行政書士試験の勉強で、ノートを作ること自体が悪いわけではありません。
間違えた論点を書く。
似た制度を比較する。
自分が繰り返すミスを残す。
こうした記録は役に立ちます。
問題は、
一度きれいに整理してから問題演習へ戻ろう。
となったときです。
テキストの内容を書き直す。
条文をまとめる。
判例を一覧にする。
問題集の解説をノートへ移す。
勉強はしています。
しかし、問題を解かなくなっています。
この状態なら、一度止めてください。
ノートは、問題演習を始めるために完成させるものではありません。
問題演習の中で見つかった誤答を、次に直すために最低限使うものです。
ノートを作ってから問題を解くのではなく、問題を解いて必要な記録だけ残してください。
Case018|勉強しているのに、問題集が進まない
例えば、行政法の過去問を解いて一問間違えたとします。
解説を読みます。
テキストへ戻ります。
そこで、
せっかくだから、この論点をノートにまとめておこう。
と考えます。
関連条文を書く。
判例も追加する。
似た制度も整理する。
見やすいように書き直す。
気づけば、一問の誤答から大量のノートを作っています。
本人としては、かなり勉強した感覚があります。
しかし、次の問題には進んでいません。
ノート作りが、問題演習を代替している状態です。
失敗は「ノートを作ったこと」ではない
ノートそのものを否定する必要はありません。
このケースの問題は、ノートの役割が変わったことです。
本来は、
次の問題で同じ間違いをしないための補助
だったはずです。
ところが途中から、
- きれいに整理する
- 抜けをなくす
- 全部まとめる
- 自分専用教材を作る
ことが目的になります。
すると、ノートを完成させるまで問題演習へ戻れません。
記録が学習を支えるのではなく、記録そのものが学習になります。
ノート作りで問題演習が止まる失敗連鎖
1.問題を間違える
始まりは普通の誤答です。
分からなかった論点を確認します。
2.忘れないために記録する
もう間違えないように、ノートへ書きます。
ここまでは問題ありません。
3.関連情報まで書き始める
一つの論点だけでは不安なので、関連事項も追加します。
- 条文
- 判例
- 例外
- 似た制度
記録範囲が広がります。
4.見やすさを整え始める
どうせ作るなら見やすくしたくなります。
分類する。
書き直す。
ページを作り直す。
ノートそのものへ時間が移ります。
5.問題演習へ戻らなくなる
ノートは充実します。
しかし、問題集の進みは遅くなります。
結果として、
判断を間違えたから始めた復習なのに、判断を練習する問題演習が減っています。
ノートは「次の判断を変える情報」だけ残す
ノートを使うなら、基準を一つにします。
次に同じような問題を解いたとき、判断を変えるために必要な情報だけ残してください。
例えば、
- 主体を取り違えた
- この要件が必要
- 原則と例外を逆にした
- AとBを混同した
程度です。
長い説明は必要ありません。
次の反復で、そこだけ確認できれば十分です。
ノートの完成度ではなく、次の判断が変わるかで記録量を決めます。
テキストの内容をノートへ書き写さない
基本テキストにすでに書いてあることを、別のノートへ全部移す必要はありません。
教材はすでにあります。
必要なときは、その教材へ戻ればいいです。
一から自分専用のテキストを作り直す必要はありません。
過去問で間違えたら、
- 誤答原因を特定する
- 基本テキストの該当箇所を確認する
- 必要なら短いメモを残す
- 問題へ戻る
これで終わります。
テキストをノートへ移す工程を追加しないでください。
ノートより先に、もう一度問題を解く
一つの知識を確認した後、最初にすることはノート整理ではありません。
もう一度問題を判断してください。
問題へ戻れば、確認した内容が使えるか分かります。
正しく判断できた。
根拠も説明できた。
それなら、そこで復習は一度終了です。
まだ間違えるなら、次の誤答原因を確認します。
復習の終了確認は、ノートではなく問題で行います。
過去問の記録は短くていい
過去問の進捗記録も、長文にしなくて構いません。
最低限、
- 日付
- 正誤
- 誤答原因
- 次回確認すること
があれば使えます。
例えば、
9/7 × 主体を取り違えた。次回は主体だけ確認。
これで十分です。
何周したかよりも、何が変わったかを残してください。
過去問の記録と終了条件は、行政書士試験の過去問は何回転?|回数ではなく終了条件で判断するで整理しています。
ノートを作る前に「何のために書くか」を決める
ノートへ何か書きたくなったら、一度確認してください。
この記録は、次の問題で何を変えるために書くのか。
答えられるなら書いて構いません。
例えば、
AとBを毎回混同するので違いだけ書く。
なら目的があります。
しかし、
あとで役に立つかもしれないから全部まとめる。
なら止めてください。
用途の決まっていない記録を増やさない。
これをルールにします。
きれいなノートを作る時間を、問題演習へ戻す
すでにノート作りへ時間を使いすぎているなら、新しく作るのを一度止めてください。
今あるノートを完成させる必要もありません。
途中でも構いません。
問題演習へ戻ります。
そこで間違えたときだけ、現在のノートに必要なメモを追加してください。
先にノートを完成させてから過去問へ戻る、という順番にはしません。
ノート作りが目的になっているサイン
次の状態が複数あるなら、記録量を減らしてください。
- 問題集よりノートを書いている時間の方が長い
- テキストの内容を一から書き写している
- ノートの見た目を何度も整えている
- 一問間違えるたびに関連事項を大量に追記する
- ノートが完成しないため問題演習へ戻れない
- 勉強時間は長いのに、解いた問題数が少ない
- ノートを作ったことで理解した気になっている
ここまで来ているなら、ノートを追加する前に一問解いてください。
Case018から抜ける手順
ノート作りが問題演習を代替しているなら、次の順番へ戻します。
- 新しいまとめノート作りを止める
- 今の状態で過去問を解く
- 誤答原因を一つ特定する
- 基本テキストの必要箇所だけ確認する
- 必要なら一行だけ記録する
- もう一度問題を判断する
- 次の問題へ進む
これで十分です。
まとめ直しは入れません。
清書も不要です。
問題 → 修正 → 問題
へ戻してください。
このケースでやらなくていいこと
- テキストを一からノートへまとめ直す
- 問題集の解説をすべて転記する
- 全論点の比較表を先に完成させる
- ノートをきれいに清書する
- 一問の誤答から関連事項を無制限に広げる
- ノート完成後に問題演習を再開する
必要な記録は残します。
しかし、記録を問題演習の代わりにはしません。
ノートについてよくある質問
行政書士試験でノートは作らない方がいいですか?
必要なら使って構いません。
ただし、次の問題で同じミスを直すために必要な内容だけ残してください。
間違えた問題は全部ノートへ書くべきですか?
全部を書く必要はありません。
誤答原因と次回確認することを短く残せば十分です。
書いた方が覚えられる気がします
書くことが有効なら使って構いません。
ただし、書いた後は問題へ戻り、実際に判断できるか確認してください。
まとめノートを途中まで作っています。完成させるべきですか?
完成を待たずに問題演習へ戻ってください。
今後必要になった箇所だけ追加すれば構いません。
ノートなしで復習できますか?
問題集への印、短いメモ、テキストへの書き込みなどでも構いません。
重要なのは形式ではなく、次の反復で誤答原因を確認できることです。
まとめ|ノートを完成させず、問題で修正する
Case018の失敗は、ノートを作ったことではありません。
ノート作りが問題演習を代替したことです。
このケースでは、
問題を間違える
↓
忘れないために記録する
↓
関連事項までまとめる
↓
ノートを整える
↓
問題演習へ戻らない
という順番で崩れます。
戻し方は逆です。
- 過去問を解く
- 誤答原因を特定する
- 必要な教材箇所だけ戻る
- 必要なら短い記録を残す
- 再び問題を解く
ノートを作ってから問題を解くのではありません。
問題を解いて、必要なときだけノートを使ってください。
これがCase018からの戻し方です。
問題演習をなぜ中心に置くのかは、過去問を繰り返す理由へ戻り、問題をいつ反復対象から外すかは、過去問の継続・保留・終了条件で判断してください。
問題演習へ進めない原因は、暗記・理解・ノート作りなど複数あります。行政書士試験の失敗パターン総合案内で、自分が止まっている工程に近いケースを確認してください。