ける。

しかし、無制限には広げない。

そして、試験全体の配分も同時に守る。

この状態を作ることです。

まとめ|足切り対策にも、止める条件がいる

基礎知識には合格基準があります。

だから、対策そのものをやめる必要はありません。

一方で、

「足切りが怖い」

という理由だけで対象を広げ続けると、行政法や民法の反復まで削ることがあります。

必要なのは、

基礎知識の最低条件を決める。

投入上限を決める。

行政法・民法の最低条件も守る。

そして週次で、すべての学習線へ戻れているかを見ることです。

基礎知識は放置しない。ただし、不安が消えるまで広げない。最低運用と投入上限を決め、行政法・民法が反復から脱落していないかを同時に見る。

次の一週間について、

  • 基礎知識の最低運用
  • 基礎知識への投入上限
  • 行政法・民法の最低条件

を一つずつ書いてみてください。

基礎知識だけではなく、試験全体の得点構造から学習配分を考えたい場合は、こちらの記事へ進んでください。

「行政書士試験は満点を取る試験ではない|180点思考の話」

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です