【Case018】ノート作りが目的になった人へ|整理したのに問題を解けないケース

【Case018】ノート作りが目的になった人へ|整理したのに問題を解けないケース

ノートを作ったのに、なぜ問題を解けないのか

行政書士試験の勉強で、

「テキストの内容を自分なりに整理した」

「重要なところをノートにまとめた」

「見返しやすいようにきれいに書いた」

という学習をすることがあります。

ノートを作ること自体は、悪いことではありません。

自分が間違えやすい部分を整理したり、教材だけでは戻りにくいところを記録したりすることには意味があります。

ただし、

ノートへ整理した情報を見れば分かる状態と、問題で自力使用できる状態は別です。

ノートを作る。

きれいに整理する。

何度も見返す。

それでも問題になると解けない。

この状態になっているなら、

「もっと分かりやすいノートを作る」

前に、ノートが学習のどの工程を支えているのか確認したほうがよいでしょう。

必要なのは、

先に問題や想起で不足を確認し、その不足を修正するために必要な部分だけ記録すること

です。

ノートの完成度ではなく、

「この記録によって、次の誤答が変わったか」

を見るようにします。

過去問を繰り返す意味については、こちらの記事でも整理しています。

「行政書士試験で過去問を繰り返せと言われる理由|伸びる人との違い」

整理が学習を代替する失敗連鎖

ノート作りに時間を使う人も、勉強していないわけではありません。

むしろ、

長時間勉強しているのに、問題で使う工程が少なくなる

ことで止まります。

書き写すと理解した感覚が得られる

テキストを読みながらノートへ書くと、

内容へ長く触れることになります。

重要部分を選ぶ。

文章を短くする。

表にする。

色を分ける。

こうした作業をしている間は、内容について考えています。

そのため、

「かなり理解できた」

という感覚を得やすくなります。

さらに、後からノートを見返せば、

「これ知っている」

「ここは覚えている」

と思えます。

しかし、

見ながら理解できることと、何も見ずに取り出せることは同じではありません。

問題を解くときには、ノートが目の前にあるわけではありません。

必要な知識を自分で思い出し、問題文の条件へ当てる必要があります。

ノートの完成度を上げる

ノート作りが続くと、

内容だけでなく見た目も気になり始めます。

もっと見やすくしたい。

表を作り直したい。

色分けを統一したい。

別ページへまとめ直したい。

こうして、

ノートそのものの完成度

が成果指標になります。

最初は学習のために作っていたノートが、

「この範囲をきれいにまとめ終える」

という独立した作業になります。

すると、

問題を解くより、

ノートを完成させるほうが達成感を得やすくなります。

自力で取り出す確認が減る

ノート作りには作業量があります。

書く。

整理する。

色を付ける。

見返す。

そのため、

「今日はかなり勉強した」

という感覚も残ります。

しかし、その時間だけ、

  • 過去問を解く
  • 教材を閉じて説明する
  • 誤答理由を確認する
  • もう一度同じ問題へ戻る

といった想起・再現の工程が減ります。

結果として、

整理した情報は増えるのに、自力で使えるかどうかを確認する回数が増えない

状態になります。

隠れている判断ミスは「ノートを作ったこと」ではない

このケースで問題なのは、ノートそのものではありません。

問題は、

ノートが担える機能と、担えない機能を分けなかったこと

です。

保存と想起を同じ機能にした

ノートは情報を保存できます。

後から見返しやすくすることもできます。

しかし、

ノートへ書いたからといって、その情報を自力で思い出せるとは限りません。

保存と想起は別です。

だから、

ノートへ書くことだけでは、

「覚えたか」

を確認できません。

必要なのは、

ノートを見ない状態で取り出せるかを別に確認すること

です。

先に記録し、後から用途を考えた

テキストを読みながら、

「重要そうだから全部まとめておこう」

と考えることがあります。

しかし、その時点では、

どこで自分が間違えるのか分かりません。

すると、

教材に書いてある情報をそのまま大量に保存することになります。

一方、先に問題を解けば、

「ここを混同した」

「この条件だけ抜けた」

「この例外で間違えた」

と、自分に必要な記録が見えます。

だから、

先に不足を観測し、その後で必要な部分だけ記録する

ほうが、ノートの役割を限定できます。

ノートの完成を学習の完了とした

一つの範囲をノートにまとめ終わると、

「ここは終わった」

と感じることがあります。

しかし、

ノート完成と学習完了も別です。

ノートが完成していても、

問題で使えなければ、まだ修正が必要です。

逆に、

問題で安定して使えるなら、ノートが完璧に整理されていなくても機能している可能性があります。

見るべきなのは、

ノートの完成状態ではなく、学習状態の変化

です。

勉強しているのに得点へつながらない状態の全体構造については、こちらの記事でも整理しています。

→「行政書士試験で『勉強しているのに伸びない人』へ|努力が積み上がらない構造」

ノート作りが目的になっている観測サイン

ノート作成に時間を使っていること自体が問題なのではありません。

確認したいのは、

ノート作りが、問題演習や想起確認を代替していないか

です。

たとえば、次のような状態が複数続いているなら、一度使い方を見直したほうがよいでしょう。

  • 問題を解く前に、まずノートへまとめ始める
  • テキストとほぼ同じ内容が大量に書かれている
  • ノートを見ずに説明できるか確認していない
  • 清書、色分け、書き直しが増えている
  • ノート作成に対して、過去問を解く量が少ない
  • ノートを作った後、同じ誤答が減ったか確認していない
  • まとめ終わることが、その範囲の終了条件になっている

ここで必要なのは、

「ノートを作ってはいけない」

ということではありません。

ノートにしかできない役割へ絞ること

です。

ノートを、誤答修正の道具へ戻す

ノート作りが増えすぎているなら、

勉強の順番を変えます。

先に記録するのではなく、

先に問題や想起を置きます。

先に問題か想起を置く

まず、

問題を解く。

または、

教材を閉じて説明する。

という確認をします。

そこで、

できなかった場所。

混同した場所。

思い出せなかった場所。

を確認します。

その後で初めて、

「これは記録しておいたほうがよいか」

を判断します。

つまり、

ノート作成を学習の入口ではなく、誤答後の修正工程へ置く

わけです。

記録対象を限定する

すべてを書き写す必要はありません。

記録するなら、

たとえば次のようなものへ絞ります。

間違えた判断

自分がどのように考えて間違えたのか。

「ここをこう判断したため誤答した」

という部分です。

混同した条件

似た制度。

要件。

例外。

など、自分が混同した部分だけを残します。

次回確認する一問

どの問題で再確認するかを残します。

ノートを読み返すだけでなく、

もう一度問題へ戻る入口

を作ります。

教材の参照位置

必要な説明が教材にあるなら、全文を書き写す必要はありません。

どこへ戻ればよいかだけ残します。

教材を複製するのではなく、

教材へ戻るための目印

としてノートを使います。

再挑戦でノートの機能を確かめる

記録したら、それで終わりではありません。

もう一度問題へ戻ります。

そして、

同じ間違いをするか。

前回混同した条件を説明できるか。

判断根拠を自分で取り出せるか。

を確認します。

ここで改善しているなら、その記録は機能した可能性があります。

逆に、

何度ノートを見返しても同じ誤答が続くなら、

記録量を増やすのではなく、記録方法か戻り先を修正する

必要があります。

ノートを見る回数ではなく、

誤答がどう変わったか

を観測します。

ノートに書かなくても戻れるものは、教材へ任せる

ノートが膨らむ大きな原因の一つが、

「必要な情報を全部一か所に集めたい」

という考えです。

しかし、すでに教材に整理されている情報まで、もう一度すべて書き直す必要はありません。

テキスト。

問題集。

解説。

そこへ戻れば確認できるなら、

ノートには、

「どこを見るか」

だけ残せば足りる場合があります。

ノートは、

教材の代替品を新しく一冊作るためのものではありません。

自分が間違えた判断と、次に戻る場所をつなぐ補助線として使います。

教材を増やしたり、教材量そのものが学習を圧迫したりしている場合は、こちらの記事も関係します。

「行政書士試験:問題集11冊で110点の理由|教材選びを狂わせる『4つの判断ミス』」

このケースでやらなくてよいこと

ノート作りが目的になっていたと気づいても、次のようなことまでする必要はありません。

  • 今まで作ったノートを全部捨てる
  • ノートを一切使わなくする
  • すべての情報を一冊へ統合する
  • きれいに清書する
  • テキストを全文書き写す
  • 色分けのルールを細かく作る
  • ノート作成時間をそのまま学習成果とみなす

必要なのは、

ノートをやめることではありません。

ノートの役割を限定すること

です。

まとめ|ノートは、知識を保存するためだけに作らない

行政書士試験のノートを丁寧に作っていても、

問題で知識を使えないことがあります。

それは、

ノートを作ったことが無意味だったからではありません。

整理・保存と、

想起・再現が別の工程だからです。

だから、

まず問題や想起で不足を確認する。

次に、

教材だけでは戻りにくい部分だけ短く記録する。

そして、

もう一度問題へ戻り、同じ誤答が変わったかを見る。

という順番にします。

先に誤答を観測し、教材だけでは直せない判断を短く残し、再挑戦で機能を確かめる。

まず、直近で間違えた問題を一つ選んでみてください。

そしてノートには、

「間違えた判断」と「次に確認すること」

だけを書きます。

その記録によって次の誤答が変わるかを確認します。

演習そのものを始める前に、完璧な理解や整理を求めて止まっている場合は、こちらの記事も参考になります。

「【Case017】完璧に理解するまで過去問へ進めなかった人へ|正解準備が演習を止めるケース」

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