テキストを読んでも、まだ覚えていない。
だから、もう一周する。
それでも忘れている。
そこで、
もう少し覚えてから過去問へ進もう。
と考える。
この状態なら、勉強量を増やす前に開始条件を変えてください。
全部覚えてから過去問へ進む必要はありません。
基本事項へ一度触れたら、問題を解いてください。
覚えていなかった知識は、過去問の中で見つけます。
そして、必要な箇所だけテキストへ戻ります。
暗記を完成させてから反復するのではなく、反復しながら必要な知識を定着させます。
このケースでは、「暗記力が足りない」ことより、暗記完了を問題演習の開始条件にしていることが問題です。
Case010|テキストを覚える勉強から抜けられない
例えば、行政法のテキストを一周したとします。
読み終わったものの、内容を全部覚えているわけではありません。
そこで不安になります。
この状態で過去問を解いても、間違えるだけではないか。
そして二周目へ進みます。
二周目では、一周目より分かることが増えます。
しかし同時に、覚えていない部分も見つかります。
すると、
まだ不十分だから、もう一度読もう。
となります。
こうして、テキストの周回だけが増えていきます。
勉強はしています。
しかし、問題を使った反復は始まっていません。
失敗は「覚えようとしたこと」ではない
行政書士試験では暗記も必要です。
条文、制度、判例、要件など、覚えなければ判断できないものがあります。
だから、覚えること自体は間違いではありません。
このケースの判断ミスは、
「十分覚えたら問題演習を始める」という順番です。
この順番では、自分が実際に何を使えないのか分かりません。
テキストを読んでいるだけでは、
- 必要な知識を問題文から思い出せるか
- 似た制度を区別できるか
- 原則と例外を判断できるか
- 問題文の条件を読み取れるか
を確認できないからです。
覚えた知識が使えるかどうかは、問題を解いて初めて分かります。
暗記完了を待つと起きる失敗連鎖
1.テキストを一周する
まず、基本テキストを読みます。
ここまでは普通です。
2.覚えていないことに気づく
一周しただけでは、当然忘れていることがあります。
そこで不安になります。
3.過去問を始めず、テキストをもう一周する
「間違える状態で問題を解いても仕方がない」と考え、再びインプットへ戻ります。
この時点で、過去問開始が後ろへずれます。
4.二周目でも忘れていることが見つかる
二周目を読んでも、全部は覚えていません。
むしろ理解が進んだことで、新しく気になる論点が増えることもあります。
5.「もう少し覚えてから」が続く
三周目。
まとめ直し。
暗記確認。
やることは増えます。
しかし、問題演習は始まりません。
暗記を完成させようとするほど、暗記した知識を使う機会が遅れます。
「まだ過去問をやる段階ではない」は疑う
テキストを一度読んだ後に、
まだ過去問をやる段階ではない。
と思ったら、一度疑ってください。
本当に基本事項を一度も見ていないなら、先にインプットが必要です。
しかし、すでに一度テキストへ触れているなら、問題を使って現在地を確認します。
間違えて構いません。
むしろ、間違えるために解くくらいでいいです。
そこで初めて、
- 本当に知らなかった
- 覚えたつもりだったが思い出せなかった
- 知識はあったが読み違えた
- 似た制度を混同した
と原因を分けられます。
過去問を繰り返す理由は、行政書士試験で過去問を繰り返す理由|正解を覚える反復との違いで詳しく整理しています。
戻し方は「一問だけ解く」でいい
テキストばかり読んでいて過去問へ進めていないなら、いきなり一年度分を解く必要はありません。
まず一問だけ解いてください。
そこで間違えたら、
- なぜ間違えたか確認する
- 必要なテキスト箇所へ戻る
- もう一度その問題を解く
- 次の問題へ進む
これだけです。
テキスト全体を覚え直してから二問目へ進む必要はありません。
問題 → 必要箇所へ戻る → 問題
へ学習の中心を切り替えます。
忘れた問題だけテキストへ戻る
問題を解いて、知識を忘れていた。
そのとき、
「やっぱり全部覚えてから解くべきだった」
と戻らないでください。
忘れていた論点だけ確認します。
例えば、行政法の一問を落としたなら、その根拠となる制度・条文の箇所へ戻ります。
そこを確認したら問題へ戻ります。
一問の忘却を、科目全体の暗記不足へ拡大しないでください。
暗記できていないことと、反復できていないことを分ける
このケースでは、本人は「暗記不足」だと感じています。
しかし実際には、反復不足が重なっていることがあります。
問題を解いていないため、
- 何を忘れやすいのか分からない
- どこを混同するのか分からない
- どの知識を優先して覚え直すべきか分からない
状態です。
その結果、テキスト全体を均等に覚えようとします。
これは時間がかかります。
過去問を使えば、「覚えるべきところ」を問題側から絞れます。
全部覚えることをゴールにしない
過去問へ進んだ後も、暗記完了をゴールにしないでください。
何周しても、忘れる問題はあります。
だから、
「全部覚えたらこの問題集は終了」
という基準も使いません。
終了を見るのは、
- 正解できるか
- 根拠を説明できるか
- 誤答原因を特定できるか
- 時間を空けても判断を再現できるか
です。
具体的な終了条件は、行政書士試験の過去問は何回転?|回数ではなく終了条件で判断するへ進んでください。
「全部覚えられない」という不安が強いなら
このCaseでは、暗記完了を過去問開始の条件にした失敗を扱っています。
一方で、
- 忘れること自体が怖い
- 一度覚えた知識を忘れると勉強をやり直したくなる
- 全部覚えられない状態では先へ進めない
という不安が中心なら、行政書士試験で「全部覚えられない」と苦しくなる人へ|暗記崩壊の構造を確認してください。
Case010は、そこから実際に「過去問を始めない」という行動まで進んだケースです。
Case010から抜ける手順
全部覚えてから進もうとしているなら、次の順番へ変えてください。
- テキストの追加周回を一度止める
- 今の知識で過去問を一問解く
- 間違えた原因を確認する
- 必要なテキスト箇所だけ戻る
- もう一度同じ問題を判断する
- 次の問題へ進む
これを繰り返します。
途中で忘れている知識が出ても、テキスト全体の暗記へ戻りません。
その問題に必要な部分だけ戻ります。
学習単位を「一冊覚える」から「一問を修正する」へ小さくしてください。
このケースでやらなくていいこと
- テキストを全部覚えてから過去問を始める
- 一度覚えた内容を忘れない状態にする
- 忘れた問題が出るたびに章全体を読み直す
- 正答率が高くなるまで問題演習を延期する
- 問題を解く前にまとめノートを完成させる
- 「準備不足」を理由に過去問開始を先延ばしする
どれも、問題を解いた後に必要なものだけ戻れば済みます。
Case010についてよくある質問
テキストを一周しただけで過去問へ進んでいいですか?
基本事項へ一度触れているなら進んでください。
最初から正解できる必要はありません。
ほとんど覚えていない気がします
まず数問解いて確認してください。
本当に知識不足なのか、問題文から思い出せないだけなのかを分けます。
間違いだらけなら、テキストへ戻るべきですか?
必要な箇所へは戻ります。
ただし、全部を最初からやり直さず、誤答原因がある範囲を中心に戻ってください。
過去問を解くと答えを覚えてしまいませんか?
覚えて構いません。
その後は正解番号ではなく、判断根拠や誤りの選択肢を確認します。
いつまで同じ過去問を続ければいいですか?
固定回数では決めません。
時間を空けても根拠つきで判断できる問題は終了し、再現できない問題だけ継続します。
まとめ|暗記が終わってからではなく、過去問を解きながら覚える
Case010の失敗は、暗記をしたことではありません。
暗記完了を、問題演習を始める条件にしたことです。
この順番では、
テキストを読む
↓
覚えていないことに気づく
↓
もう一度読む
↓
まだ覚えていない
↓
過去問へ進まない
となります。
これを逆にしてください。
- 基本事項へ一度触れる
- 過去問を解く
- 使えなかった知識を見つける
- 必要なテキスト箇所へ戻る
- もう一度問題で判断する
全部覚えてから過去問へ進む必要はありません。
過去問を解きながら、必要な知識を覚えてください。
これがCase010からの戻し方です。
過去問を反復する目的そのものは、過去問を繰り返す理由の記事へ戻って確認してください。
問題演習へ進めない原因は、暗記・理解・ノート作りなど複数あります。行政書士試験の失敗パターン総合案内で、自分が止まっている工程に近いケースを確認してください。