行政書士試験が終わったら、自己採点はしておいた方がよいです。
ただし、目的は試験直後に「合格した」「落ちた」と断定することではありません。
自己採点は、今回の試験で何が起きたのかを観測し、次に何をするか決めるための材料を残す作業です。
特に行政書士試験では、記述式があるため、試験直後の自己採点だけでは最終的な得点を確定しにくい場合があります。
行政書士試験研究センターによる公式の正解等は、例年翌年1月末の合格発表日以降に公表予定です。
そのため、試験直後に予備校などの解答を使って自己採点する場合は、正式結果ではなく暫定的な観測値として扱ってください。
行政書士試験後の自己採点は、合否を断定するためだけに行わない
自己採点というと、「180点あるか」「合格したか」を確認する作業だと思いやすいかもしれません。
しかし、試験後に残しておきたい情報は点数だけではありません。
- どの科目で取れたか
- どの科目で崩れたか
- 時間配分はどうだったか
- 迷った問題をどう処理したか
- 記述式で何を書いたか
- 本番で予定していた行動を実行できたか
これらは、正式な合否とは別の情報です。
仮に合格していても、本番で偶然うまくいかなかった部分はあります。
逆に不合格でも、維持すべき学習方法や得点源まで捨てる必要はありません。
結果を見る前に、「今回何が起きたか」を残してください。
自己採点の前に、試験中の記録を残す
試験直後は疲れていますが、時間がたつほど本番中の感覚は薄れていきます。
自己採点より先に、覚えている範囲で次の内容をメモしておくと、後から結果を分析しやすくなります。
時間配分
どの科目に何分程度使ったか。
予定より時間を使った場所はどこだったか。
最後まで解答時間を確保できたかを残します。
解答順序
予定していた順番で解いたのか、途中で変更したのか。
変更したなら、その理由も記録します。
迷った問題
知識がなくて迷ったのか。
二択まで絞ったのか。
時間を使いすぎたのか。
同じ「不正解」でも原因は違います。
記述式で書いた内容
できる範囲で再現しておきます。
後から正解例を見たとき、「何を書こうとしたのか」まで忘れていると、答案化の問題を分析しにくくなります。
体調・会場・集中状態
知識以外の条件も残します。
眠気、空腹、トイレ、会場環境、緊張、集中の切れなど、本番の得点に影響したものがあれば記録してください。
この記録は、点数が分かった後ではなく、記憶が残っているうちに作ります。
正答は公式情報を基準に確認する
行政書士試験について、行政書士試験研究センターは、試験問題を本試験以降、正解等を翌年1月末の合格発表日以降に公表すると案内しています。
つまり、試験直後に行う自己採点と、公式情報による確認は分ける必要があります。
予備校などが試験直後に公表する解答を利用する場合は、参考にはできます。
ただし、その段階の点数を公式得点として扱わないでください。
試験直後は暫定値、公式発表後は確定情報。
この二つを分けておけば、途中の情報だけで大きな判断をしにくくなります。
択一式と記述式の不確実性を分ける
自己採点では、比較的確認しやすい部分と、確定しにくい部分を分けます。
択一式などは、正答が分かれば自分の解答と照合できます。
一方、記述式は、自分が再現した答案から最終的な得点まで正確に確定することはできません。
そこで、
- 比較的確定して確認できる部分
- 記述式など、正式結果まで幅を残す部分
を分けます。
行政書士試験は、受験案内では、合格基準は、法令等科目で満点の50%以上、基礎知識科目で満点の40%以上、試験全体で満点の60%以上をすべて満たすこととされています。
また、試験問題の難易度によって補正的措置が加えられる場合があります。
自己採点では「何点だった」と一つの数字だけを見るのではなく、各基準を満たす見込みと、不確かな部分を分けてください。
自己採点後は三つの状態に分ける
自己採点が終わったら、すぐ「合格」「不合格」の二択にしません。
次の三つに分けて考えます。
合格可能性が高い
比較的確認しやすい得点だけでも基準を十分に満たし、記述式を含めても大きく崩れる可能性が低いと考えられる状態です。
この場合も正式合格ではありません。
試験記録と教材は残したまま、正式結果を待ちます。
ボーダーで確定できない
記述式の得点などによって結果が変わり得る状態です。
この期間に何度も点数を計算し直しても、確定情報が増えなければ結論は変わりません。
合否に関する大きな判断は保留し、試験記録だけ整理しておきます。
合格基準へ届かない可能性が高い
この場合も、試験直後に教材や勉強方法を全部捨てないでください。
まず、どこで得点を失ったのかを確認します。
正式結果によって観測できる情報が増えてから、次年度の変更点を決めます。
合格可能性が高くても、すぐ開業や登録を決めない
自己採点で合格可能性が高いと感じると、その先のことを考え始めるかもしれません。
それ自体は構いません。
ただし、自己採点だけを根拠に、登録、開業、転職など大きな意思決定を急ぐ必要はありません。
調べることと、決めることを分けます。
正式結果までにできるのは、情報収集と選択肢の整理です。
合格後・登録・開業については、それぞれの条件を確認したうえで改めて判断してください。
不合格の可能性が高くても、教材と学習記録を捨てない
自己採点の結果が悪いと、教材、計画、勉強法を全部変えたくなることがあります。
しかし、一回の結果から「今まで全部間違っていた」と判断すると、使える学習資産まで失います。
残すものと変えるものを分けてください。
- 得点できていた科目
- 繰り返し使った主教材
- 過去問の学習履歴
- 自分が間違えやすい論点
- 本試験で崩れた行動
- 今回作った試験後の記録
これらは次の判断材料になります。
不合格の可能性を見て、勉強方法を全部変えたくなっている場合は、不合格後に学習全体を変更しないための判断を確認してください。
教材や計画まで一度にリセットしたくなっている場合は、不合格後に学習資産まで捨ててしまう失敗ケースも確認できます。
試験後72時間・1週間・正式結果後に分けて行動する
試験が終わった直後に、その後数か月の方針まで決める必要はありません。
このサイトでは、試験後の行動を三段階に分けます。
試験後72時間
- 本試験中の記憶を記録する
- 問題冊子や受験票、教材を捨てない
- 休息を取る
- 暫定的に自己採点するなら、結果を保存する
この段階では、大きな学習方針変更を決めません。
試験後1週間程度
- 得点できた部分と失点した部分を分ける
- 時間配分や本番行動を振り返る
- 維持する教材・記録をまとめる
- 追加情報がなければ合否判断を何度もやり直さない
次年度受験の可能性がある場合でも、いきなり新教材を大量に購入する必要はありません。
正式結果後
正式な合否と得点が分かったら、初めて結果を確定情報として使います。
合格したなら、次の進路を考える。
不合格なら、得点と試験記録を比較して、次に変更するものを一つずつ決めます。
時間を区切ることで、「今決められること」と「まだ決められないこと」を分けます。
試験後の判断を、次の観測へ接続する
行政書士試験が終わった時点で、今回の受験から得られる情報はかなり増えています。
模試ではなく、本番で何が起きたのか。
時間は足りたのか。
主戦場で得点できたのか。
記述式で答案へ変換できたのか。
本番で計画どおり行動できたのか。
自己採点は、この情報を拾うために使います。
試験全体の科目、合格基準、出題構造を改めて確認したい場合は、行政書士試験の内容・科目・合格基準へ戻ってください。
まとめ|自己採点は結果を裁く作業ではなく、次の判断材料を残す作業
行政書士試験後の自己採点は、しておいた方がよいです。
ただし、自己採点の役割は、試験直後に自分の合否を確定することではありません。
- 試験中に何が起きたか記録する
- 確認できる得点と不確かな部分を分ける
- 合格可能性を三つの状態に分ける
- 正式結果まで維持するものを壊さない
- 結果が確定したら次の変更を決める
自己採点は、結果を裁く作業ではなく、次の判断材料を残す作業です。
まだ分からないことは、分からないまま保留してください。
正式な情報が増えたときに、もう一度判断すれば十分です。