行政書士試験まで、あと1か月。
あるいは、あと数週間。
この時期になると、できていないところが急に目につきます。
- まだ覚えていない論点がある
- 模試で点数が取れなかった
- 民法に苦手分野が残っている
- 基礎知識が不安
- 過去問を十分回せていない気がする
すると、
もう一度、全部やり直した方がいいのではないか。
と考えたくなります。
ここで方針を変えてください。
直前期は、全範囲を完成させる期間ではありません。
試験日に再現したい得点線を守る期間です。
このブログでは、直前期の勉強を3つに分けます。
- 守る範囲
- 直す範囲
- 保留する範囲
全部を同じ優先度で復習しません。
できているところは守る。
落としてはいけない基本は直す。
残り時間に対して重すぎるものは保留する。
直前期ほど、「何をやるか」だけでなく「何をやらないか」を決めてください。
直前期は、全範囲を完成させる期間ではない
試験が近づくほど、未完成なところが気になります。
それ自体は当然です。
しかし、残り時間が少なくなった段階で、未完成部分をすべて消そうとすると学習配分が崩れます。
例えば、
- 苦手な細かい論点を最初から勉強し直す
- 基本テキストを全ページ読み直す
- 新しいまとめ教材を追加する
- 新しい予想模試を何冊も買う
といった動きです。
その時間は、今まで得点できていた行政法や民法の反復から削られます。
すると、苦手分野を少し補った代わりに、得点できていた問題まで不安定になることがあります。
直前期の目的は、未完成をゼロにすることではありません。
今ある得点可能性を、本試験で再現できる状態にしておくことです。
「全部間に合っていない」が全範囲リセットを起こす
直前期に崩れやすいのは、次の流れです。
- 未学習・曖昧な範囲が見える
- 全範囲を同じ優先度でやり直す
- 得点源の反復時間が減る
- すでにできていた問題の再現性まで落ちる
- さらに不安になり、教材や勉強量を増やす
この流れに入ると、勉強時間は増えているのに得点線が不安定になります。
問題は、努力不足ではありません。
残り時間に対して、学習対象を広げすぎています。
全範囲をやり直して得点源まで崩す流れは、Case014|直前期に全範囲をやり直して崩れるケースで具体化しています。
直前期の勉強を「守る・直す・保留」に分ける
直前期に入ったら、勉強する対象を3つに分けてください。
守る範囲
まず、最優先するのが守る範囲です。
これは、
- これまで得点できてきた分野
- 本試験で主な得点源にする分野
- 反復を止めると再現性が落ちる分野
です。
行政書士試験なら、基本的には行政法・民法を中心に考えます。
ただし、「行政法だから全部守る」と機械的に決める必要はありません。
自分が実際にどこで得点しているかを見てください。
直前期に一番守るべきなのは、すでに取れている点です。
何を得点源として守るか決まっていない場合は、行政書士試験の主要科目と得点戦略から確認してください。
直す範囲
次に、短期間で修正する価値があるものを直します。
例えば、
- 模試や過去問で繰り返し落としている基本論点
- 知っているのに何度も思い出せない知識
- 同じ条件の読み違い
- 時間配分の崩れ
- 解答順序の迷い
です。
ポイントは、全部直そうとしないことです。
直すものにも順番を付けてください。
保留する範囲
直前期には、保留も必要です。
例えば、
- 細かく、優先度が低い論点
- 理解に時間がかかり、得点源の反復を削る論点
- 新しい教材で初めて触れた範囲
- 残り期間で再現可能な状態まで持っていきにくい範囲
です。
保留は、諦めることではありません。
残り時間を、より得点につながる場所へ配分する判断です。
模試結果から、直前期の修正対象を選ぶ
直前期の勉強対象を決めるとき、模試の点数だけを見ないでください。
見るのは、何を落としたかです。
私自身も、模試の結果から得点できなかった分野を書き出し、日々の勉強で意識した経験があります。
このとき重要なのは、点数そのものより、
- 基本問題を落としているのか
- 同じ論点を繰り返し落としているのか
- 読み違いなのか
- 時間配分なのか
を確認することです。
その上で、
- 本試験でも再発しそうか
- 得点への影響が大きいか
- 残り時間で直せるか
- 今の教材で再確認できるか
を見て、修正対象を選びます。
模試の点数が悪かった場合は、直前計画を変える前に失点原因と直す順番を決めてください。
主教材へ戻る範囲を限定する
直前期に復習するとき、基本テキストを最初から全部読み直さないでください。
過去問や模試で落とした原因に関係するところへ戻ります。
例えば、
行政法の取消訴訟で同じ要件を落としているなら、その箇所を確認します。
確認したら、もう一度問題へ戻ります。
根拠つきで判断できるなら、そこで一区切りです。
一方で、すでに何度も安定して正解でき、根拠も説明できる問題は、反復頻度を下げて構いません。
直前期の復習は、教材を読むことではなく、試験で判断を再現できるか確認することです。
過去問を続ける問題と一度外す問題は、回数ではなく終了条件で分けてください。
復習記録を作ること自体を目的にしない
直前期になると、抜けを見える化したくなります。
間違えた分野を書き出すことは有効です。
私も、得点できなかった分野を書き出し、復習時に意識していました。
ただし、一覧をきれいに完成させることが目的になったら止めてください。
必要なのは、
- 何を落としたか
- なぜ落としたか
- 次に何を確認するか
が分かることです。
一行で足りるなら、一行で構いません。
直前期は整理する時間より、再現する時間を増やしてください。
新教材・予想模試を追加するのは5条件を満たすときだけ
直前期は、新しい教材が魅力的に見える時期でもあります。
まとめ教材。
直前予想問題。
新しい模試。
追加したくなる気持ちは分かります。
しかし、次の5条件をすべて満たす場合だけ検討してください。
- 何を観測するために追加するか説明できる
- 今の教材では確認できない工程である
- 解く時間だけでなく復習時間も確保できる
- 主教材の反復時間を削らない
- いつ終了するか決まっている
一つでも決まっていないなら、追加しない方を標準にします。
直前期の新教材は、不安を埋めるために買わないでください。
直前予想模試を追加する場合は、購入目的と復習可能量を先に決めてください。
直前期でも、行政法・民法をゼロにしない
苦手分野が気になると、そこへ時間を集中したくなります。
しかし、そのために得点源としてきた行政法・民法の反復を止めないでください。
苦手分野を補強する週でも、守る範囲への接触は残します。
なぜなら、直前期は新しい点を作るだけでなく、すでに取れる点を落とさないことが重要だからです。
直前期の追加学習は、守る範囲を削らない量に制限してください。
試験1週間前は、新知識より運用を固める
試験まで1週間程度になったら、さらに新しいことを増やすより、当日に再現する運用を固定していきます。
- 解答順序
- 一問で止まりすぎたときの保留基準
- 時間配分
- 普段の学習時間や睡眠を急に変えない
といった部分です。
この段階では、知識を無限に追加するより、本番で余計な判断をしなくて済む状態を作ります。
試験当日の判断負荷を減らすため、会場到着から解答終了まで一度シミュレーションしてください。
受験票、会場、移動、持ち物、前日から当日の具体的な過ごし方は、本試験当日クラスタで扱います。
直前期に「全部できていない」と感じたときの判断手順
直前期に不安になったら、全範囲へ戻る前に次の順番で判断してください。
- 今の得点源を確認する
- 模試・過去問の失点原因を確認する
- 守る範囲を決める
- 短期間で直す範囲を一つ選ぶ
- 残りは保留する
- 主教材へ必要な範囲だけ戻る
- 再び問題で判断を確認する
この順番です。
「全部できていない」から「全部やる」へ進まないでください。
直前期についてよくある質問
直前期は基本テキストを一周すべきですか?
一律には勧めません。
模試・過去問で落とした基本論点や、再現性が落ちている範囲へ限定して戻ってください。
新しい予想模試を買ってもいいですか?
何を確認するために追加するか説明でき、復習時間まで確保でき、主教材の反復を削らない場合だけ検討してください。
模試が合格点未満でも間に合いますか?
模試の点数だけで本試験の結果を決めないでください。
基本問題の取りこぼし、読み違い、時間配分など、残り時間で修正可能な原因があるか確認します。
苦手科目を集中して勉強すべきですか?
苦手分野を直すことは必要です。
ただし、そのためにこれまで得点源にしてきた範囲の反復をゼロにしないでください。
前日は勉強しない方がいいですか?
このページでは、前日の具体的な過ごし方までは固定しません。
ただし、直前になって睡眠や生活リズム、勉強方法を大きく変えないことを基本にします。
前日から当日の具体的な運用は、本試験当日クラスタで確認してください。
まとめ|未完成を消すより、試験日に再現する得点線を守る
行政書士試験の直前期は、全範囲を完成させる期間ではありません。
未完成な部分は残ります。
だからこそ、全部へ反応しないでください。
直前期の勉強は、次の3つに分けます。
- 守る範囲:これまで得点できてきた範囲
- 直す範囲:短期間で修正でき、再発しやすい失点
- 保留する範囲:残り時間に対して重すぎる範囲
そして、
- 模試・過去問から失点原因を確認する
- 主教材の必要な箇所だけ戻る
- 問題で判断を再現できるか確認する
- 新教材は明確な目的がある場合だけ追加する
この順番で進めます。
直前期に必要なのは、全部できる状態ではありません。
本試験で取るつもりの点を、本試験でも取れる状態です。
未完成を全部消そうとするより、得点線を守ってください。
そして試験1週間前からは、知識追加より本試験当日の運用を再現する準備へ移っていきます。
結果や残り時間に反応して全体を変える前に、何を観測し、どの条件で修正するかを決めます。全体の判断基準は、行政書士試験の勉強で迷わない判断軸で確認してください。