【Case003】記述式対策に時間を使いすぎた人へ|60点の不安で主戦場を削るケース

【Case003】記述式対策に時間を使いすぎた人へ|60点の不安で主戦場を削るケース

記述式対策を増やしたのに、なぜ全体が崩れるのか

行政書士試験で、記述式対策に時間を使うこと自体は間違いではありません。

記述式は配点が大きく、

「ここで点を取れなければ合格できないのではないか」

と不安になるのも自然です。

ただし、問題になるのは、

書けなかった原因を分けないまま、すべてを「記述式の練習不足」だと判断することです。

記述式は、記述式だけの技術で解くものではありません。

行政法や民法の知識を思い出し、問題文から必要な論点を拾い、必要な内容を約40字へまとめて出力する工程でもあります。

つまり、書けなかったからといって、必ずしも記述式の答案練習を増やせばよいわけではありません。

知識そのものが出てこなかったのであれば、戻るべき場所は行政法や民法です。

問題は、

「記述式を何時間やるか」

ではなく、

「書けなかった原因は、法令知識と出力工程のどこにあるのか」

を分けられているかです。

行政法・民法を主戦場として考える理由については、こちらの記事で整理しています。

「行政書士試験で最優先すべきは行政法と民法です|主戦場を失うと崩れる」

記述式ばかりになるまでの失敗連鎖

記述式対策に時間を使いすぎる人も、最初から行政法や民法を軽視しているとは限りません。

むしろ、

記述式で書けなかった不安へ対応し続けた結果、主戦場の反復が押し出される

という形で崩れていきます。

一問書けないと、60点全部を失うように感じる

記述式は、択一式の一問と比べて一問あたりの配点が大きくなります。

そのため、問題を見ても何を書けばよいか分からなかったり、白紙に近い答案になったりすると、強い不安が残りやすくなります。

「このままでは記述式で点が取れない」

「もっと記述式をやらないといけない」

と感じること自体は不自然ではありません。

ただし、一問書けなかったことと、

記述式全体の対策量が不足していることは同じではありません。

一問の失敗から、記述式全体の勉強量を増やす判断へ直結すると、配分が崩れ始めます。

書けない原因を「練習量不足」にまとめる

記述式で書けなかった原因には、いくつかの種類があります。

たとえば、

  • 必要な知識を思い出せなかった
  • 問題文から問われている論点を特定できなかった
  • 必要な言葉は分かっていたが、約40字へまとめられなかった
  • 時間や不安の影響で問題に着手できなかった

これらは、同じ「書けなかった」でも別の問題です。

ところが、

「記述式が苦手だから」

「練習量が足りないから」

と一つにまとめてしまうと、原因に関係なく同じ対策を追加することになります。

記述式問題集を解く。

模範解答を読む。

答案を書く。

さらに別の問題を解く。

しかし、もともとの原因が行政法や民法の知識不足なら、記述式専用の練習を増やしても根本原因は残ります。

記述専用対策が、行政法・民法の反復を押し出す

勉強に使える時間は無限ではありません。

記述式対策の時間を追加すれば、その時間はどこかから持ってくる必要があります。

そこで削られやすいのが、行政法や民法の択一演習、過去問、誤答復習です。

記述式の答案練習は増えている。

しかし、行政法や民法へ戻る回数は減っている。

この状態になると、記述式で使う法令知識の土台そのものが弱くなります。

すると、さらに記述式で書けなくなります。

書けない。

だから記述式対策を増やす。

その分、行政法・民法の反復が減る。

土台となる知識が弱くなる。

そして、さらに書けなくなる。

記述式を強化しているつもりが、記述式を支える主戦場まで削る循環に入ってしまいます。

隠れている判断ミスは「記述式を重視したこと」ではない

このケースで修正するべきなのは、

「記述式を重視したこと」

ではありません。

問題は、記述式の重要性を、そのまま学習時間の増加へ変換したことです。

配点を、そのまま勉強時間の割合へ変えた

記述式の配点が大きいことは事実です。

だから対策が必要だという判断も間違いではありません。

しかし、

配点が大きいことと、それと同じ割合だけ学習時間を使うことは別の問題です。

記述式で得点するには、記述式だけを勉強すればよいわけではありません。

行政法や民法の知識が必要であり、その知識を取り出して答案へ変換する練習も必要です。

したがって、

「記述式は60点あるから、記述式へ大量に時間を使う」

と単純に考えることはできません。

記述式を独立した科目として扱った

記述式を、

「行政法や民法とは別に存在する一つの科目」

のように扱うと、学習配分が崩れやすくなります。

実際には、

行政法・民法で持っている知識を、問題文に合わせて取り出し、文章として出力する工程

として考えたほうが整理しやすくなります。

もちろん、論点を拾うことや、約40字へまとめることには専用の練習が必要です。

ただし、知識がなければ、出力する材料自体がありません。

そのため、

「記述式をやるか、行政法・民法をやるか」

という二者択一にする必要はありません。

記述式で止まった原因に応じて、

出力練習へ進むのか、法令知識へ戻るのかを切り替える

と考えます。

書けないたびに練習量を増やした

書けない問題に出会ったとき、

「もっと練習しなければ」

と考える前に、一度止まった場所を確認します。

原因が変わらないまま練習量だけを増やしても、同じ失敗を繰り返す可能性があります。

必要なのは、

量を増やす前に、どの工程で止まったのかを観測することです。

記述式対策が主戦場を削っている観測サイン

記述式の勉強時間が増えているだけで、すぐに問題だとは言えません。

確認したいのは、

記述式対策を増やした結果、行政法や民法の反復が止まっていないか

です。

たとえば、次のような状態が複数続いているなら、記述式そのものより学習配分を見直したほうがよいでしょう。

  • 記述式を何時間勉強したかは説明できるが、最後に行政法・民法へ戻った時点を説明できない
  • 模範解答は確認しているが、その根拠となる法令知識を択一問題などで再確認していない
  • 書けなかった理由を毎回「知識不足」または「練習不足」の一言だけで終えている
  • 記述式問題集を進めるほど、行政法・民法の誤答復習が後回しになる
  • 記述式対策をどこで終えるか決めておらず、不安が残っている限り続ける状態になっている

ここでも、

「記述式は一日何分まで」

「択一と記述は何対何」

という一律の基準を決める必要はありません。

現在の理解度や使える勉強時間、弱点によって必要な配分は変わります。

見るべきなのは時間の割合そのものではなく、

記述式対策をしていても、主戦場へ戻れる経路が残っているか

です。

記述式を捨てずに、主戦場へ戻す

記述式対策に時間を使いすぎていたとしても、記述式そのものをやめる必要はありません。

必要なのは、

書けなかった原因を分解し、それぞれを適切な学習場所へ戻すこと

です。

書けなかった原因を4つに分ける

記述式で書けなかったときは、まず次の4つに分けます。

  1. 必要な法令知識を思い出せなかった
  2. 問題文から論点や条件を拾えなかった
  3. 必要な語句を約40字へまとめられなかった
  4. 時間配分や不安によって着手できなかった

このうち、1で止まったのであれば、行政法や民法の該当論点へ戻ります。

記述式問題を繰り返すよりも、まず材料となる知識を再確認したほうがよい状態です。

一方、必要な知識は思い出せたのに、2や3で止まったのであれば、記述式特有の出力練習として扱います。

知識はあるのに記述式へ変換できない場合については、こちらの記事で整理しています。

「行政書士の記述式が書けない理由|知識があるのに点が取れない人へ」

4のように、本番や時間制限の中で着手そのものができなくなる問題は、さらに別の構造があります。

「行政書士試験の記述が書けない人へ|本番で白紙化する人の共通点」

複数の原因が重なっている場合もあります。

その場合も、一度に全部を直そうとする必要はありません。

まずは、最も上流で止まった原因から修正すると整理しやすくなります。

記述式対策の停止条件を決める

原因を分けたら、記述式対策をどこで止めるのかも決めます。

たとえば、

  • 記述式に使う時間の上限を決める
  • 取り組む問題の単位を決める
  • 一問について原因分析が終わったら区切る

などです。

ここで避けたいのは、

「記述式への不安がなくなるまで続ける」

という終了条件です。

不安は、勉強を続ければ必ず消えるとは限りません。

終了条件は感覚ではなく、次回も同じように使える形へ置いたほうが、配分を守りやすくなります。

行政法・民法を維持する最低条件を守る

記述式対策を増やす場合でも、行政法・民法の反復をゼロにはしません。

最低限、

「ここまでは行政法・民法へ戻る」

という条件を決めます。

これは一律の問題数でなくても構いません。

現在使っている教材や復習方法の中から、無理なく続けられる最小単位を決めます。

もし、その最低単位さえ守れないのであれば、

「自分の意志が弱い」

と考える前に、

記述式対策の一回あたりの単位が大きすぎないか

を見直します。

このケースでやらなくてよいこと

記述式へ時間を使いすぎていたと気づいても、反対方向へ大きく修正する必要はありません。

このケースでは、次のようなことまではしなくて構いません。

  • 記述式対策をすべてやめる
  • 記述式と択一式の時間を一律の割合に固定する
  • 模範解答をそのまま大量に暗記する
  • 書けなかった問題ごとに新しい教材を追加する
  • 行政法・民法を止めてから記述式を完成させる
  • 一日で遅れを取り戻す

必要なのは、記述式を軽視することではありません。

記述式で失点した原因を、必要に応じて行政法・民法へ戻せるようにすることです。

まとめ|記述式は、主戦場から切り離さない

記述式は重要です。

だから、対策そのものをやめる必要はありません。

ただし、書けなかった問題すべてに対して記述式専用の練習を追加していると、行政法・民法の反復が押し出されることがあります。

その結果、記述式で使う知識の土台まで弱くなれば、本末転倒です。

記述式で書けなかったら、練習量を増やす前に停止箇所を分ける。知識不足は行政法・民法へ戻し、出力上の問題だけを記述式対策で扱う。

これが、このケースで持っておきたい判断軸です。

次に記述式を一問解いたら、

  1. 法令知識
  2. 論点抽出
  3. 約40字への言語化
  4. 時間配分・着手

のどこで止まったのかを、一つ記録してみてください。

記述式60点だけを見るのではなく、試験全体から学習配分を判断したい場合は、こちらの記事へ進んでください。

「行政書士試験は満点を取る試験ではない|180点思考の話」

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