【Case009】記述が怖くて知識を増やすだけになった人へ|書く練習を避けるケース

【Case009】記述が怖くて知識を増やすだけになった人へ|書く練習を避けるケース

記述が怖いと、なぜ知識ばかり増やすのか

行政書士試験の記述式を見て、

「何を書けばいいか分からない」

「白紙になったら怖い」

「まだ知識が足りない気がする」

と感じることがあります。

そのとき、

「もっと覚えてから記述式を始めよう」

と考えること自体は、不自然ではありません。

実際、必要な知識がなければ書けない問題もあります。

ただし、

知識が十分になるまで答案を書くのを待っても、書く工程そのものが自動的に身につくわけではありません。

記述式では、知識を持っているだけでなく、

  • 何が問われているかを判断する
  • 必要な言葉を取り出す
  • 答案の形へ組み立てる

という出力が必要になります。

この工程は、実際に出力してみなければ、どこで止まっているのか分かりません。

だから、記述が怖いときほど、

最初から完成した答案を書こうとする必要はありません。

まず、

論点を拾う。必要な語句を出す。答案の骨組みを作る。

という小さな出力から始めます。

そして、書けなかった場所を見て、

知識へ戻るのか。

答案化の練習をするのか。

を決めます。

知識はあるのに記述式で書けない場合の原因については、こちらの記事で整理しています。

「行政書士の記述式が書けない理由|知識があるのに点が取れない人へ」

書く練習を避ける失敗連鎖

記述式を避けてしまう人も、勉強をしていないわけではありません。

むしろ、

書けない状態を避けるために、インプットを増やし続ける

ことで止まります。

模範解答を先に見て安心する

記述式の問題を開いたとき、

自分で考える前に模範解答を見ることがあります。

模範解答を読むと、

「なるほど、そう書けばいいのか」

と理解できます。

内容も納得できます。

すると、

「分かった」

という感覚が得られます。

しかし、

模範解答を見て理解できることと、自力で必要な言葉を取り出せることは別です。

解答を読めば分かる。

でも、問題だけを見たら出てこない。

この違いは、自分で一度出力してみなければ分かりません。

模範解答を先に見ることが続くと、

「理解した答案」は増えても、

「自分で作った答案」は増えません。

知識不足を理由に開始を延期する

一度書けなかった経験があると、

「まだ知識が足りない」

と考えやすくなります。

そこでテキストへ戻ります。

択一問題を解きます。

知識を追加します。

それ自体は必要な学習です。

問題は、

「どこまで知識が増えたら記述式を始めるのか」が決まっていないこと

です。

行政書士試験で学ぶ範囲には、覚えることが多くあります。

勉強すればするほど、

「ここも曖昧だ」

「これも覚え直したい」

という場所が見つかります。

すると、

「もう少し覚えてから」

という開始条件を満たせないまま、答案練習だけが先送りされます。

出力経験がないまま本番形式へ近づく

インプットは進んでいても、実際に答案を作っていなければ、

自分がどこで止まるのか分かりません。

たとえば、

必要な知識そのものが出てこないのか。

何を問われているか判断できないのか。

必要な言葉は浮かぶが組み立てられないのか。

時間を意識すると着手できないのか。

原因によって、戻る場所は違います。

しかし、書くことを避けていると、

「記述式が苦手」という大きな塊のまま残ります。

原因が見えないので、

さらに知識を増やす。

それでも書いていないので原因は分からない。

そして、

「やはり知識が足りない」

と判断する。

この循環に入ります。

本番で白紙になること自体への恐怖が強い場合は、こちらの記事で別の構造として整理しています。

「行政書士試験の記述が書けない人へ|本番で白紙化する人の共通点」

隠れている判断ミスは「知識を増やしたこと」ではない

このケースで問題なのは、インプットを続けたことではありません。

知識の学習は必要です。

問題は、

知識の完成を、出力開始の条件にしたこと

です。

知識の完成を答案練習の前提にした

「十分に覚えてから書く」

という順番にすると、

答案練習はいつまでも後ろへ移ります。

必要なのは、

知識を全部完成させる。

その後で答案を書く。

という一本道ではありません。

実際には、

知識を学ぶ。

少し出力する。

書けなかった場所を確認する。

必要なら知識へ戻る。

また出力する。

という往復になります。

答案練習は、知識学習の後に一度だけ置く工程ではありません。

知識の不足を見つけるためにも使えます。

完成答案だけを「練習」とみなした

記述式対策というと、

「最初から最後まで答案を書く」

ことを想像しやすいかもしれません。

すると、

「まだ全部は書けない」

という理由で、練習そのものを始められません。

しかし、出力には段階があります。

まず、

何が問われているかを書く。

次に、

必要そうな語句を出す。

その後で、

文章の骨組みを作る。

ここまででも、

どこで止まったかは観測できます。

完成答案を書けないからといって、出力そのものをゼロにする必要はありません。

白紙を診断ではなく能力評価にした

問題を見ても何も書けなかったとき、

「自分は記述式ができない」

と感じることがあります。

しかし、白紙になったという結果だけでは、

なぜ書けなかったかは分かりません。

知識がなかったのか。

論点を特定できなかったのか。

言葉へ変換できなかったのか。

原因を分ける必要があります。

白紙は、

能力の最終評価ではなく、停止場所を確認するための材料

として使えます。

出力を避けている観測サイン

記述式をまだ十分にやっていないこと自体が問題なのではありません。

確認したいのは、

知識不足を理由に、出力確認そのものを避けていないか

です。

たとえば、次のような状態が複数続いているなら、一度小さな出力を置いてみたほうがよいでしょう。

  • 問題を自力で考える前に模範解答を見る
  • 自分で書いた答案や答案の骨組みがほとんど残っていない
  • 書けない理由を毎回「知識不足」で終えている
  • 択一で正解できるかは確認しているが、必要な言葉を自力で取り出せるか見ていない
  • 記述練習の開始条件が「もっと覚えたら」になっている
  • 模範解答を読む時間に比べ、自分で考える時間が極端に少ない

ここで必要なのは、

「とにかく大量に答案を書く」

ことではありません。

まずは、診断に必要な程度まで出力してみることです。

完成答案の前に、小さい出力を置く

記述式が怖い場合は、最初から完成答案を目標にしなくても構いません。

出力をいくつかの段階へ分けます。

論点を一つ言葉にする

まず問題を読んで、

「この問題は何を聞いているのか」

を自分の言葉で一つ置きます。

正確な法律用語で完璧に説明できなくても構いません。

重要なのは、模範解答を見る前に、

自分がどこへ注目したのかを残すことです。

ここで何も出てこなければ、

問題文から論点を拾う段階で止まっている可能性があります。

必要語句を先に出す

次に、文章を書く前に、

答案へ入りそうな言葉を出します。

文章になっていなくても構いません。

必要な人物。

法律上の条件。

行為。

効果。

など、自分が必要だと思う要素を置きます。

ここで言葉が出てこなければ、

知識そのものへ戻ったほうがよい可能性があります。

一方、語句は出てくるのに文章にならないなら、

知識量以外の場所に問題があると分かります。

骨組みから文章へ進む

必要な言葉が出たら、それを関係づけます。

たとえば、

  • 誰が
  • 何を
  • どの条件で
  • どうするのか

という形で整理します。

最初から模範解答と同じ文章を作る必要はありません。

まずは、

必要な要素を一つの答えへ組み立てる

ことを練習します。

そのあとで模範解答と比較すれば、

「何を知らなかったのか」

だけではなく、

「何を拾えなかったのか」

「どう組み立てられなかったのか」

も見えるようになります。

停止工程に応じて戻る

小さく出力したら、

書けなかった原因に応じて戻り先を変えます。

必要な知識が出なかった

この場合は、行政法や民法の該当箇所へ戻ります。

知識そのものを確認します。

記述式問題だけを繰り返しても、材料がなければ書けません。

行政法・民法を主戦場として維持する考え方については、こちらの記事も参考になります。

→「行政書士試験で最優先すべきは行政法と民法です|主戦場を失うと崩れる」

知識は出たが、答案にできなかった

必要な語句は分かる。

でも、何を選べばよいか分からない。

文章としてまとまらない。

この場合は、答案化の工程を確認します。

知識をさらに増やすだけではなく、

問題文から条件を拾い、必要な言葉を選び、答えへ組み立てる練習へ進みます。

時間を意識すると着手できなかった

普段は考えられるのに、時間を意識すると何も書き始められない場合は、

別の問題があります。

その場合は、

最初に何を確認するか。

どこまで考えたら一度書き始めるか。

という開始手順を練習します。

このように、

「記述式が苦手」で一括りにせず、止まった工程によって戻り先を変える

ことが重要です。

このケースでやらなくてよいこと

記述式の出力が少なかったと気づいても、反対側へ振り切る必要はありません。

このケースでは、次のようなことまではしなくて構いません。

  • 最初から模範解答と同じ文章を書く
  • 記述式問題集を大量に追加する
  • 白紙になった答案をなかったことにする
  • 行政法や民法の知識学習をやめる
  • 記述式へ学習時間を無制限に寄せる
  • 毎回完成答案まで書かなければ練習にならないと考える

記述式を避けていたからといって、今度は記述式だけを大量にやる必要はありません。

記述対策を増やしすぎて行政法・民法を削ると、Case003とは逆方向から同じように配分が崩れます。

「【Case003】記述式対策に時間を使いすぎた人へ|60点の不安で主戦場を削るケース」

必要なのは、

知識学習と答案化の間に、小さな出力確認を置くことです。

まとめ|書けない場所は、書いて初めて分かる

記述式が怖いと、

「もっと覚えてから書こう」

と考えたくなります。

しかし、知識を増やすだけでは、

自分が答案化のどこで止まっているのか分かりません。

だから、知識が完成するまで待つ必要はありません。

まず、

  • 論点を一つ置く
  • 必要な語句を出す
  • 骨組みを作る

ところまで、自力でやってみます。

そして、

知識が出ないなら知識へ戻る。

要素は出るのに組み立てられないなら答案化を練習する。

着手できないなら開始手順を見る。

と、戻り先を分けます。

知識の完成を待たない。小さい出力を置き、止まった工程を見て、知識へ戻るか答案化を練習するかを決める。

まず、記述問題を一問選んでください。

模範解答を見る前に、

「論点・必要語句・骨組み」

の三段階だけを、自分で残してみましょう。

完成答案を書けるかどうかではなく、

自分がどこまで自力で進めるか

を確認することから始めます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です